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越沢バットレス
坪松 聖幸

山行日 2005年10月30日
メンバー (L)小幡、荻原、高橋(俊)、成田、坪松

 言わずもがな8時30分に鳩ノ巣駅集合なので、朝早めに起床して準備を整え、部屋を出る。越沢を初めて登ったのが、今年の5月で、広沢寺での練習よりもずっと怖かったのを覚えている。今回は2回目の越沢になる。クライミングジムで少し練習していたので以前より楽に登れると思うが、小川山で室内と外岩の違いを味わい、まだまだと感じたこともあり、今の自分がどこまで通用するだろうかと、楽しみでもあり、不安でもある。
 駅で皆さんと合流し、越沢に向かう。久しぶりの岩場は、相変わらず迫力があり、圧倒される。まだ数名のパーティーがいるだけだが、これからどんどん増えそうだ。荻原さんは、少し遅れてくる俊介さんと組む事になり、小幡さんと成田さんに組ませて頂く事になる。勿論、小幡さんがトップで、自分が2番手、成田さんが3番手で最初に右ルートに取り付き、登り始める。自分がビレイするが、ロープを張りすぎないようにと小幡さんからご指導を頂く。ビレイに関してもまだまだ未熟者である。
 上から確保してもらい、自分の番になり、まず初めに、ルートを確認してみる。見ただけでは、どうやって登ればいいかあまりわからないが、安定した足場と、ホールドが結構あるように見える。まあ、登ってみれば何とかなるだろうと思い、右手から岩に手をかけ、足の置く場所を確認して登る。以前なら、手がしっかりかかる場所しか見ていなかったのだが、最近は足場を確認するようになり、腕力をあまり使わずに登れるようになった。焦らずにカラビナを回収しながら、上を目指す。以前よりも、楽に登れるようになったことを実感し1Pを終了。今までの練習の成果が出て大変嬉しい。
 2P目も同じく小幡さんがトップを行く。先ほどは、ロープを引っ張り過ぎだったので今度は、少したるませてビレイをする。実際に外の岩場で墜落を止めたことはないが、ここで落ちたらジムと違って絶対に怪我をするだろう。トップの人は、自信を持って登っていても相当のプレッシャーを感じているに違いない。自分も、万が一に備えて真剣にビレイをし、トップの登るルートを見る。自分の登る番になり、落ちないことを意識して登る。ここでも焦らないよう努めたが、もしここで落ちたら危ないぞと考えてしまうと、どうしても動きが堅くなり、後少し上へ手を伸ばせばホールドが取れるのにその一手が出ない。いつまでもへばりついていては、消耗するだけなので、右足を上げて足場を信頼して体重をかけ、腕を伸ばして目的のホールドをつかみよじ登る。とても緊張したし、怖かったが何とか登れた。でもトップだったら絶対にあんなことできないだろう。精神的、肉体的に疲れて、2Pを終了する。
 その後は、上の方が混んでいたので、右の方に移動して、クライムダウンする。荷物置き場にもたくさんの荷物が置かれており、大分人数が増えたようだ。色んなルートに人が取り付いており大変なにぎわいである。とりあえず一度、休憩を取る。今回は、洋梨を売っていたので、珍しいと思い持ってきたのだが、食べてみるとあまり美味しくなくてりんごを買えばよかったなとちょっぴり後悔した。
 次は、前回滑り落ちて、怖い思いをしたルートに取り付く。あの時は、わざわざ難しい所を登ってしまったので、そこの場所はよくルートを見て右に移動し登ると、さほど苦もなく登ることができた。自分が難しく感じる所は、腕よりも足を使う所で、どうしてもがっちりつかめるホールドがある方へ行ってしまう。ちょっと登るルートを変えただけでこんなにも違うのかと感じつつ、2P目を開始し、核心のクラックを迎える。手足を突っ込み、息をゼイゼイ切らしながら登る。手足の指がとても痛くて、体力を使う。技術を身に着ければもっと楽に登れるようになるのだろうか? 3P目では、いよいよ苦手なスラブ状になっている場所を迎える。アンダーホールドで、両足を突っ張り慎重に登る。靴のフリクションが利いているのかよく分からず、ふくらはぎが疲れ、腕の力ばかりに頼ってしまったが、滑らずに登り切ったので、ほっとした。
 上まで登り終えて、いつもの懸垂下降場所に移動し、順番待ちをする。ここで支点へのロープのセットをやらせてもらう。確実に支点を点検することと、セルフビレイを確実に取ってから作業をするように小幡さんから指導を頂き、確実に実行して、ロープを下に下ろす。こういう確実な動作も、登る技術以上に覚えなくてはいけない。エイト環をセットし、久しぶりの懸垂下降をする。空中懸垂が怖かったが、落ち着いて降りられたと思う。帰りに美味しい蕎麦を頂いて解散となる。皆さん有り難うございました。
 今回の感想は、岩を登る技術は、少しだけ上手くなったが、ロープの扱い、確保、懸垂下降などの基本的動作がまだまだ未熟だと感じた。岩場にいかなくても、ロープのまとめ方やカラビナのかけ方は、練習できるので暇を見つけては、やってみたいと思う。そして、トップで登れるようになってみたい。これからもこの越沢には、お世話になるだろう。


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