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宮坂和秀君
『年報 三峰』創立40周年記念号 「会員のプロフィル」より

 三峰山岳会創立者、六〇歳、本名宮坂文夫、和秀、又の名をタワシ、ヤゾー、という。その風貌からすると「ヤゾーさん」が一番似合う。その山行は山や溪を踏破するという形をとって来た。いわゆるアルピニストではないが、性格的に地味な山行きをし、登山家として派手に名を出すこともなかったが、風土記等良く研究していて、山岳関係雑誌上で論争をするといった情熱も持っていた。
 四十年の登山歴の内、丹沢山塊には特にくわしく、現在でも各誌に名を残し、この方面では高名、ベテランである。
 その山歴中には紙面に語りつきせぬ、エピソードを持ち、奇物変物ぶりも有名だった。大いびき、カラキヂ、あくび、野宿、裸チョッキ、浪曲、お酒、山道具の珍発明、等々枚挙にいとまなし、そのヤゾーさんも年には!近頃お酒もめっきり弱くなり、気力と体力一致せずとなげいている由だが、過日のキユウハ沢では流石丹沢の主の片リンが見られました。ドウシテ・・・・・・まだまだいけますぞ。
 ちなみにヤゾーとは「山窩」の言葉で頭目、親分のこと。「山窩」とは辞書によると、山中を放浪し、特殊社会を形成する土民団、とあります。
 彼は第一銀行に定年迄勤めた、マヂメな?銀行員でした。山に行くと、いつもきたない紙入れの中から、新札をパチパチと音させて出してくるのです。又小銭をちゃんと用意してきます。秩父にいった時のことでした。泊めてもらった、お寺の大黒(奥さん)がいいました。「あんた、銀行員!ヘエー」って、実感!


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