トップページ > 岩つばめ一覧 > 岩つばめ319号目次

丹波川本流+水根沢
別所 進三郎

山行日 2005年7月23日~24日
メンバー (L)小堀、福間、別所

 アンチェンジド・メドレイが夜の静寂に流れ、ふっとため息を付くと、曲はサウンド・オブ・サイレンスに変わり、次はスタンド・バイ・ミー~男が女を愛する時~好きにならずにいられない(エルビス)と愛を詠いあげてゆく、トム・ジョーンズの最後の恋のメロデーが本流を遡って行く時々にリピートしてくる。このスイートな感じは何なんだろう。

 今回は"唇が紫になってブルブル震えながらの遡行になる"との対策に、持てる機材を投入して挑んだ。即ち、ダイビングスーツ上下、ダイビングシューズ、ウェットシャツ等である。
 結果、歩くには重いが川中での待機では寒さは感じられず、快適であった。しかしゴム底でノッペリしたシューズは滑り易く滝場で、滑落してしまった。

 7月22日深夜 奥多摩湖畔の駐車場では、スピン族が車を急回転させ、タイヤを削り煙化させている状況をテントの中から見つつ、諸種の酒を飲み、前夜祭を行った。

 7月23日 台風が南方から来襲の予報あり。それでは増水にならぬ内に、泳ぎの沢をやろうというリーダー判断で、今日は丹波川本流を遡行することにした。
 三条新橋の駐車場に駐車し、ダイビングスーツに着替えて入渓する。始めのゴルジュ帯で、水遊び用ビニールの小船に覆いかぶさって、トロを泳ぎ渡ろうとしている青年がいた。我々はリーダーの泳ぎでそのトロを突破し、次のゴルジュに入っていったが、彼は追いついて来そうもなかった。アイデアを実行していることに"若い、おもしろい"と思った。右岸岸壁を伝い泳ぎし、側壁に上がるルートのゴルジュでは小堀さんが苦心して時間をかけ突破したが、自分の番になって取り付いたところ、水面下がえぐれていて足が水中でもがくだけであった。ロープで引き上げてもらった。
 手取淵は残置シュリンゲに体を預け、ヘツリ抜ける所がポイントであった。
 ヤマユリの咲くコーナーで昼食休憩を取って、暑い夏の日を涼しく過ごす。そこより20m上がったところには、青梅街道が通っていて、時々車の通過する音が聞こえる、そんな所でこんな楽しい遊びが出来ることが嬉しい。
 さて、時間をゆっくりかけての遡行も終りに近くになって、3つの出来事が自分に起こった。
(1)丸山入道淵の15mのトロを突破しようとして、先頭を切らせてもらい泳ぎ始めたが、水流圧に負けてはかなく敗退、心臓が飛び出るほどの疲労感を受けた。
(2)ゴーロで滑って、横転したと思ったら流され始め、沢中にもって行かれそうになった。浅いので慌てることはなかったが"ここで流されるとは"と思った。
(3)8mの銚子滝でトップの福間さんに確保を託し、プルージックで登り始め岩角を回り込む所で滑落、3、4m落ちて滝中で止まった。"怪我はない?"と下から小堀さんに呼びかけられ、"大丈夫"と答え滝側面を登り上がった。ずーっと沢をやってきて始めての滑落である。
 銚子滝を登り終えると、水中からオイデ、オイデしている流木のあるおいらん淵にでた。ふみ跡を登ると、おいらん渕の謂れが書いてあるボードの前に出た。今日の遡行の終わりである。
 重いウエットスーツを脱ぐと、体は疲労しているが達成感が心地よい。満ち足りた心で、ゆっくり車道を下り三条新橋まで戻る。

奥多摩の森林の中での宴 丹波の温泉に入り、三条の湯山道の道端にテントを張る。雨がぱらついてきたので焚き火はあきらめ、テントの中で、ビールで乾杯し、居酒屋こぼ→スナック伏魔殿→バーBishopと、深夜に向けスイートなミユージックと共に酒宴に入っていった。

水根沢谷 出発の水根キャンプ場は夏休みの子供達が半身裸で遊んでいて、賑やかであった。駐車場の主人に沢は途中までは昨日までの雨で濁っているとの情報をもらい入渓する。
 今日の自分はいつもの沢登り装備で、渓流タビを履いての遡行である。始めの滝は暗いし、手強そうなので巻き道を使う。
 次の滝は小堀さんのショルダーを借りて乗越す。釜を渡った方が滝登りが容易と思えた場合は積極的に入水する。昨日の泳ぎの経験で躊躇なしである。
 へツッたり、泳いだりと楽しんでいる内に半円の滝の前に出た。初めの福間さんはもう一歩で登り切れず、水流を滑って降りた。次に小堀さんが登り、セカンドで自分が登った。左岸の杉の木伐採あとを登ると水根沢林道にでた。下って昼食のソーメンを大量に茹でているキャンプ場を通って駐車場に着き半日コースの山行を終えた。

鳩美で蕎麦 奥多摩駅前で温泉後、鳩ノ巣でそば屋に入り、蕎麦をさかなに美味しいビールを飲む。そばも美味しかったので、お代わりして、山行のフィナーレとなった。
 今日も何処かにメロデーが流れている様な、スイートな感じが漂っていて、気持ちが癒えて行くような気がした。

 今回は夏風邪が続いていたのと、背筋も痛めていて、薬と膏薬で手当てをしての山行でした。しかし夏に冷風を浴び、豊かに時を過ごせた山行でした。メンバーと奥多摩の自然に感謝!


トップページ > 岩つばめ一覧 > 岩つばめ319号目次