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温泉ハイク・妙高山
西尾 弘資

山行日 2005年7月29日~31日
メンバー (L)佐藤、別所、西尾

 このところ何故か温泉づいている。6月は、秘湯探検家あきらさんの杉田川・安達太良山の例会で「沼尻源泉」、「あだたら温泉」、「奥岳温泉」へ行った。岩つばめ前号の報告にもあったように「沼尻源泉」の「激流温泉」は凄かった。7月は家族旅行だったが、青森の「酸ヶ湯」、「鯵ヶ沢温泉」、「不老ふ死温泉」を巡り、山としては、一応岩木山に登った。ハイウェイで8合目まで、リフトで9合目まで、そこから徒歩僅か25分で山頂。これでも登山?? 同月焼石岳集中の例会では、「夏油温泉」。そして今回再びあきらさんリーダーの妙高山温泉ハイク。
 7月29日(金)22:00に高田馬場駅前に集合し、あきら号で出発。他に服部さんと小山さんも参加予定だったが、二人とも急用で、結局3名になってしまい、いささか寂しい。関越道から上信越道に入り、東部湯の丸SAの片隅で幕営。30分コースのはずが、なんだかんだとお酒が進み、結局翌日は寝不足に。
 7月30日(土)朝、眠い眼を擦りながら、妙高高原ICを出て、燕温泉入口に駐車。08:25駐車場を出発。燕温泉という名前だけあって、上空には岩つばめが飛び回っている。こぢんまりした温泉街を通り抜ける。妙高山への登山ルートは、「妙仙橋」という吊り橋を渡って北地獄谷の北側尾根を登るルートと北地獄谷の南側を谷沿いに登るルートの2本がある。ところが、北側尾根ルートは、吊り橋が落ちていて通行止めになっている。そこで選択の余地無く、南側のルートに入る。登り始めてすぐに「黄金の湯」が現れる。これも露天風呂であるが、管理が行き届いており野趣には欠ける。ここで入湯したら、山へ登りたくなくなるような気がして、下山後入湯することとし先へ進む。天気は曇りで何とか行けそう。
赤倉温泉の源湯  09:20赤倉温泉の源泉に到着。登山道からは見えにくいが、ここに立派な露天風呂がある。管理小屋に人がいたので、一言断りザブン。と言いたいところだが、掃除が終わったばかりで、お湯は僅か数センチしか溜まっていない。でもそれでメゲルようなオジサン達ではないので、底に溜まった僅かのお湯を愛で、仰向けになったりしながら入湯。露天風呂自体は、掃除が行き届いており綺麗だ。湯は無色透明。ここで昨日のお酒がスッカリ抜け、いよいよ本格的な野湯を目指す。
 光明の滝を巻いて、その上の称明の滝(称名の滝)に10:05到着。この称明の滝直下の傍に野湯がある。といってもお尻がほんの少しだけ入るだけ。したがって、効用としてはせいぜい痔にしか効かないだろう。あきらさんだけが執念で入湯。湯は白濁で硫黄臭がある。滝から20m程下ったところに少しお湯が溜まるところがあったので、3人交代で入湯。ここからまた少し登ったところに地図上には温泉マークがあったが、それらしいところは涸れており、残念ながら温泉遺跡。 光明の滝(下)と称明の滝(右上)  そして、この後から急登。胸突八丁の標識も出てくる。喘ぎながら天狗堂(天狗平)に出る。普通ならここから妙高のピークに向かうのだが(行程約1時間50分)、我々はピークには興味なく、大谷ヒュッテ方面へ下る。暫く下り林道に飛び出すと、大谷ヒュッテと反対側の南地獄谷に向かう。
 妙高高原のホームページによれば、この南地獄谷から池の平温泉と妙高温泉に引湯しているそうである。泉質は硫酸塩・炭酸水素塩温泉、56℃とのこと。沢に入ると、物凄い噴気が噴出し、硫黄臭が鼻をつき、まさにそこは阿鼻焦熱、地獄の様相(ホントの地獄はまだ見たこと無いが)。温泉の源泉施設があり、凄い音を立てている。ちょっとヤバイんじゃないの。火山ガスでコロリは嫌だよと思いながら、遅れながらも秘湯探検家の後を追って地獄谷を遡上する。スリリングな状況の中、ついに湯の川を執念の探検家が発見。その風呂ンティア精神に脱帽。
 でも、お湯の温度が熱すぎてとても入浴できるものではない。これじゃダメか、と断念しかけたところに、あきらさんの秘密兵器「ポータブル浴槽」こと「くまのプーさんビニールプール」が登場する。プールに熱い湯を流し込み、脇にある冷水の流れからもう一つの秘密兵器「折り畳み湯桶」こと「布バケツ」をリレー、加水して、適温にしようとする作戦だ。3人のチームワークよろしく、丁度良い湯温になる。ただし、プールの底の下側には高温のお湯が流れているために、底に触れているお尻が熱い。尻焼温泉状態だ。時々バケツで加水し、野湯の醍醐味を味わう。野湯の中でも、ここのグレードはかなりの上級だ。噴気の轟音が唸り硫黄臭が鼻をつく南地獄谷の中で極楽を楽しんだ。カラフルなプーさんプールの中で、肌を寄せ合い、「オレ達ってバカだよな」と自虐しながらも思わず微笑がこぼれる裸のオジサン三人衆であった。
地獄谷で極楽!極楽!  13:40南地獄谷を後にし、天狗堂まで登り返して下山開始。暫くすると雨が降り始めた。南北ルートの分岐では、吊り橋は落ちているものの何とかなるだろうということで、北側尾根ルートに入る。ところがこちらのルートは通行止だけあって、下草などは刈り払われておらず、雨+露でズブ濡れとなる。雷も鳴り始め、道は小川状態となりあちこちに小滝が出来ている。16:20落ちた吊り橋のところに漸く到着し、傍にある「河原の湯」へ行く。ところが湯船の栓が抜かれており湯が無い。でも多量の湯は止まることなく、空の湯船に向かって放流されている。そこでここでも例の秘密兵器「くまのプーさんプール」が登場。湯は適温なので、あっという間に、大きな露天風呂の中に小さな簡易湯船が完成。雨の中、濡れるので(?)傘をさして入湯。やはりオレ達ってバカだよな。
「河原の湯」の特設湯船  ここから支流を少し登ったところに、惣滝という日本の滝百選にも選ばれた名瀑があり、その傍らに「惣滝の湯」という野湯があるそうだが、沢が雨のため増水しており遡行は危険なので、断念。落ちた吊り橋はまだ残骸が撤去されていなかったが、工事用の足場が組まれていたので、簡単に対岸まで渡ることができた。
 朝方やり過ごした「黄金の湯」へ入る。ちゃんと男湯・女湯もあり、燕温泉の宿泊客もたくさん訪れている。今日初めて、肩まで浸かれるまとも(?)な湯に入ることができた。湯は「河原の湯」と同質な感じ。さっぱりしたところで、今夜は野尻湖で花火大会があるという情報を得ていたので、野尻湖辺りで幕営し、花火でも眺めながら優雅に一杯やろうか、ということになった。
 野尻湖畔に着くと車が多く、あちこちに1,000円也の臨時の駐車場が特設されていた。どこか幕営できるところを、と湖の周りを走り、2ヶ所程の候補地を見つけたのだが、花火がよく見える場所を探している内に、湖を一周してしまった。近くに湖楽園というキャンプ場があったので、いくらでキャンプできるか聞いたところ4,200円とのこと。ギョエーッ!っと驚き、帰ろうとしたら、キャンプ場の兄チャンが、1,800円に負けるとのこと。もう夕暮れとなり、花火開始の時間も迫っていたので、山ヤとして軟弱だと諸兄諸姉から指弾を受けるかもしれないが、臨時の駐車場に車を預けても1,000円掛かるし、えいやっと1,800円投資してしまった。
 指定位置にテントを張り始めたが、周りはコールマン等のオートキャンプ用の大きなテントが多く、明るく輝くランタンやダブルバーナーのストーブが装備されており、ディレクターズチェアなんぞに腰掛けていたりする者もいて、皆さんご立派。我らのテントは、「設営いたって簡単」というメリットはあるもののどうも見劣りする。そそくさとちゃぶ台と卓上コンロを運び込む。マァ彼等とは、文化が違うからしょうがないのだ。テントを張り始めたら、急に強雨が降りだし、花火大会ホントにやるのという感じだったが、なぜかテントを張り終えるとすぐに止み、19:45ドッカーンと花火大会が始まった。夕食は後でということで、取り敢えずビールとつまみを持って湖畔へ行く。目の前に鮮やかな大輪の花火が弾けて湖面に映え、轟音が山々に響き渡るのだが、この音響・迫力が物凄い。隅田川等の都会の花火では味わえない醍醐味だ。ロケーションも良く、まあ1,800円の出費は良しとしよう。
 20:30、派手な連発打ち上げを最後に花火大会が終わり、余韻に浸りながらテントへ戻る。今夜はちゃんこ鍋、3人で食べきれないほど食べた。お酒の方は、充実した山行(湯行)に草臥れたのか、あまり進まないまま皆オネムになり、周りの文化の違う人達が盛り上がっている中で、睡眠に落ち込んだ。
 7月31日(日)、早朝から子供達の元気な黄色い声に起こされる。やはりここは山とは違う。きしめんをさっと準備し朝食。テントの撤収はあっという間、隣のテントの人がびっくりしたように見ていた。
 今日の温泉はどこにしようかと迷ったが、野沢温泉に決定。上信越道信濃町ICを入り、隣の豊田飯山ICを出て国道117号線を千曲川に沿って野沢温泉へと向かう。
 野沢温泉では、まず「大湯」に行く。ぬる湯とあつ湯があるが、ぬる湯でも結構熱く大人でも入れないで騒いでいる人がいる。我々温泉三人衆は、一応あつ湯に入ってみる。入って入れないことはないが、快適なものではない。あつーッ。その後、野沢温泉の源泉である「麻釜」を見物し、「麻釜の湯」に入湯。こちらは「大湯」ほど湯船は大きくないが、温めで和める。
 野沢温泉を後にし、「へぎそば」を食べに十日町へ向かう。あきらさんオススメ、十日町の土市駅近くにあるへぎそばの有名店「由屋」へ行く。11:30頃であるが、駐車場は既に一杯で、店の前まで人が溢れ並んでいる。やっと席に通され、「大へぎ」と「野菜てんぷら」とビールと冷酒を注文する。「大へぎ」は4~5人前(1升)ということだが3人でも結構量が多い。麺の腰が強くてつるつる感がよく、つゆもだしがよく効いて美味しい。満足、満足。3人とも靴紐が結べないくらい満腹になる。「由屋」の隣には酒屋があり、新潟のいろいろな地酒が並べてあり、こちらもオススメ。
 13:00頃十日町を出発し、六日町ICから関越道に入り、渋滞に巻き込まれることもなく、16:00前に西武池袋線練馬高野台駅前で解散。本例会をまとめると、温泉入湯7ヶ所(ぜ~んぶ無料)+花火大会+へぎそば+八海山純米吟醸であった。


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