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広沢寺
斉藤 篤人

山行日 2005年12月4日
メンバー (L)小幡、坪松、斉藤(篤)

 岩登り。山岳会に入って最も身につけたい技術の1つである。僕が三峰山岳会に入会した大きな理由のひとつでもあり今日がその第一回目。ロープの結び方などすべてが初めて。上手くいくのかどうか少々不安を抱きながら本厚木駅の改札へ集合。
 本日のメンバーは3人。駅で待っていると坪松さんはプラスチックブーツで登場。聞くとアイゼンも持参とか。「えっ~凍ってるんですか?」聞いてみると冬山のアイゼンワークの練習だそうで、何も知らない僕にとってはそれだけで驚きでした。
 本厚木のバスセンターからバスで揺られること30~40分くらい。広沢寺温泉入口のバス停で降車し、そこから30分ほど歩きゲレンデに到着。すでに4組ほどが練習している。「解除」「テンション」など僕にとっては業界用語のような言葉を叫びながら、登ったり下りたりしている様を見て徐々に緊張感も出てきている。はたして登れるものなのか?
 天気はあいにくの曇空。今にも雨が降り出しそうな状況の中、まず道具をつけることから開始。峯川さんから借りた岩登り道具一式を開き、ハーネスをまず装着。カラビナをかけ、ヘルメットをかぶり、クライミングシューズを履き準備万端。いざ出陣。
 まずは初心者である僕の練習ということもあり一番右端の短いゲレンデで小幡さんがトップロープを張ってくれた。
 「じゃあー。斉藤さん行こうか。」小幡さんの簡単な一言。坪松さんにエイトノットの結び方を教えてもらい、いよいよクライミング。小幡さんに「どうやって登るんですか?」と聞くと、笑顔で「ゆっくり登ってみることだよ。大丈夫だからさ。」との回答。なぜか納得。とりあえずやってみよう。
 登り始めると、下で見ているより高度感あり。なかなかのスリルだ。ひとつひとつ足場を確認しながら登っていくのだが、慣れていないせいかぎこちない動き。う~ん最初から上手くいくほど甘くない。ようやく支点までたどり着くと、今度は「じゃー下りてきて」との合図。下り始めてみると「あれ登りより難しい」。腕に無駄な力も入り、少々疲れ気味で到着。
 登ったルートを見ると思ったより距離がない。少々情けない自分を感じてはいたが、普通の登山とは違った充実感を感じている自分もいた。感覚としては子供の頃よく遊んだ木登りの感覚。無我夢中で高いところへ登っていく感覚は、少年の頃のなんとも言えない感覚とそっくりで、登っている間は他の事は何も考えないほど没頭している。「気持ちいいな。」それが岩登りの最初の印象だった。
 坪松さんがアイゼン装着で登り、もう一度僕がトライし、ルート変更。真ん中あたりのルートで小幡さんがリード、坪松さんがビレイ。小幡さんはなんとアイスクライミングの練習ということで、バイルとアイゼンを使ってどんどん登っていく。早い早い、あっと言う間に見えなくなってしまった。すごいな~。ただ感心するばかり。
 今度はいよいよ自分の番というところで小雨がぱらつき始めた。早く登らないと雨が本降りになってしまう。小幡さんが登ったルートを忠実に守って登っていく。最初の核心部へとりつき足をかけるが、妙にすべる。そして何度もあがろうとするが、すべってまったく這い上がれない状況に。雨もだんだん強くなってきて、岩が濡れてきてしまったのだ。こりゃ参った。濡れるとこんなにパフォーマンスが落ちるのか。
 とうとう僕は身動きできなくなりそこで待機。残念。坪松さんは、アイゼンを使ってすべりもせずらくらく登っていく。ヌンチャクで安全確保し15分くらいその場で待機していると、上から小幡さんが降りてきて、懸垂下降を教えてくれた。
 雨が強くなる中、ゆっくり懸垂下降をして下に降りた。4、5組いたパーティーもすでに撤収しており、これ以上の続行はできないということで本日の岩登りはこれにて終了。なんとも中途半端なデビューとなってしまった。
 技術的にはほとんど進歩がなかったので、ちょっと残念な気もしたが、またやりたいと思える自分がいるので、今日は良しとしようかな。
 帰りは12時30分となり、あまりにも早いので本厚木の駅近くで昼から一杯。リベンジを誓って、初めての岩登りは終了したのでした。
 次は頑張るぞ!


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