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集中山行・谷川岳
その1 一ノ倉沢烏帽子奥壁中央カンテ
荻原 健一

山行日 2004年7月24日~25日
メンバー (L)荻原、小幡

 先月中央稜を登った際、すぐ横の中央カンテルートを見ていたが、なんとかなりそうなルートだったので帰りに小幡さんに近々行きたいのでよろしくお願いします、と予約しておいた。
 今回、丁度いいタイミングで谷川で集中山行することになったので、このルートを企画したが、例年より早い梅雨明けに加えて山行の1週間前くらいから続いたフェーン現象による猛暑で幾度となく沢への変更も考えた。しかしながら、岩の場合数少ないパートナーとの日程調整、天気など行ける条件がなかなか整わないことから、暑さだけを理由にあきらめるのももったいないと思い予定通り決行することにした。
 7/24(土)は一ノ倉駐車場までなので、昼頃の鈍行でビールを飲みながら行く。たまには、こういうのもいいもんだ。途中、高崎駅で金子さんに会い、一緒に行く。本日マチガ沢に幕を張っている明さん、菅原さんに合流すべく旧道の出合に行くが、見あたらない。結局新道の出合まで降りて合流する。白毛門沢に行った三澤さん、大岩さんとも合流して明日の集中を前にして、半分以上の7名が集結して大いに盛り上がる。が、明日2時起きの3時出発を予定している中央カンテ組としては、このまま延々と飲んでいる訳にもいかず、後ろ髪を引かれる思いでPM7時頃マチガ沢を後にして一ノ倉駐車場へ向かう。
 翌日、2:30起きで予定通り3時に出発。テールリッジまでのアプローチは、雪渓が既に崩壊しており、秋のルートで行く。懐電歩行に加えてガスが非常に濃くて全然前が見えないので、ひょんぐりの滝の高巻道へ渡る手前の左岸で明るくなるまで待機する。結局、中央稜の取付点に付いたのが6時でアプローチに3時間もかかってしまった。ここでハーネスを付けて中央カンテの取付まで移動。途中キジをうったりしたので、登攀開始は6:30。後ろから来たパーティーをタッチの差でかわし一番で取り付けた。
 1P目は本ルート経験者の小幡さんにリードして頂き、以降つるべで進む。各ルートのピッチグレードは、3~4級程度だが、最初の2Pは、濡れていてちょっといやらしかった。3P目以降は、カンテ上になり岩も乾いてきて快適だ。5P目は4級のチムニーだが、見た目ちょっと難しそうであり、リードの小幡さんが一見簡単そうな左のルンゼより回り込むようにして登るが、途中からかなり厳しくなる。古いシュリンゲを掴んでなんとか登る。ルート図をみたら、ここは正面ダイレクトルンゼのルートになっていた。7P目が核心。核心は2つあり、1つ目は垂壁で、上からA0用のシュリンゲが3本ぶらさがっている。順番に足を乗せていけば、ちゃんと登れるようになっている。2つ目もシュリンゲが2ヶ所要所にぶらさがっており、A0で行く。一応アブミをもっていったが必要なかった。核心を抜けると4畳半テラス。ここからは、比較的簡単な3Pで終了点まで行ける。合計10Pだった。丁度、集合時間の12時になってしまったので明さんに連絡を入れ集合はあきらめる。取付から5時間半かかった。やはり4時頃取り付かないと12時のトマノ耳は難しい。終了点からは一ノ倉尾根伝いに一ノ倉岳へ出て、トマノ耳を目指す。トマノ耳を通過したところで、頂上付近に雷が落ちる。10mくらいしか離れていなかった。焦げ臭いにおいもした。その後は数分間隔でそこいら中に雷が落ちるなか、びびりまくりながら西黒尾根を降りていく。途中、激しい風雨とともに雹が降ってきたときは、益々雷も激しくなり尾根の脇の笹原でうずくまっていた。怖いし、痛いし、寒いし最悪の状況のなかでずっと震えていた。多少おさまった所で駆けるように巌剛新道に逃げ込みほっと一息つく。林道出合につくと三澤さんが車で迎えに来てくれていた。しかも我々のテントまで回収してくれていた。この雨で濁流と化した一ノ倉沢脇に張ってあったので、既に浸水しておりもう少しで流されるところだったとのこと。本当に有り難うございました。その後は車で湯テルメに向かい、念願の集中?を果たした。
 実質日帰りの山行だったが、なかなか中身の濃い山行だった。

〈コースタイム〉
一ノ倉駐車場出発(3:00) → 中央稜取付(6:30) → 中央カンテ取付(6:30) → 中央カンテ終了点(12:00) → 一ノ倉岳(14:00) → 巌剛新道経由旧道上マチガ沢出合(17:30)


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