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雪洞訓練・西黒尾根
福間 孝子

山行日 2004年3月13日~14日
メンバー (L)越前屋、福間、(鈴木)

 今回は19歳の鈴木君がルームで元気良く参加の手を上げてくれたので、越前屋さんと私で親子山行のようになってしまった。というか未成年者略取に見えなければいいのだが。
 登山訓練所の前より西黒尾根にとりつく。朝からの急な登りはつらいものがある。天気はいいし汗だくになる。例年に比べて雪はやはり少ないように思える。1,280m付近の西の斜面に雪洞を掘ることにする。天神平のスキー場が良く見える。
 気温が高いため雪の庇から水滴が途切れることなくスタスタと落ちてくる。固いところもなく、土も出ないのでガンガン掘ってしまう。三畳半ほどの立派な部屋ができあがり、入口をツウェルトで塞ぐ頃、あれだけ良かった天気がにわかにくずれ、雪が降りだしてしまった。風もでてきてスキー場のアナウンスがリフトの運休を告げていた。
 こうなるともうやる事はひとつ。そう、飲むしかないでしょ。といいながらもあまりにもりっぱな雪洞を作った為寒くてしょうがない。バーナーを焚いても一向に暖かくならない。ずいぶん早いけど夕食の鍋を作って体の中から暖まろう、という訳で越前屋特製の海鮮鍋を作り始める。しかしこの鍋を食べたのは約2名、約1名は鍋の中に頭を突っ込むほどの舟をこいでそのまま寝てしまった。残りの2名もその後特にする事もなく6時にはシュラフに入っていつのまにか爆睡してしまっていた。
 一晩中雪が降っていたようで昨日のトレースも全て消えてしまっている。天気はまだ回復していないので少し様子を見て、このまま帰るのも悔しいので行ける所まで行って帰ってくることにする。
 出発するとトレースがついているのに気が付いた。単独の女性ががんばってくれたのだが、小ピークから5メートル程の下りがザイルなしでは危険なのでそこで引き返していった。トレースがあれば階段状で何という事もない所だろうが、ザイルを出して下る。あとは稜線をはずさなければいいのだが、視界が全くきかなくなってきた。かろうじて左側に見える雪のスカイラインをたよりにラッセルする。ときどき雪面さえもわからなくなってくる。左に寄り過ぎないよう気をつける。こんなとき赤テープを見つけるとほっとする。
 ザンゲ岩の下の雪面に入る。どんどんと登っていくが、きのうの午前中の上天気で緩んだ上に積もった雪が不安定で気持ちが悪い。周りの状況やルートの確認ができず、上部の雪庇をノッ越すところが非常に危険と見て、ここで引き返す事にする。そのまま後ろ向きの状態でバックしていく。引き返すと決めたとたん天気はいきなり回復してきた。下る途中数パーティーが登ってきた。これ私たちがつけたトレースですって言いたくなってしまう。なんだか悔しいなあ。あとはもう昨夜の我が家に別れを告げシリセードでおしりをびちゃびちゃにしながら一目散に下っていった。


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