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泙川三俣沢大岩沢
金子 隆雄

山行日 2005年6月25日~26日
メンバー (L)金子、箭内、鈴木(章)、土肥

 金曜の夜にいつものように東所沢駅に集合。駅に着くとサゴイ沢へ行くという越前屋、福間、飯塚のお三方と鉢合わせ。彼らは一足先に出発、我々もすぐに後を追うように出発。沼田ICから国道120号を日光方面へ向う。切通バス停の所で国道と分かれて奈良への道へ入るのだが暗くてよくわからずに行き過ぎてしまう。奈良を過ぎて真っ暗な林道を進んでいると時々鹿が道へ飛び出してきて驚かされる。
 やがてゲートが出てきて車はここまで。今回このゲートを開ける工具を準備してきたのだが、残念ながらサイズが合わなくて断念。すぐ後を来ていた三重泉沢へ入るという沢屋とも釣師ともつかない連中がゲートを開け一緒に行こうと誘ってくれる。帰りは我々が先に降りたら待っていて、我々が後だったらゲートは開けたままにしておくと言うが、物事そんなに思い通り進まないことも多い。へたすりゃ次の週末まで出られないなんてことになってしまう。そうなったら一大事なので辞退することにした。車の通行に邪魔にならない所にテントを張って一杯やって寝る。
 25日、天気はまずまずで7時前にゲートから林道をテクテクと歩き始める。三重泉沢に架かる三重泉橋を過ぎしばらく行くと泙滝が見えてくる。泙滝は泙川本流にある大きなナメ滝で林道上から見える。その先のカーブミラーのある所から踏み跡を辿って降りる。踏み跡はトラバース気味に徐々に下って最後は木にぶら下がって広い河原に降り立つ。
 溯行準備を整え広い河原を歩きだす。ニグラ沢出合を過ぎると少しゴルジュっぽくなり崩れかけた堰堤が現れる。左岸のバンドを辿りフィックスロープを利用して越える。堰堤下では二人の釣師が釣り糸を垂れている。今年は雪融けが遅かったせいか前に来た時より沢が汚れて見える。湯之沢出合手前の大きな淵は左岸のしっかりした捲き道を辿って湯之沢出合に降りる。前に下降した時はこの捲き道を知らなかったので水流通しに降りて結構苦労した記憶がある。出合の本流と湯之沢にかかる滝を雄滝と雌滝というそうだが、実はこの二つは滝ではなく堰堤であった。堰堤にこんな名前付けんなよ!
湯之沢出合にて  微妙なヘツリなどもあったが概して穏やかな溪相が続くので釣をしながら進む。やがて広河原になり下降予定のス沢が右岸より出合ってくる。前小屋沢出合辺りで釣は終わりにして溯行に専念する。スルノ沢出合で本流は唐突に水がなくなってしまう。右岸の岩の間から水が噴出しているが、今までの水量に比べると信じられないくらいに少ない。とりあえず水の流れていないナメ滝を登ってみるとその先には垂壁のような滝が控えている。釜には腐ったような水が淀み、とても入って行く気にはなれない。もっとも取り付いたとしてもとても登れないだろう。戻って右岸を捲いて滝上に出る。滝の上も全く水が流れていない。箭内さんが偵察に出る。このまま涸れ沢になってしまっているなら遡行する価値もないので引き返して適当な所で泊って帰ろうと考えたが、幸いにも少し行くと再び水流が復活しているようなので先に進むことにする。200m程進むと水流は復活してくる。
 左岸より三左衛門沢が出合うとすぐに右岸より目指す大岩沢が出合ってくる。ここはほんの少しずれているだけで本流の宿堂沢と合せて三俣になっている。三俣沢の名前の由来だろうと思われる。
 大岩沢に入ると今までとは様相が一変してゴルジュとなり滝の連続となる。慎重にいくつかの滝を越えて行きゴルジュが途切れた所で本日の行動を終了する。左岸に良い場所があったのでタープを張り、薪を集めて泊りの準備をする。流木は乾いていてよく燃えるし、夜は星空だったし、イワナの骨酒も飲めたし、大満足の夜だった。
今宵のお宿は御殿だ  26日、今日の天気もまあまあで降られる心配はなさそうだ。7時過ぎに出発する。ナメ滝が連続し、それらを越えて行くと多段30m滝が現れるがこれは易しくそれぞれ好きな所を登って行く。次に現れるのがこの沢で最大の25m大滝だ。遠くから見るととても登れそうに見えない。捲きも両岸とも高くて厳しそうだ。だが近くに寄ってみると階段状で登れそうなので直登することにする。捲くよりは安全そうだ。確かに階段状で登り易いがシャワークライムとなる。水が冷たい。次の30m滝も階段状で易しい。連続する小滝を次々に越えていき水が涸れると二俣となり左にルートをとる。若干の藪漕ぎでニグラ尾根に上がる。更に藪を漕いで1927mピークへ向う。1927mピークへ着いて一本取るが虫が多くてゆっくりできず早々にス沢へ下る。
 ス沢源頭の笹原は相変わらずよく滑る。ズルズル滑りながらようやく沢へ降りてホッとする。ここで土肥さんが虫除けバンドなるものを手首に巻いたが、その強烈なパラゾールの臭いは虫だけじゃなくて人も近づけないような強烈なものだ。ス沢は以前に下降したことがあり様子がわかっているので安心して下降することができた。出合の堰堤を捲いて正午過ぎに広河原に降り立つ。
 ここからは往路と同じルートを下降する。湯之沢出合を過ぎたあたりで三人の釣師に出会う。一人は地元の人のようで他は別のグループのようだ。我々がス沢を下降してきたと話すと、その沢は地元では赤沢と呼ばれていると教えてくれた。結構話し好きの人で遂に岩の上に座りこんで話し始めたので、こりゃ長くなりそうだなと感じたので話し相手は別の釣師達に任せて先を急ぐことにする。
 林道へは降りた所よりかなり上流に踏み跡があったのでこれを辿って上がる。ゲートまでの林道歩きは果てしなく続くかと思われるほど長く感じた。次回来ることがあれば何とかしてこの林道歩きは省略したいものだ。

〈コースタイム〉
25日 ゲート(6:50) → 入渓(8:20) → 湯之沢出合(9:40) → スルノ沢出合(13:10) → 三左衛門沢出合(14:10) → 幕場(14:50)
26日 出発(7:10) → 1927mピーク(9:40) → ス沢出合(12:30) →湯之沢出合(13:50) → 林道(15:10) → ゲート(16:50)
泙川周辺概念図

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