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甲斐駒ヶ岳
道祖土 巌

山行日 2005年3月19日~20日
メンバー (L)小幡、成田、峯川、道祖土

 甲斐駒黒戸尾根、はるか学生の頃に何かの都合で(おそらく卒業にかかわる単位取得の関係と思われるのですが)行けなくなって以来、三峰に入会するまで山を離れていた間も時々気になっていたルートでした。
 メンバーは年中行事となっている小幡さん、今年定年という成田さん、本人曰く痛かったながらもいい経験になったと言う今回の主役峯川君に私という男のみ4名、成田さんにとっては入会以来はじめて女性陣抜きのメンバーであったということでした。
 前日の10時に新宿を特急かいじで出発。八王子で成田さんと合流し翌日未明に小淵沢駅に到着、構内のログハウスのような待合室で仮眠、他に駅舎の方に数パーティーがいたものの翌日八ヶ岳方面に向かったようで、甲斐駒へは私たちのみ、早朝残雪の甲斐駒を見ながらタクシーで駒ヶ岳神社まで移動。ここでは先行2パーティーが準備をしていたものの、早くから好天と予想されていた連休にもかかわらず、私たちを含めた3パーティーと数名の入山のみであったようでした。7時過ぎに標高差1,500m程の七丈小屋へ向けて先頭を峯川君に任せ出発。いきなりの急登も快調に前にいた7人のパーティーも追い抜き順調に高度をかせいでいきました。しばらく行くと所々に凍結箇所があり例年よりも雪が多そうな感じでした。
 最初の休憩をとった後、峯川君がどうしても花粉症と前日の仕事の疲れから調子が今一歩ということで先頭を私に交代、そろそろアイゼンも必要かと思っていた矢先にセカンドの峯川君がスリップ、立ち上がってみると目頭にやや深い傷があり出血も少し多い様子。本人の顔色もややわるく少し深刻な現場となってしまいましたが、冷静に止血をした後三角巾で手当てをし、傷の見えない本人には、少し深いので後に残るかも知れない程度の話をして精神的なショックを与えず、30分ほどの処置でアイゼンをつけて出発となりました。ただ依然として調子は戻らないものの若さは何にも代え難く、その後に続く八丁坂、刃渡りと通過し、一日目の予定を五合目小屋に変更し2時ごろ到着。小屋の中にテントを張ることを考えていましたが、あまりにも中が暗く今にも崩壊しそうな建物であったため、整地に時間がかかったものの1張り分のスペースを確保してテントを設営、初日は終日好天に恵まれすぐにテントに入るにはもったいないほどの春の陽気でした。峯川君の傷が気になるものの顔色も回復し、本人はテントキーパーを考えていたようでしたが、なんとか明日は行けそうな様子にほっとし、食前、食後にビール、焼酎、ウィスキーと男だけながらもなかなかの宴会となりました。個人的には初日の急登に弱気になり直前に酒類を減らしたにもかかわらず、成田さんの持参した酒の量には感心しました。
 翌日は15分程寝過ごしたものの5時過ぎには思い通りの快晴無風の中を七丈小屋、8合目の御来迎場と古の信仰登山を彷彿させる祠などが所々点在する中を鳳凰三山、富士山、八ヶ岳、槍穂から後立を一望し所々クラストした雪稜を快調に進み8時30分過ぎにはピークに到着。ついこの間の正月に登った仙丈そして北岳、塩見岳、中央アルプスから白山山系まで一望することが出来ました。
甲斐駒ヶ岳山頂にて  春山のピークをゆっくり満喫すれば、既に気持ちは下山と言うことで昨日の時点では当初通り2泊と思っていましたが、今日中に十分下山可能と分かり一転五合目小屋まであっという間に到着、撤収後もう一度春山の陽だまりを満喫するべくそれぞれがコーヒー、紅茶で一服し駒ヶ岳神社に向け出発。途中アクシデント現場にその痕跡を発見することもなく3時頃には下山。楽しみにしていた駐車場の売店が閉店していたため名物の漬物はおあずけとなりましたが、自販機のビールでまず乾杯し今回の山行を無事終えることが出来ました。

〈コースタイム〉
3月19日(土) 駒ヶ岳神社(7:10) → 笹平(10:15) → 刃渡り(12:15) → 五合目小屋(14:00)
3月20日(日) 五合目小屋(5:15) → 七丈小屋(6:00) → 8合目(7:25) → 甲斐駒ヶ岳(8:35) → 五合目小屋(10:55) → 駒ヶ岳神社(15:15)

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