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魚野川・万太郎谷本谷
紺野 康則

山行日 2005年8月27日~28日
メンバー (L)紺野、金子、藤井、成田、天城、深谷

 万太郎という名前を聞くと妙に懐かしさを憶えるのは、私だけだろうか? 昔の人の名前の様であり、30年も前に山を始めた頃、先輩に連れられて、登ったのが万太郎山でした。そんな懐かしい人に会えるような気持ちにさせてくれる響きがあります。ともかく沢好きの衆が、また集まって行く事になったのである。

 東所沢を23時に出ると湯檜曽駅に1時前に着いた。ステーションビバークが始めての深谷さんは、少し緊張している。翌朝土合駅に車を置き、電車で土樽駅へ向かった。駅から入渓するまで、車道を約1時間歩く。気がつけば、藤井さんはスリッパでピタピタ歩いている。家に靴を忘れてきてしまったとの事。でも、なぜか上機嫌なのである。天気は、小雨交じりであまり良くない。すぐに4mの深い釜の滝に到着、冷たそうである。あっさり右から巻いた。少し行くと関越トンネルの換気口の塔が、立っている。遠くからでもすぐにわかる程の大きな塔だ。
 オキドウキョのトロに着くころには、体も温まってきたので、泳ぐことにした。雨のせいか、増水している。左のバンドから対岸に飛び込むのだが、中々ふんぎりがつかない。頭の中でイメージしてみると、気合から差し引くことの(水流+ザックの大きさ+体重)=-20cmで流される・・・と算出。などとモタモタしていると藤井さんが、どれどれとばかりにボーンと飛び込んで、あっさりOKなのである。カッコいいー。こんなのかるいって感じ。小雨の降る中先を急ぐ。ナメ滝をいくつか越して行くと、やがて一の滝に着いた。滝はすだれのように水が流れていたので、少し戻って右のルンゼから高巻く。大きな岩の基部を行くのが、一つの目安になる。トラバースに入るところの藪が、濃いので少しわかりにくい。トラバースのルートは案外登りやすい。二の滝をなんなく越えて少し行くと、右岸沿いの大きな岩のところにタープの張れる良いところがあった。タープの中では、天城さんが途中で採ってきたきのこ入り豚汁で、いつもの酒盛りだ。うまいね、山の飯と酒は!
 翌朝少し行くとすぐに三の滝に出会う。昨夜降った雨でだいぶ増水している。先行の4人パーティーが、左側の壁を登っているので、我々は右側のバンド伝いに、ルンゼを登ることにした。取り付きは、水量が多くてスタンスが見えないため、苦労したが、なんとか滝の上に出る事ができた。それから少し登ったところで、深谷さんが足を滑らせて2~3m滑落する。脛をうって痛そうである。本人は大丈夫と元気。それから、枯れた滝を越え、笹の草原を抜けると稜線に出ることができた。見上げれば肩の小屋はすぐそこにある。スリッパの藤井さんは、ロープウェイで下山することにした。西黒尾根はこんなに長かったかな?と思うくらい長く感じた。やっと下の車道に出ると、藤井さんがビールを冷たくして待っていました。なんて良い人なんだろう。ほてった体に、しみこむビール。満足感でいっぱいでした。
 後でわかった事ですが、深谷さんのケガは、軽い骨折だったとの事。あの長い西黒尾根を我慢して歩いたと思うとすごく頑張ったんだね。彼女は、約1ヶ月のリハビリで山に行ける様になったとの事。本当に安心しました。

〈コースタイム〉
27日 土樽(8:40) → 入渓(9:50) → 二の滝上テン場(16:00)
28日 テン場(7:10) → 三の滝上(10:50) → 西黒尾根下山(15:50)


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