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入山川裏谷急沢
金子 隆雄

山行日 2005年11月20日
メンバー (L)金子、紺野、深谷、山崎

 今年最後の沢登りとして裏妙義の裏谷急沢へと行ってきた。妙義の沢は水量の少ない沢が多く、この季節でも結構登れるのだ。
 土曜の夕方早めに集合し関越、上信越道を経て松井田妙義ICで降りて目的地へ向かう。途中で道を間違えたりしたが横川駅近くの谷急山登山口の駐車場へ着いたのは23時頃だった。いつもの山行に比べればこの時間は随分と早い。駐車場はガラガラで我々以外に1台の車が停まっているだけだ。テントを設営し、今夜は飲む時間がたっぷりあるねなどと言いながら酒宴で盛り上がる。盛り上がり過ぎてテントを壊しそうになってしまった。
 翌日曜は案の定、寝過ごしてしまい起きたのは7時半過ぎだった。だからといって急ぐこともせず朝食後テントを撤収し出合へと向かう。今日は快晴だが冷え込みが厳しく本当に沢へ行くのと皆さん口にする。
 裏谷急沢ってどこだろうと探しながら車を走らせていると前方より沢装備に身をかためた面々が歩いてきて沢へと降りて行った。あー、あれかということで路肩のスペースに車を停めて準備し、少し遅れて後に続く。
 霜柱をサクサクと踏みながら沢へと降りると直ぐに裏谷急沢の出合だ。アプローチが楽で助かる。水量の少ない裏谷急沢に入り小滝を二つほど越えると直登できない滝が現れる。先行のパーティーが左岸を捲き登っているので我々は右岸を捲く。岩が脆くてすぐに崩れるので厄介だ。その上の滝も直登できず同じく右岸を捲く。小滝をいくつか越えるとナメが続くようになる。普通ならヒタヒタと気持ちよく歩けるような所なのだが、何ということでしょう、薄氷が張っていて迂闊に足を踏み出せない。凍っていない所を選びながら慎重に登って行く。右岸より流入する一ノ沢、二ノ沢、三ノ沢を見送るとコップを半分に断ち割ったような大滝20mが現われる。登るルートはあるのだが簡単に捲けるので無理せずに左岸より捲いてしまう。
20m大滝の下にて  大滝の上もまだまだナメが続くがベルグラのため快適に歩くことは叶わない。右岸から左岸へ移ろうとしていた深谷さんがスリップして仰向けになってしまい、これはヤバイと思ったが幸い滑り落ちて行くこともなく止まったのでホッとした。あまりにも状態が悪いので最後まで沢を詰めるのは止めて左岸の小尾根に上がってこれを辿る。谷急山から西に延びる尾根に出て踏み跡を10分ほど辿ると谷急山の山頂だ。
 谷急山の山頂には極々小さなプレートが灌木に打ち付けてあった。背の高い樹がないため展望は抜群だ。真っ白な浅間山が煙を横になびかせている。
真ん中の小さいのが山名プレート  下山は最短時間で降りられるナイフリッジ状尾根にとる。地図には載っていないが山頂から北に延びる尾根には明瞭な踏み跡がついている。しばらくはどうということもないがやがて尾根は痩せて両側が切れ落ちてくるようになる。慣れない人は足がすくむかも知れないが適度に灌木が生えているのでロープが必要というほどではない。
 裏谷急沢側を見下ろせば鉛筆を並べて立てたような柱状節理の奇岩が目に入る。裏谷急沢の滝もそうだったがこの辺一帯は節理の発達した岩質のようだ。やがて尾根も広くなり樹林の中を落ち葉を踏みしめながらどんどん下降して行くと入山川に出る。渡渉しないで車道に上がるにはかなり遠回りになるので裸足になって冷たいのを我慢して渡渉して車道に出る。車を置いた所まではわずかな時間しかかからなかった。
 風呂に入り、田舎屋(だったかな?)で蕎麦を食べて帰途に就いた。

鉛筆を並べたような柱状節理の奇岩

〈コースタイム〉
出発(9:30) → 谷急山(13:30~13:50) → 出合(15:15)


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