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立山・山スキー
田中 恵美子

山行日 2004年11月20日~23日
メンバー (L)佐藤、三澤、山沢、福間、田中(恵)

 メールで送ってくれた山行計画書を見た時「あれっ?」と思った。山スキー初滑り山行だと信じていたのに温泉山行となっているではないか。まさか、温泉だけではないよね。重いスキー板を持っていくのだからネー・・・。

 19日の夜21時に水道橋に集合。中央道を通って扇沢に20日の1時30分頃到着。駐車場のあいている所にテントを張り仮眠。明日はそれほどたいへんではないので入山祝いがいつの間にか続いてしまう。3~4時間仮眠して7時30分起床。9時頃トロリーバスに乗りケーブル、ロープウェイ、トロリーバスと往復8,500円の高額な乗り物を乗り継いでいく。結構人も多いが観光シーズンほどではない。

 10時20分に室堂に到着。天気は曇っているが視界は良い。雷鳥沢キャンプ場まで歩いたり滑ったりでそれぞれ行きやすい方法で向かう。雷鳥荘から下は結構急な斜面でテント道具を背負っては歩くのも滑るのもたいへんだった。特にリーダーは1ケース分の缶ビールを背負ってのテレマークターンはキビシかったのでは?・・・。キャンプ場はわりと混んでいて張るところを探してしまう。
雷鳥沢キャンプ場でテントを張る  「岳人」2004年12月号の丸山剛氏の記事にもあるようにここにはトイレがない。このシーズンの人の多さを考えると本当にトイレを設置して欲しいと思う。テント村といえる数のテント1張りごとに1トイレがそれぞれあちらこちらに作られているのが現状である。テントを設営して中で休憩していると、くつろいできてしまうので出発時間を決定し、まずは手軽な新室堂乗越に行くことになった。アルミ板のような橋で川を渡り向かい側の斜面を登る。テントから1時間半位で上に着くが雪に埋まっていない岩が結構あちらこちらに見受けられる。室堂乗越の方へ行き雪の多そうな所を滑る。いよいよ今シーズンの初滑りである。わりと楽しい斜面だったが、あっという間に下に着いてしまった。
室堂乗越にて  テントに戻りうれしい飲み会兼夕食になっていく。ガソリンストーブと雪のせいか他のテントの音も聞こえず、かなり遅くまで自分たちの世界で盛り上がってしまった。前夜はあまり寝ていないのにみんな元気だよネ。

 21日は起きたら天気はガスで午後は悪くなるとのこと。一ノ越あたりが良いとの話になり、飲み物の残りも不安なことから直接登らず室堂経由となった。8時30分発で登り直して1時間ほどで室堂に到着。ここはやはり観光地だなと改めて便利さを実感する。きれいなトイレを利用してから、必要なものを仕入れて再出発。
一ノ越への登り  浄土山の下を通って右尾根の下方をトラバースしていく。ほとんど夏道沿いにトレースが出来ている。浄土山を滑っているグループも多い。途中はあまり風もあたらず、時々日も射した。11時30分一ノ越に到着。できれば御山谷を少し滑ってまた戻るという案もあったのだが岩がかなり多く出ているのでみんなその気になれなかった。ツェルトをかぶって休憩を取っているとだんだん風がでてきて寒くなってきた。12時10分発。沢を滑って雷鳥沢キャンプ場へ直接向かう。5月の頃はあっという間に着くらしいが、沢が埋まっていないのでコース取りが結構むずかしい。最後は川を2回渡渉してテント場に戻った。13時5分到着。浅い川なので濡れずに済んだ。
 時間もまだ早く、他のグループがビーコンの練習をしていたので我がグループも少々勉強をした。今夜は雪が降りそうだとのことでテントの周りも丁寧に掘り直す。夕方から夜にかけて雪というかアラレのような音がかなりしていた。テントの周りの雪かきを交代でする。

 22日朝、起きたときはまだガスがかかっていた。毎日登っていたので少々疲れも出てきたが、やはり雷鳥沢を滑ろうと8時15分出発。
 このころからどんどん天気が良くなり、青空が広がっていく。人もかなり多くなってぞろぞろと登っていく。シールで登っている人やつぼ足で登る人それぞれだ。私はシールで登ったが、上部の方の狭くなったところはつぼ足に変更した。ボーダーのスノーシューはどっちつかずで、つぼ足の所へ来て足場を壊して登るのでその後ろは歩きにくかった。
雷鳥沢を登る人々  登る途中で後ろを見ると奥大日岳・大日岳や浄土山方面が良く見えた。10時20分別山乗越の剱御前小舎に到着。剱岳が見えて迫力のある眺めである。剱沢方面はたくさんシュプールが付いていた。雷鳥沢方面は薬師岳や遠くには白山も見えた。青空の中に真っ白い山が連なり素晴らしかった。
 少々休んでからいよいよ出発。今日なぜか雷鳥沢はまだあまり滑られていなかった。テレマーカー2人が我々の前を滑っていたが新雪の斜面はたくさん残っている。上方は岩が出ているかどうか心配でゆっくり降りた。
 あとは少々硬い雪の上に夕べの降った新雪が10~15センチ積もっていて「キャホー!!」という感じで滑れて最高だった。このように良い条件はめったにない。まるで春スキーの良い時の状態だ。もったいないので所々で止まって「いいねー!」と楽しみながら滑っていった。
雷鳥沢を登る途中で全員集合  かなり下って、もう少しで平らになるところで、ある人が剱御前小舎の前に忘れ物をしたとのこと。まだ、11時20分でこのピーカンの天気。「頑張ってねー。」と手を振って送り出す。もう1度登るのはたいへんだなと思ったが、後で聞くと登りは足場がしっかり出来ていてたいしたことがなかったが下りは雪が重くなって苦労したとのことだった。
 11時35分テント場着。お天気が良いので外で昼食のラーメンをのんびり作って食べる。2回滑った人も戻ってきてテントを撤収する。
 この後は室堂手前のみくりが池温泉まで行けばいいのだから気が楽である。と言っても重い荷物の急斜面の登りが待っていた。1時間ほどの登りで14時50分着。
 ここからが本来の目的である温泉山行となるのである。リーダーはテントの時も雷鳥荘の温泉に入りに行くつもりのようだったが停滞日もなく実現しなかった。みくりが池温泉は日本で一番標高の高い温泉とのこと。設備は山小屋というよりはホテル並みで、いい温泉だった。その後は喫茶室で夕日を見ながら生ビールで乾杯。シーズン初めからこんな山スキーが出来るとはラッキー!!
夕日に染まる大日岳  23日もお天気は晴れ。室堂に荷物を置いて浄土山あたりを滑ろうかとの案も出たが昨日の良い気分を壊したくないので、混まないうちにさっさと下ることになった。
 8時15分発のトロリーバスに乗り、私達以外ほとんど人が乗っていない乗り物で降りていった。ロープウェイからの眺めは青空の中に遠くがよく見えて素晴らしかった。扇沢から大町温泉郷に寄り温泉山行の締めくくりとした。


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