トップページ > 岩つばめ一覧 > 岩つばめ320号目次

八ヶ岳(御小屋尾根~阿弥陀~権現~小淵沢)
小幡 信義

山行日 2005年11月26日~27日
メンバー (L)小幡、高橋(俊)、道祖土

 この時期は、新宿発ムーンライト信州行きは運行されておらず、朝一発の特急スーパーあずさ1号7:00発で行くことに決める。夜行で計画していたため、本日の幕営地の到着は暗くなっているだろう、とやや心配もあったが、このメンバーなら大丈夫だろう・・・。
 最近は縦走することも少なくなり、冬山合宿の前に足慣らし山行として初冬の八ヶ岳を毎年計画している。
 茅野着9:08、美濃戸行きのバスの乗客もめっきり淋しく、私達3人と他に2~3人乗ったのかな? 八ヶ岳連峰を見ながらついうとうと寝入ってしまった。気がついた時は終点美濃戸口に着いていた(10:00)。装備を分配し、御小屋尾根に向かう。俊介、道祖土、小幡の順。冬山装備一式と水2Lのザックは久々に重く、8Hの行程はとても長く感じる。しばらくは舗装された別荘地内を歩くが、そのうち登山道になってほっとする。カラ松林をゆるやかに登って少しずつ斜度を増してくる。御柱山、不動清水を越してくるとダケカンバからハイ松帯に変わり、岩場も現れ、見晴らしもよくなる。阿弥陀の山頂は雪に被われ真白になっている。今年は昨年より雪が多いようだ。途中で登攀してきた2人のパーティーと行き違う。南稜を登ってきたらしい。
 ここからしばらく急登が続きバテバテになる。先行2人よりどんどん遅れてしまう。積雪は10~15cm位あるだろう。
 阿弥陀山頂(14:45)、広い山頂からは360度の展望が素晴らしかったが、まだまだ本日の幕営地は遠い。コースタイム2H弱、途中で暗くなるだろうと、ヘッドランプを天蓋に準備する。中岳を越え赤岳は踏まずトラバースルートを選びややスピードを上げ進む。天狗尾根の頭に着く頃には日が暮れてしまった。八ヶ岳連峰中最大の落差を持つキレットへの下りで暗くなってしまった。少し計画に無理があったかな、と反省する。ルンゼ状の岩棚を下るので落石もある。十分注意し歩く。先行2人の姿は見えず時々ヘッドランプの光が確認できるだけとなってしまった。闇の中で時々ガラガラと落石の音も聞こえたが、心配することもなく順調に進んでいるようだ。ガレ場を過ぎ砂礫の尾根になってほっとする。キレット小屋も、もう少しだ。17:30やっと小屋に着く。小屋の脇に2~3人用のテントが一張りあったが、私達は少し下がった所にエスパーステント4人用を張る。テント内に3人収まり、それぞれ自分の場所を確保し落ち着いたところで、まず酒だ。「プシュ」。本日のビールの一杯は旨かった。冬山装備一式を担いでの阿弥陀の急登と、暗闇のキレットの下り、かなり緊張の連続で体も水分をとても欲していたようだ。やはり山は、早出、早着が安全につながるなと感じる一日でありました。ゆっくりと飲みたいところだが、明日の行程も長いので夕飯のうどんを喰い、20:00頃にはシュラフの中に潜り込む。

11/27 天気 晴れ風強し
 起床4:00、出発5:35となる。アイゼンを取付け、ヘッドランプを点け、本日は私が先行する。樹林帯は木々がかなり揺れている。思った通り稜線に出ると風が強く寒い。昨日の穏やかな天気と違い厳しい縦走になりそうだ。しかし、今回の計画は正月合宿前のトレーニングだから丁度よいかもしれない。
 ツルネと旭岳の小ピークを過ぎ、長い鉄ハシゴのある権現岳直下に着く。エビの尻尾がこびり付き、鉄ハシゴを握る手が冷たさを過ぎ痛く感じる。風は稜線に出てからも止むことなく3人に容赦なく襲いかかって来る。「寒い、寒い」とつぶやきながらやっと権現岳に着く。東へ行けば三ツ頭へ、分岐点のすぐ下に小屋が建っているが風をよける場所もなく、休憩せず先を急ぐ。ギボシへのやせ尾根を通り、クサリ場、ガレ場を下るとハイ松の尾根となり、やっと風より解放された。出発してから2時間30分、ただもくもくと歩き続けたため、「オオー、厳しかった!!」と声が洩れてしまった。2人にとっても同じであろう。樹林を抜けると明るい草原に出る、青年小屋でやっと大休憩となる。とにかく腹が減っていたので行動食をむさぼる。
 この先編笠山の登りがあるが、3人共もう十分だ、ということで巻き道を行く。押手川を通りカラ松林を一気に観音平まで下る(9:50着)。ここで小休憩、ここでタクシーも呼べるが、3人とも駅まで歩くつもりで来ているため、誰も言う人がない。林の中を20分下ると舗道に出る。昨年来たとき、道の駅にある温泉につかり、かなり気に入ったため、今回も最初から計画に入れておいた延命の湯を目指し歩き続ける。道の駅に11:20着、駐車場にかなりの車が止まっていたため、湯船も混んでいるかな、と思ったが意外と静かな温泉を楽しめた。
 2日間を振り返り、初冬の山としてはかなり厳しい山行であったと思う反面、充実した雪山を歩けたことで、正月合宿も大丈夫だろうと自信のついた山行でした。
 俊介君、道祖土さん、八ヶ岳お付き合いくださりありがとうございました。


トップページ > 岩つばめ一覧 > 岩つばめ320号目次