トップページ > 岩つばめ一覧 > 岩つばめ318号目次

山スキー・乙妻山(佐渡山)
小堀 憲夫

山行日 2005年3月12日~13日
メンバー (L)三澤、箭内、福間、田中(恵)、小堀

 今年はなぜか山スキーにチャレンジすることになった。なぜか?
 理由は自分でもあまりはっきり分からない。あぁ、そういうことなのかなぁ? なんてくらいのことは思ってみるのだが、それも自信がない。まあ良い、元々オラの人生明確な理由があってやってきたことなんてほとんどないのだから。
 学生時代に少しスキーをかじった。ワンゲル部の友人に白馬の岩岳スキー場に連れていってもらったのが始まりだ。少しは滑れるようになったが、とことんやるところまでは行かなかった。当時貧乏学生であったオラの財布事情ではスキーは高価な遊びだったのだ。第一、お金を払って宿に泊まらなくてはならない。リフト代もかかる。道具もちゃんと揃えると結構かかる。宿代ただの天幕遊びを常としていた身にとって、その辺のブルジョア学生達とゲレンデでチャラチャラ遊ぶのが何となくしっくりこなかった。まあ、当時はスキー自体がそれほど面白くもなかったのだろう。そんな訳でなんとなく中途半端のままほってあった。社会人になって、歩くスキークロカンを覚えた。会社で作ったワンゲル部の友人が、八ヶ岳の麦草ヒュッテに連れていってくれたのがキッカケだ。宿の道具を借りて周辺を歩きまわった。これが面白かった。さっそく自分の道具を揃えた。板が軽くて裏にウロコがついているので、シールなしで結構な斜面も登れてしまう。しばらく続いた。しかし、これも中途半端で、テレマークターンをマスターするところまでは至らなかった。で、今回の第三次スキー発情期を迎えた訳だ。50歳を前にして発情するとは我ながらあきれる。が、今のところ、年のせいで何かを諦めようという気が全然起きない。で、重い荷物を背負って登る山スキー、これが面白い! 何が面白いって、まっさらな新雪の斜面に自分のオリジナルシュプールを描く快感、たまりません! 板幅が広いので登りはクロカンより大変だが、滑りは安定する。どうにかオラでも滑れる。そして仲間との語らい。どんな山行形態でも、それは同じだが、同じ雪山でも山スキーはなにか一味違って、これが良いのですねぇ~。
 JR駒込駅に集合して一路頸城山域へ。戸隠の大橋の駐車スペースに車を止めて大人しくビバーク、する訳がない。当然寝酒のミニ宴会に突入。
 翌朝シールを着けて、黒姫山の大ダルミに向う林道を北上する。ここはごく緩い登りになっている。小雪降る中ひたすら歩く。やがて1280メートル辺りで林が分かれ、左に入り五地蔵山と佐渡山の鞍部へ至る小尾根に取り付く。高度を稼ぎ、3時前には幕場に予定にしていた氷沢源頭部の広い盆地状のブナ林に到着した。ああ、ここには山の神様がおるな、と感じられるなかなか良い場所だった。今日はそこまでとし、テントをきちんと張った。その後、軽く佐渡山へ登る。下りはあっと言う間に終わり、少し物足りないので、皆テン場を通り越し、その下斜面まで滑りを楽しんだ。登りも下りも快適な山で、小ぶりながら結構楽しめた。
佐渡山頂上にて  テントにかえると丁度良い時間で、友との語らいタイムに突入した。外では雪が降り続いている。やがて年配の男性1人女性2人のワカン隊が我々のテントの前を通り、乙妻方面へ向っていった。雨が降った後の新雪なので、少し心配だ。このまま降り続くようなら明日は無理せず降りようと話しあう。夜中、まだ語らいの続く中、ドドドドッ! と地響きを伴って重低音が聞こえた。それも続けざまに30回ほど続いた。雪崩だ。この時点で、完全に明日の乙妻行きは諦めた。
 翌朝テントは半分雪に埋まっていた。ゆっくり食事をとっていると、昨日のワカン隊が下ってきた。深い雪に行く手を阻まれて戻ってきたとのこと。雪崩にやられていなくて良かった。我々も食事を終え、ゆっくり下った。帰りは、お決まりの温泉&お蕎麦を楽しんだあと帰京した。

〈コースタイム〉
3/11

 21:30駒込駅集合
3/12

 1:30大橋駐車場着 テント設営

 7:00起床

 9:30駐車場発

 11:301580m付近着 ブナ林にテント設営後、佐渡山へ出発。山頂から滑って川のほうへ下って30~40分登り返し。

 15:30テント場へ戻る
3/13

 7:00起床

 9:30登ってきた所をスキーで下る。

 10:00駐車場着
小布施の町を見学してから帰京。

トップページ > 岩つばめ一覧 > 岩つばめ318号目次