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一ノ倉沢中央稜
荻原 健一

山行日 2004年6月5日~6月6日
メンバー (L)荻原、小幡、越前屋、高橋(俊)

 昨年10月の滑落事故以来、やっとリベンジ山行する機会がやってきた。前回メンバーに加えて、現在の三峰で最も岩の実力がある小幡、俊介両名が参加してくれたことも心強い。梅雨入り前の最後の週末と思って、この時期に例会を設定したが、天気も6日の昼くらいまではなんとかもってくれそうだ。
 あとは渋滞で予想以上に時間がかかり、午後から天気が崩れて敗退するシナリオだけが心配だ。と、いうことで6日は前代未聞の2:30起床、3時出発で行こう! と集合場所の東所沢駅に向かう途中の電車のなかで決心した。

 6/5(土)の夕方5時に集まり、新型えっちん号で一ノ倉駐車場へ。駐車場でテントを張るが、前述の通り明日は早いので宴会もそこそこに9時前には就寝。
 翌日はほぼ予定通りに3:10に出発。1パーティーに先を越されたと思ったら、彼等は幽ノ沢方面に行ってしまった。懐電歩行でテールリッジを目指す。この時期は雪渓がある為、アプローチは楽だ。中央稜取付まで1時間余りで着いてしまった。
 パーティーは前回のメンバーで再トライしたかったので、荻原・越前屋組と小幡・俊介組に分ける。荻原・越前屋組から出発。我々の前には一組のパーティーもなく非常に気持ちいい。前回同様、荻原のリードで1P目を登る。ふと下を見ると取付点に10人以上の人だかりができている。出発があと30分遅かったら大変なことになっていた。よかった、よかった。
衝立の頭にて・Mr.リベンジ.OGIWARA  前回は2P目でロープを50メートルいっぱいまで伸ばして進み、3P以降もリッジの左側をそのまま進み、かぶり気味のチムニーで詰まったところで無理をして事故を起こしている。明らかなルートミスで、今回は早い段階でリッジの右側に戻るように右側に最新の注意を払って登る。慎重を期して2P目は20メートルくらいで切る。切ったところからすぐにリッジの右側に回れるルートらしきものがあり、ピンもあったのでこちらを進む。回り込むところがかぶり気味なのでA0で越える。右に回り込むとガイドブックでいういわゆる第二フェースらしきところにでるが、次のビレー点まではピンがまったくなかった。いまいちマイナーっぽいなーと思ってセカンドをビレーしていると、後続の俊介が突然リッジの左側から回り込んできて私の前に現れる。結論としてどちらもルートにはなっているようだが、俊介のほうが一般的なようだ。ここからの2ピッチが中央稜の核心。グレードは4級程度で慎重に行けば特に問題になるところはない。5P目の最後のかぶり気味のチムニーはフリーで5級マイナスとあったので、フリーで行こうと思っていたが、全然だめで、すぐに上から垂れ下がっているテープシュリンゲをつかんで強引に越えてしまった。A0だと4級。後続を見ていたが、結局残りの3人もみんなA0で登ってきていた。ま、登れりゃなんでもいいか。6P目以降は3級~4級マイナス程度。最後、衝立の頭へあがる最終ピッチは4級程度だろうが、疲れていたのでいやらしかった。俊介達は、北稜寄りの簡単なルンゼ上ルートを登っていたが、北稜から下る場合はそっちの方が早くていいかもしれない。無事登れてほっと一息つきたいが、後続も続々来ているはずなのですぐに北稜の懸垂下降点へ移動する。40メートル懸垂を3回した後、踏み跡を数十メートル移動して10メートル懸垂、再び踏み跡を10メートルくらい移動して今度は40メートルの空中懸垂、スラブを数十メートル移動して最後に20メートル懸垂するとコップスラブの上に降りられる。ここでロープをしまい、略奪点を越え、衝立前沢に入る。衝立前沢から本谷に合流する手前はガイドブックによると懸垂するようだが、全然読んでなかったのでそのまま下ってしまった。結構悪いので、懸垂した方が無難。あとは、雪渓上を進み一気に駐車場へ。越前屋さんのごっつあんビールで乾杯。やっぱりザイル仲間と飲むビールはうまい。予定通り雨も降ってきたので、早々に切り上げ、途中湯テルメに寄って帰路につく。

衝立岩・余裕っすヨ

〈コースタイム〉
駐車場出発(3:10) → 中央稜取付(4:20) → 衝立の頭(8:30) → 北稜経由駐車場(11:40)


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