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三頭山(大茅尾根~御堂指尾根)
内山 弥生

山行日 2004年12月25日
メンバー (L)鈴木(章)、山沢、川崎、前野、石川、内山

 ひとつ勉強してしまった。破線もない尾根道を歩くには、地図が読めるだけでなく、取り付きと下降点と、それに劣らず着地点を見つけ出すことがとっても、とっても、大事なのだ、と。三峰の常識は、いつも登山道のあるところばかり歩いている私にとっては、まだ「非・常識」だったので。冬の早い夕暮れと競争で急坂を降り、尾根をトラバースして、道路を囲む塀をさけるように着地点をめざす。
 でも、あっこさんやっぱりすごい。途中で一般道にでようか、という声も何回かあった中、「けっきょくあっこさん、がんがんみんなを連れて行っちゃったわねぇ」と、あとで山沢さんが感心していたように、終わってみれば日没の1時間ほど前に、奥多摩の周遊道路に下りる朽ちかけた階段に、予定通り参加者全員、ピンポイントで降り立ったのだった。沢でもないのにときどき降りられなくって、固まってしまう私も含めて。気分、爽快!お腹がすいた。

 三頭山の例会は、12月18日の予定が一週間のびて25日に。大茅尾根を登り、御堂指(みどうざす)尾根を下るルートだ。一般道ではないので、登りであまりみんなの足をひっぱるようなら、途中の大沢山から数馬へひとりで降りるつもりで参加させていただいた。(登りも遅いし、くだりはさらに遅いので。)ガイドブックにもまったくでていないルートなので、インターネットなどで記録をいろいろ調べたが、かなり健脚そうな人でも山頂まで4時間ほどかかっているようで、いちばん心配だったのは時間だ。なにしろ冬至の三日後。日没は、早い。
 中央線・上野原駅8時28分発のバスで行く。このルートを歩くにはこれ一本しかない。9時半、飯尾着。参加者はリーダーのあっこさん、このところ毎週登っていて「快調」な山沢さん、このところ二日おきに登っていて「絶好調」の川崎さん、入会したばかりの前野さん・石川さんご夫妻、そして「三峰で一番鈍足」の私の6人。
 大茅尾根には、実は破線が飯尾から北の方角に一部のびているのだが、まずは西の大羽根峠の方角へ歩き出す。南側から回り込んで尾根に乗る形だ。すぐに山道となり、途中で左の畑の中へ上がる道を見送って、沢沿いの道をとる。しばらくいくと、地形図からみてどうも左へあがらなければいけない、と、いうことで方向転換。いったん小さな沢を渡り、道のない急斜面(はい、私にはじゅうぶん急でした)を木々につかまりながら登り、尾根上をめざす。まだ山を始めたばかり、という石川さんが、「道がないところを行くのね・・・」と驚いていた。(それでも、しっかり私より速かった・・・です。)途中で左からくる道に合流。それをたどって行くと大羽根峠らしい小さな広場。ここであらためて身支度。
 そこからまもなく尾根にあがり、954.4メートルの小ピーク。(これが大羽根山らしい。)いったん尾根にでてしまうと、日あたりも展望もいいなだらかな尾根にふみ跡が続く。と~っても気分がいい道だ。山を歩くことの幸せを感じる、静かな尾根。
 しばらく行くと右側から上がってくる道が合流する。これがたぶん、地形図上の破線の道なのだろう。その後まもなく、地図上の破線も終わり、ふみ跡も見えなくなる。広い尾根だが、ずっとたどっていけばいいので、気は楽。ときどき、思い出したようにテープもある。気持ちよく、歩く。
 一度休憩をとったあと、やや急になった登りを行くと1,237メートルのピーク。そのあとすぐに、大沢山(1,482メートル)への露岩まじりの急登となる。しばらくがんばると山頂に飛び出した。12時少しすぎ。予想より1時間ほどはやかった。
 大沢山頂で宴会(昼食ですね)をしていた数人のおじさんたちのグループが、「道のないところから来たの?」と歓迎してくれた。リーダーがふたこと、みこと言葉をかわしているうちに、「やぁ~、おもしろい人たちだねぇ」、とお酒がまわってきて、約4名がいただく。空になった酒ビンを高く掲げて、皆でおじさんたちと記念撮影。(by前野さん)。三峰の人たちと歩いていると、「おもしろい人たちだねぇ」という言葉をよく聞くけど、なんで?でしょ。
 昼食は三頭山でとることになり、先を急ぐ。途中、トイレもある立派な避難小屋に立ち寄ったあと、12時半ごろ山頂着。三頭山(1,531メートル)は一般的にはみとうさん、と呼んでいるが、あっこさんによると、地元の人たちは「さんとうさん」、というのだそうだ。ゆっくり食事をして13時に出発。この時点では、時間には余裕がある、はずだったのだが・・・。
三頭山山頂で  そう、御堂指尾根の下降点が、問題だったのだ。山頂から鞘口(さいぐち)峠に向かい、リーダーと山沢さんが地図を見ながら、「これが二つめのコブだからここかな」というところで左手に尾根を探す。ちょうど、そこには「行き止まり」の看板が。これがくせものだった。御堂指尾根の下降点は「行き止まり」の標識のあるところ、と、きいていたので、やっぱりここだ、と思ったのだが。リーダーから「急降下だから手袋をするように」と指示がでて、降りはじめるが、どうもおかしい。けっきょくもう一度鞘口峠に向かう道に降りて、さらに北東側に尾根をさがす。藪っぽいところをかきわけ、山頂方向に戻ってもみたが、不明。かなり時間もたってしまい、「一般道で降りる方がいいのでは」という声も。(なにしろ足ひっぱる私がいるし・・・。)
 でも、あっこさん、地形図片手に決然と、「もう一度先まで降りてみよう」。改めて鞘口峠に向かった。さきほどの「二つめのコブ」をすぎ、もうしばらく行くと左手にあきらかな尾根が派生していた。ふみあともある。そしてそこにはまた、「行き止まり」の標識が。そうか・・・。ここも「行き止まり」だったのね。石川さんがまた、「行き止まり」のところを行くんですね、と笑っていた。(はい、三峰ですので。。。)
 これで約40分のロス。俄然、時間が心配になってきた。
 歩き出してみると尾根はあきらかだし、ふみ跡もところどころにあるようなのだが、とにかく急降下が続く。見る間に前の人と距離が開いてしまう。落ち葉が深いので何度もすべってころんだ。 かなり必死で降りる。一度、とうとう固まってしまい(ほんとに沢でもないのにね)、「MOTO! (こんなところでコールするな、って?) すみませ~ん、ちょっと待っててくださいね!」と前に声をかけ、ストックを下に投げて両手を自由にし、覚悟を決め、木の根につかまってそろそろと、降りた。
 かなり歩いたと思ったところで、最低鞍部。ここで右手にトラバースして、鞘口峠からの道にでるほうがいいのではないか、という声もあったが、予定どおり登り返して1,072メートルの広いピーク。ここは直進して少し降り、そのあと左にトラバースしながら登り返し、さらにその少し左手から右の沢に向かって急降下。日もだいぶ傾いてきているのが気になる。このあたりが実にきつかった。山沢さんに足場やルートを指示していただいてありがたかった。
 ようやく沢に下りると、そこには仕事道がきていた。ひさしぶりの道!!!
 沢をいったん渡り、少し先で渡り返し、沢沿いの道をたどると、下の舗装道路に「絶好調」で先行していた川崎さんが見えた。道の先にはくずれかけ、土に埋まりかけた取り付きの石段が、確かにあった。

 個人的には2004年の山は、実にヒサンだったのだが、しめくくりにこのコースを歩きとおせて、ほんとうにうれしかった。あっこさん、皆さん、ありがとうございました。

〈コースタイム〉
飯尾バス停(9:30) → 大羽根峠(10:00) → 954mピーク(10:30) → 他ルートとの合流点(10:40) → 大沢山(12:05) → 三頭山山頂(12:25~13:00) → 御堂指尾根取り付き(13:40) → 1,072mピーク(15:00) → 奥多摩周遊道路(16:00) → バス停(16:45)


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