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編集後記

 ひさしぶりに39度まで熱がでた。平熱が低いのでこたえる。結局丸5日熱が続いて、薬のせいかよく眠った。夢の中では山をスタスタ歩いていた。沢にも行った。(うっそぉ。)しごとの夢はほとんどみなかった。(会社のヒト、ごめんなさい。)と、いうわけで7月の、とても行きたかった例会は不参加になってしまったけれど、三峰のことだから、きっといつかまた、機会はあると思う。それを楽しみに。

(Uchi)

 ここ数年、物が見づらくなってきた。昔から眼だけはいいのが自慢だっただけに、このショックは大きい。他人に話すと「老眼」だと言う。そう言われると、急に歳を取ったような感じで、気分が萎える。
 言葉には人を元気づけるものもあれば意気消沈させるものもあるが、「老眼」は間違いなく後者だ。そうした言葉はある種の妖怪のように人の精気を吸い取って害を為す。日本人はどうも齢を重ねることを否定的にとらえる傾向が強く、それが日常の言葉にも反映し、その傾向に拍車をかけているふしがあるが、これは良くない。
 眼が悪くなって大きな発見をしたことがある。通勤の途中、色とりどりの薔薇が咲く公園を通るのだが、ある日の仕事帰りボ~ッとした眼でその公園を通りかかると、驚いたことに、そこにはクロード・モネの世界が広がっていた。なんとも素敵な光と色の広がり!かつて見るものすべてにピントが合っていた私は、印象派の絵画をはじめて見た当初からどうしてあのような表現になるのかピンと来ず、モネに限らず印象派の画家たちは眼が悪かったのではあるまいかとヒソカに疑っていたのだが、そのときその解答を実証的かつ電撃体験的に得てしまったのだ。この体験は、逆説的に聞こえるかも知れないが、老眼化したがゆえに視野が広がったと言えるわけで、思考的には肉体の衰えを否定的に評価する上の価値観とは正反対のプラス思考となる。
 以上を踏まえて、これからは「老眼」を「印象眼」に改めてはどうだろう。「老眼になる」は「眼が印象派化する」ないしは「眼が印象派する」と言えよう。スラングは「モネる」で決まりだ。印象派の絵画は日本人の美意識に強く訴えかけるようで、日本ではとりわけ人気が高い。従って、この表現は受け入れられる余地が充分ありそうな気がするが・・・。
 実際のところ、
「いや~、最近老眼がすすんじゃってねぇ」
 と言うより、
「いや~、最近眼がモネってきちゃってさぁ」
 と言った方が、どー、イケテない!?

(ハットリ)

 MOTOコールの考案者と伺っている宮坂さんのお通夜が営まれたちょうどその日。岩つばめ70周年記念号の紹介記事が山渓に掲載されてるヨ! と小堀さんからメールをもらいました。えっホント? 翌日さっそく会社ビルの地下にあるちっちゃな本屋さんで山渓買っちゃいました。山渓に載ったからってそれがなんなの? と思われるヒネた向きもいらっしゃるかと思いますが、編集委員4人がこの号の編集に費やした時間は実は想像以上のものかも?
 その記事には、初代会長として宮坂氏のお名前も載っていました。ご本人がもしこの号をご覧になられていたら感慨深いものがあったのではないかと思います。ご冥福をお祈り申し上げます。なお、次号は宮坂氏追悼記念号を予定しています。

(Doi)

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