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アイスクライミング・笛吹川乙女ノ沢
橋岡 崇史

山行日 2004年1月31日~2月1日
メンバー (L)小幡、高橋(俊)、橋岡

 興味本位だった。しかし大抵のことは興味があって始まるのだから、特別なことでもないのだが。アイスクライミングってどんなんだろう。難しいのか、それほどでもないのか? 面白いのか、そうでもないのか? しかしそれを試すためには、アイススクリューを買わなくてはならなかったのだ。1本7,000円強、3本で2万円以上。う~ん、痛い。だからといって、よ~し、元を取るためにガンガン登ろう、という気になれないところがイケメンの私の悲しいところでありました(イケメン=行けないメンバーの意味)。

1月31日(土)
 高尾駅6時44分集合。時間になっても私が現れないので、小幡・俊介両名は焦っていたかも知れない。私はその様子を電車の中から見ていた。高尾から乗る予定の電車は八王子始発だったので、八王子から乗っていたのだ。家を出たのが5時だから、眠い。誰もが眠い。塩山着は7時50分。西沢渓谷行きのバスの中で爆睡していた。
 バス停で帰りの時刻を確かめ、身支度を調える。14時35分のバスで帰れるだろうと俊介君が言う。何の問題もないだろうと、誰もが思っていた。1時間ほど歩くと、ちょっとした氷壁があり、練習しているパーティーがいた。乙女ノ沢まではまだ2時間かかりますよ、と言われた。道は登山道から時折沢に下りながら続いていた。勢いよく歩いたら、氷が抜けそうな所もあった。落ちても大したことはなさそうだったが。
 テントを張り、早速練習開始。テン場をちょっと高いところにしたので、降りてゆくのが面倒。その少し前に乙女ノ沢を登るベテランっぽいパーティーがいた。我々が練習している最中にも、別のパーティーがやってきて、登っていった。(そのパーティーが降りてきたのは、真っ暗になってからだった)それでも、この日出会ったのは、この2パーティーだけで、数年前のガイドブックの「休日になると氷壁にすだれのようにロープが垂れている」という状況にはほど遠かった。
 さて初めてのアイスクライミングであったが、私はバイルというものは、ガシッと氷に食い込んで微動だにしないものだと思っていた(そう期待していた?) でも平均すると3回?くらい打ち込まないと、刺さってくれない。氷が空しく飛び散るだけ。なんだか不安だな~ 滝の真ん中くらいまでなんども、登り降りしていたら、結構膝が疲れてきた。姿勢が悪いんだろうなあ。ロープも凍るので確保もまた疲れる。
 夜はキムチ鍋だった。私はビールを雪の中に置いてしまったので、凍っているのではないかと不安だったが、大丈夫だった。肉はもちろん現在のところ安全な唯一の肉? 豚肉。(その頃は鳥インフルエンザが流行っていたのでした。時の流れは速いものですね~) 膝の故障から久々に復帰した俊介君が「山はいいな~あ。登らなくても来るだけでもいい」なんて気持ちよさそうに話すので、つい感化され、気持ちよく歌を歌いながら、山の夜は過ぎていった。このときは思い出さなかったが、そういえば伊藤咲子の乙女ノ滝じゃなく「乙女のワルツ」というのがあったなあ。
つ~ら~いだけの初登頂 乙女の滝のワルツぅ~という歌である。
あれっ、違ったっけ?

2月1日(日)
 いよいよ今日は、乙女ノ滝の上部まで行くことになった。乙女ノ滝までは昨日といっしょ。そこから先はどのくらい時間がかかるか行ってみなけりゃわからない。
 小幡氏がリード。その後私が登り、真ん中くらいまで来てから俊介君が登り始め、私を追い抜いていく、というパターンだった(結果的にそうだった)。私も落ちないだろうと思いながらも、びくびくしていたのでゆっくり登っていた。
 で、なんとか最後の大滝になった。80メートルあるので、途中でピッチを切らなくてはならない。滝の途中でビレイするのはあまり気持ちよくないね。こういうのが平気! という境地にはなかなかなれないものです。
 大滝の上部に着いたのはもう昼近くだった。巻き道を下ったが、結構時間のかかる道だった。途中からは懸垂下降で降りた。テン場に戻ったのも事前の予想よりもかなり遅い時間だった。最終バスに間に合うのは困難か?と思われたのだが、皆さん歩くのが速く、なんとか間に合った。
 今回の山行ではザイルワークをしっかり覚えないといかんなあと思いながら、喉元過ぎれば熱さを忘れるの諺どおりになっている。しっかり覚えてイケメンにならなくてはと思った山行でした(イケメン=行けるメンバーの意味)。

〈コースタイム〉
31日 西沢渓谷バス停出発(10:20) → 乙女ノ沢出合(13:00)
1日 乙女ノ沢出合(7:00) → 乙女ノ沢出合(14:50~15:20) → 西沢渓谷バス停(17:20)

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