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諏訪山
西尾 弘資

山行日 2004年3月27日~28日
メンバー (L)小堀、福間、土肥、山沢、川崎、天城、天内、西尾、(深谷)

 3月27日(土)8:00 JR武蔵野線・東所沢駅前に集合。9:00少し前に小堀車と天城車に分乗し出発。関越道は車が多かったが順調に走り、本庄児玉ICを出て神流(かんな)川沿いに国道462号線を群馬県多野郡上野村へと向かう。今回の山は、日航機事故で有名になってしまった御巣鷹山との谷を挟んで東側にある諏訪山(1,549m)である。
 途中、旧万場町にある道の駅「万葉の里」に立寄り休憩。農産物直販所にタラの芽やふきのとうがあったので、今晩予定のてんぷらの材料に加える。成り行きで、ここで昼食でも食べるかと蕎麦を注文したらこれが予想外に美味しい手打ち蕎麦で一同満足。山は明日登る計画だったので、今日のアプローチはのんびりしたもの。旧中里村にある恐竜の足跡(瀬林の漣痕)をみようと、国道299号線を左折し、2kmくらい秩父方面に向かう。国道のすぐ脇にある恐竜の足跡を見上げる。というのは、地面が隆起したため今では平地ではなく直立した壁になっているのだ。昔、この辺りは海辺だったらしく、泥の上を恐竜がツボ足でノシノシ歩いた跡が岩となって今に残っているようである。
 すぐ側にコンクリート造りの恐竜ステゴサウルスの像があった。福間さんが、すかさずそれに登った。釣られて皆も登る。結局、皆で像に登って写真を撮る。まるで悪ガキ(ただし平均年齢は50うん歳?)だ。
登れるものはなんでもオッケー!  462号線に戻り走っていると、だんだんと集落もまばらになって来たので、酒屋があるか心配になる。すると「人が住んでいるところには必ず酒屋はある」という力強いご意見があり、なるほどしっかりと上野村で酒屋を見つけ、ビール等を購入し、いよいよ諏訪山登山口である浜平へ向かう。登山口を確認した後、幕場を探して御巣鷹山方面へ進む。日航機事故の影響か、山奥にも拘らず何本ものトンネルが掘られ、りっぱな道路が整備されている。神流川では釣り人がたくさん釣り糸を垂れている。少し支流に入ったところで絶好の幕場を見つける。まずビールを冷やすようリーダーから指示が飛ぶ。次にテントを張って、薪を集め、その作業中に冷たい沢の水でビールもしっかり冷え、皆で乾杯!でも時計を見たらまだ14:00過ぎだ。引続き八海山純米吟醸1升を、喧嘩しないように計量して皆で分け合って呑む。うまいっ!天城さんが釣りを試みるが、お魚はいない様子。
 その内に焚き火が燃え上がり、傍らで小堀シェフによる早めの晩餐会が始まる。ベーコンを炒め、水菜やレタスなどを千切り、豪快な野菜サラダが出来上がる。周りの女性陣から「こんなに一度に沢山ベーコンを使ってやっぱり男の料理だよね」などと突っ込みが入る。今晩のメイン料理はてんぷら。海老や帆立や先ほど買い求めたタラの芽やふきのとうなどが次々に揚げられ、一同またまた大満足。天内さんが格闘してくださった大根オロシも味を引き立ててくれた。女性陣が大根オロシは卸すのが大変だから無くてもいいよ、と言っていたのを「いやいや、やはり大根オロシは外せないね。大変なら皆で交替で卸せばいいじゃないか」などと言ってタラの芽などと一緒に買って貰いながら、結局オロシガネに指一本触りもしなかったのは私である。天内さん、すみません、ご苦労様でした、ご馳走様でした。でも八海山を持って来たから許してちょうだい。
 てんぷらを賞味した後は、焚き火を囲み、ひたすら呑み続け、さらにひたすら歌い続け、自己解放し過ぎたオジサン、オバサン軍団は、止むことを知らず前後の見境無く深夜まで盛り上がる。
 翌朝、氷点下の寒さに震えながら、二日酔い状態のオジサン、オバサン達が起きて来る。あーっ気持ち悪いなどと言いながらも朝食のうどんは結局しっかりと食べる。幕場を撤収し浜平へ戻り、廃業した浜平鉱泉奥多野館の駐車場に駐車して7:20諏訪山に向けて出発。
 釣り師がいる神流川を渡り、奥多野館の脇を通って山道へ入る。飲み水を汲もうとするが、鉱泉が混じっているのかイオウ臭かったり、赤かったりしてイマイチ。何本もの丸木橋を渡りながら沢沿いに登る。小滝やナメが続く。
 ミソサザイの大きな美しい声が響く。何故ミソサザイっていうの? という質問が出たので、色が「味噌」色だからだよ、と答える。じゃサザイは? というスルドイ質問が畳み込まれるように出たので、尻尾を巻いて「知りません」と答える。後で気になって調べたら、一説によると「些細なこと」の「些細」で小さいということのようである。なーるほど。「ミソサザイ」を漢字では「鷦鷯」と書くが、当て字で「三十三才」とも書くようである。今回のパーティーの面々にとっては、遥か太古の忘却の彼方のことだ。因みにミソサザイは、日本で2番目に小さい鳥(1番はキクイタダキ)で、なんと一夫多妻制である。オスは巣を2~4個作り、巣毎に違ったメスを住まわせ卵を産ませるが、抱卵も給餌もすべてメスが行い、オスは何もしないそうだ。誰だっ、羨ましがってるのは?
 二日酔いの体で、結構急坂に喘ぎながら登る。途中から雪が出てくる。沢を詰め、9:10やっと支尾根に出る。ここで復帰間もない山沢さんが帰ることとなる。9:25湯の沢の頭を過ぎ、陽当りの良い尾根道をのんびりと行く。やがて避難小屋に到着。避難小屋といっても屋根と壁があるだけ、「田んぼの横にある農具置き場」といった風情の小屋だ。暫くすると雪も多くなって来たので軽アイゼンをつける。

 道はいよいよ険しくなり岩場となってアルミのハシゴを2本登る。岩も多いが雪が着いていないのが助かる。ほのぼのとしたルリビタキの声が聞こえる。岩場を直登して三笠山(シモヤツウチグラ)に到着。立派な祠がある。浅間山、両神山、蓼科山等がよく見える。諏訪山より、岩峰であるこの三笠山の方がよほど立派で、本物のピークらしい。
 ロープに捕まりながら慎重に諏訪山との鞍部に下りる。山頂間近で初めて下山して来た単独行の人とすれ違う。
 11:35諏訪山山頂に到着。山頂は立木のため展望は良くない、担ぎ上げてきたビール等で乾杯。下りの悪路を考えるとあまり呑むのは良くないが、見境のない人達は、やはりつい呑んでしまう。12:05山頂出発。登りと比べて下りは雪が腐ってきたため、大変滑りやすくなってきており注意して歩く。避難小屋に辿りつくまでに、無雪期の倍くらい時間が掛かってしまった。
諏訪山山頂  14:15湯の沢の頭を通過。浜平間近でチェンソーを担いだオジサンに会う。今日の往復で人に会うのは二人目だ。季節のせいもあるが静かな山だ。15:20駐車場で山沢さんと合流。結局、往復8時間の行程で、ハイキングという割には歩き甲斐があった。
 帰路、上野村の国民宿舎「ヴィラせせらぎ」で入浴(入湯料500円)。温泉なんだそうだがそんな感じがしない。お腹も空いていたが帰りの関越道の渋滞のことを考えて、少しでも東京に近づいてから食事を摂ろうということで17:00少し前に出発。国道462号線は思ったより空いており、時折咲いている桜を眺めながら順調に走り、本庄児玉ICから入った関越道も所々渋滞はしていたが比較的スムーズで、嵐山SAで休憩・食事をした後、東所沢駅で解散。皆さんどうもお疲れ様でした。


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