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救助訓練/丹沢・小草平ノ沢
小堀 憲夫
山行日 2004年6月19日~20日
メンバー (L)小堀、三澤、大岩、橋岡、田中、川崎、天城、天内、小幡(土曜のみ)、荻原、服部、内山(日曜のみ)

 今年も例年どおり、救助訓練を行った。場所は丹沢・四十八瀬川・小草平ノ沢を選んだ。渋沢駅に集合し、四十八瀬川の右岸を終点まで詰めて対岸に渡った。以前は左岸を二俣まで入っていたが、右岸の方が道は良い。
 訓練メニューは、沢登りの途中で事故が発生し、負傷者1名を沢を下降して搬出する必要が生じた、との想定で行った。これが、現在の三峰の山行形態に比較的マッチしているとの判断だが、本来は他にも色々状況を考えた訓練を行う必要があるだろう。例えば、岩場で中吊り状態になった負傷者を救助する方法、冬山での遭難者を救助する方法。同じ沢でも大きな滝で負傷者を引き上げる方法、または沢の途中から尾根道に運び上げる方法などだ。今回は訓練初参加のメンバーもおり、これらを今後の課題とし、応用の効くこのメニューで、救助の実際を模擬体験してもらうことにした。これには、個々の訓練へのきっかけにしてもらうのと同時に、山岳会のメンバーとして山行活動を続けることの意味を自覚してもらおうとの意味もある。
 沢装備を身に付け、二俣から入渓。しばらく進むと沢は左へ曲り、小草平ノ沢が右から流れ込んでくる。時間に余裕があったので、救助訓練に入る前に、勘七の核心部、F1で少し遊んだ。大岩さんがバランス良くリードし、その後数名が続いた。
 ひとしきり遊んだ後、小草平ノ沢に入った。幾つかの小さな滝を越え、ゴーロを進んだところで丁度昼になったので昼食休憩。
 訓練はまず、ザイルでの背負子作りから。ザイルをループにして真中を結び、振り分けて背負子を作るのだが、長さを調節するのが少し難しい。比較的体重の軽い女性陣に負傷者になってもらい、実際に背負ってみる。足元が不安定な沢の中で人を背負って歩くのは、それだけでも結構大変だ。訓練は、メンバーをルート工作班、実際に負傷者を背負う人とそれをすぐ横にいて助けるサポート班、滝を懸垂下降する際にザイルでサポートするバックアップ班の3班に分け、それぞれの参加者が一通り3班すべての役割を経験するように交代形式で行った。核心は、負傷者を背負い滝を懸垂下降する場面だが、経験者が複数いたせいもあり、それほど手間取らずにできたのではないかと思う。後半、三澤さんの案で、ザックを使った背負子を使用してみた。これは、負傷者役にもなかなか好評だった。
 滝降ろしが終わり、足場が平になったところで、次にザックを連結した担架で負傷者を搬送する訓練に切り替えた。これは、ザックの肩紐同士をクロスさせ3連結し、長めのシュリンゲをザックに結び、6人で運ぶ方法だ。これは、担架が早くでき、運ばれる負傷者も楽な、◎搬送法だ。
 その夜は大倉でキャンプし、2日目は、翌朝合流したメンバーと、ザックを使った背負子と担架で今度は尾根道を搬送する訓練を行った。
 訓練は、何事もこれで十分ということはない。今後も継続して行っていきたい。


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