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酉谷山(タワ尾根~真名井北稜)
川崎 恵美子

山行日 2005年5月14日~15日
メンバー (L)鈴木(章)、箭内、土肥、川崎

 奥多摩が好きです。それも奥へ行く程魅力にあふれ季節を変えて訪ねる度に新しい発見が在り私を夢中にさせます。普通の山と尾根はかなり歩いてきましたが憬れながらも中々勇気がなくて足を踏み込めなかった所、それがタワ尾根と真名井北稜でした。4月からの例会山行計画表になんとその二つの尾根が詰まった山行があるのを知りすぐリーダーのあっこさんに "私絶対行きますから!"と宣言し、その日が来るのをずっと楽しみにしていたのです。三峰では普通の事かもしれませんが登山道でない所へ入って行くにはそれなりの準備と覚悟がいりますので25,000図4枚張り合わせて時間のある時に少しずつ情報を記入していきルートからおおよその時間を計算し~とそれがまたわくわくと楽しくて~

ミズナラの巨樹様  土曜日の朝奥多摩駅集合。日帰り三ツドッケ行きの前野夫妻と一緒に東日原行の臨時バスに乗り込む。09:30発の予定がみんな早く集まったお陰で大分得した気分。バスの中で蕎麦粒山手前のシロヤシオが満開のはずだからと鳥屋戸尾根経由を推奨し川乗橋でお二人と別れ終点の日原鍾乳洞へ。
 10:30まず神社の裏から一石山を目指す。結構な急登に重いザックがきつくこの先何時間で長沢背稜に抜けられるのかと少し不安になる。しかしその後は快適で誰もいない静かな尾根をぐんぐんと調子を上げて進み金袋山の手前で有名な巨樹のミズナラにご挨拶。
すごい、まるで恐竜のようだ!最近は巨樹ツアーなんていうのもあってこの辺りまでは結構人が入っているらしい。スズタケが枯れていて覚悟していた藪漕ぎもなくあっという間にウトウの頭へ着いてしまった。13:40ウトウの頭で撮影会?ここであの鳥と一緒に写真に納まる。
ウトウの頭 やったー!これって奥多摩ファンのステイタスなんですよ。その後間もなく岩稜地帯も現れ少し緊張したりしながらなんとなくみんなでがんがんとばし長沢背稜にあっけなく抜けてしまった。14:40尾根から抜け出るこの瞬間が好きでたまらない。なんというか音で表現するとスコーン!ていう感じかな?しかしその後ぽつぽつと雨が降ってきたので一杯水避難小屋まで無理するのはやめにして今日のお宿を酉谷避難小屋に決定。そう決まると箭内さんは今夜の天ぷら材料にと必死においしそうな葉っぱを探し始めるが長沢背稜はまだ芽吹きの季節でスミレがぽつぽつ咲いているくらいの早春状態の為アザミの葉っぱを少しだけゲットして誰もいない丸太小屋へとなだれ込む。15:40こぢんまりとした快適な避難小屋をわれら4人で占拠。窓から正面に鷹巣山を始め私の好きな山々が。山桜も満開。あのアザミの葉っぱとそのあと箭内さんが探してきたヨモギが土肥さんの手にかかると美味しい天ぷらに!!アザミ=トゲ=いや という図式が アザミ=てんぷら=おいしい と変わってしまいそれからはアザミを見るたびに食材と思うようになってしまった。恐らく食するに最適の成長段階だったと土肥さんは謙遜していましたが真に美味! 明日朝7時頃出発予定と決まると後はずっと楽しい宴会。こういう所で静かな夜を過ごしてみたいってずっと思っていたんです~
 翌朝07:20長い縦走路をまず一杯水避難小屋へ向けて歩く。途中で期待以上のアカヤシオを見つけ私一人で興奮!ハナド岩辺りで撮影会。その後あっけなく一杯水へ着いてしまい09:10小屋に入って一休み。ここもいい小屋で大好き。床の上になんか茶色い包みを発見。
 なんだなんだとみんなで見てみると"三峰山岳会デポ品"と記入されている。みんなでワクワクしながら包みを開くと半ダースのビールが! 冗談じゃなくて本当に前野夫妻が私達の為に小屋に歩荷してくれていたんです。夜の宴会には間に合いませんでしたがその気持ちが嬉しくて即少しだけ喉を潤す事に。残りはザックにしまい込み後のお楽しみにと。
 その後川苔山までは結構長く頂上で少し休んでいるとまたぽつぽつきたのであわただしく山頂を去る。赤杭尾根を少し下った真名井沢の頭から真名井北稜へと進む。出だしはなんだいい道だ、ツツジ街道だなんて喜んでいたのもつかの間その後が大変な事に。
 バリルートを下りにとるのは大変な事だといい勉強になりましたが途中、電波塔へ連なる仕事道へ迷い込むこと数回、その間直径1cm位の大粒の雹に打たれたり雷鳴にびびったり、見たこともないような大きな虹を見たりとそれはそれは大変でした。最後はリーダーの決断で大丹波川沿いの林道へ強硬突破作戦に。この先はもう冒険ごっこか探検ごっこかわからないくらいでしたがどうやら多少ビビッているのは私だけで箭内さんはなんだか楽しそう。細引きとカラビナで"ザックに振られるー!"と叫びながら谷へ無事着地。後の3人は少し登り返し沢を下り、渡渉し藪をこぎ、石垣をクライミング?し、ガードレールを乗り越えて無事生還。その間箭内さんとはホイッスルで合図し合い道路上で合流。17:30 ここで前野さんのビールで無事終了の乾杯!その後延々と川井駅を目指して歩いている内に真っ暗になり20時近くにやっとたどり着き20:14発の電車に一同泥泥、傷傷、ヨレヨレのまま乗り込んだのでした。忘れられない山行になること間違いない!!

追記 リベンジ
 2週間後の5月29日に、鈴木、土肥、川崎+前野夫妻の5名で、真名井沢遡行の後、真名井沢の頭から北稜の入口まで、8時間近くかけて完歩してきました。遡行には5時間もかかり、詰めがまた厳しく稜線手前では岩稜まじりの急斜面をなんとか這い登りました。北稜は前回間違えた地点を確認しながら、今回は難なく気持ちのよい歩きができました。
 教訓~現在地は小まめに確認しよう。


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