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八ヶ岳・本沢温泉から天狗岳
川崎 恵美子

山行日 2004年2月21日~22日
メンバー (L)小堀、天城、大岩、高橋(俊)、田中(恵)、川崎

 本当は三斗小屋温泉に泊まってお化けに対面するかも知れなかったこの山行。ひょんなことから八ヶ岳に変更されてしまった。でも温泉小屋に泊まる事とピッケルをしっかり使いたいという熟女2名の希望はちゃんと聞き入れてもらい初日は秘湯でのんびり温泉三昧で翌日に天狗岳を目指すという殆ど温泉山行のようなゆったりした山行になるはずであった。
 メンバー構成がなんか面白い。どう考えても子供(俊)にお母さん二人とお父さん三人付いて来ちゃいましたって感じになっている。じゃあ誰が一番正しいお父さんに見えるかな?なんて考えているうちに稲子湯の少し手前に着いてしまった。
 小堀車モビスケをデポし身支度を整えて、ピッケル使い隊2名、子供とお父さん3名計6名は本沢温泉目指して雪道にも拘わらず無雪期コースタイムであっという間に歩ききってしまった。さすが三峰は違う!みんなそんなに早く温泉に浸かりたいのか!!
 宿に着くとこの季節だというのに結構な賑わいでびっくり。秘湯だから温泉だけが目当てで来ている人もいるんですね。でもそんな中に何故か橋岡さんの姿を見つけてしまった!お髭の会の方達ときている様子。何も聞いていなかったので驚きましたよ。やっぱり温泉マニアだったんだ。
 大部屋一室与えられた私達6名、上がいい人、下がいい人と勝手に好きな場所を確保し、早、宴会体制に突入かと思いきやピッケル使い隊2名は、お先にお風呂へどうぞとのリーダーの優しいお言葉に甘え小屋の外にある風呂へと向かった。
 さすが八ヶ岳の奥だけあって外へ出ると寒いので早く湯船に浸かりたいとドアを開けると寒々とした脱衣所の天井から時折ぽたっぽたっと冷たいしずくが落ちてくる。中々服を脱ぐ勇気が出ないで暫し固まってしまった。えいやっと裸になって風呂場に飛び込み体を清めて湯船に飛び込む。むむっ、ぬるい!参った!温泉がぬるいはずないと思いながら湯船で少し体を動かしてみてもやっぱりぬるくてこれがほんとの掛け流しっていうのねと納得したはいいものの一度入ったら最後、湯船から出る勇気がなくなってしまい、いつもは短期決戦の私が超長風呂の人になってしまった。
 夜の宴会は各種とりどりのアルコールを飲みながら幸せな気分。何もする事がないってたまにはいいな。天城さんが途中でちょっと消えたのでどうしたのかと思ったらなんとお鍋に今固まったばかりのプルプル状態のジェリーと共にご帰還。仕上げにさっとワインをふりかけてと芸が細かい。あっという間にみんなのお腹に収まってしまいましたがこんな所でこんなデザートをイタダケル贅沢。もう本当に感動ものでした。
 翌朝、普通にゆっくり起きて出されたものを食べればいいだけの朝食。最高!そしていよいよ天狗岳を目指し、いざ行かん。
 天狗岳と聞いた時から予想していた通り、夏沢峠からでなく白砂新道から頂上を目指すとわかり、雪山一年生の私は不安でいっぱいだった。この季節に白砂新道へ向かう人は滅多にいないようで案の定登山口からずっとラッセルを強いられる事になった。雪は少なくてもラッセルは大変だ。元気者の俊介君がいなかったらどうなっていた事か。復帰後間もない体だったのにお父さんお母さんみんなで頼ってしまい申し訳なく思っています。樹林帯を抜けて稜線に出る手前位からかなり厳しくなり四つん這いになってやっと這い上がる状態になった。聞いてはいたけど稜線の西風はすごい。強風に煽られて何度もよろけてしまった。岩稜地帯の雪が吹き飛ばされて付いてない位だから相当なものだと思う。徐々にみんなの顔も険しくなり、多分私の顔も恐怖でひきつっていたに違いない。これは地獄だ!このまま先へ進んだら遭難するんじゃないかという思いがよぎった。その時、先の様子を見に行ったリーダーの"だめだ!全く見えない!来た道を引き戻そう"という声が聞こえ少しほっとしたが、とにかくまともに歩けない。よろよろしながら樹林帯まで戻れば助かるんだと思い必死にがんばった。なんとか樹林帯にたどり着いた時、そこが天国のように思えた。
 雪山一年生には大変厳しい山行となり恐怖も十分味わってしまった。三峰に入れて頂き日も浅い私ですがみなさんに色々お世話掛けながら多くのことを学ばせて頂き、いい勉強になりました。このくらいの事ではへこたれませんのでこれからもよろしくお願い致します。


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