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雪洞訓練・武能岳西尾根
高橋 俊介

山行日 2006年3月4日~5日
メンバー (L)高橋(俊)、平林、金子、天内、平、小幡、斉藤(篤)、高木(敦)、他1名

 三峰に入会してから、唯一、毎年参加している山行がこの雪洞訓練である。僕はこの雪洞が大好きなのである。というのも、酔いつぶれても食器等は適当に雪に刺しておけばいいし、水を作るのも頭の雪をガリガリ削ればいいだけなので、非常にラクチンである。また、雪洞内でろうそくを灯すと、こんなにもろうそく1本で明るくなるのかと思うほどキラキラ光る瞬間がたまらなくきれいなのである。例年、西黒尾根orタカマタギでやっているのだが、今回はちょっと趣向を変えてみたかったので、いつだったかの岳人で読んだ武能岳西尾根に設定した。
 いつものように、金曜夜、東所沢に集合し赤城高原SAへ。谷川方面に行く際、このSAはレストハウス裏にヘリポートがあり、格好のテン場になっている。早速、エスパースを張ろうとしたところ、ポール袋から出した瞬間にポールのショックコードが切れた。この間も高木あっこさんのポールが折れたり、ここのところトラブル続きだが、なぜかいつも下界で発生している。ラッキーなんだか、アンラッキーなんだか?・・・。
 翌朝、見事に快晴である。さっそくテントをたたみ、車にもどって準備しようとすると、ものすごい人込みである。この時期の関越はスキー客でごった返しているので、早々に退散した。
 土樽の駅より先も蓬新道は除雪してあったため、蓬新道と上越線が交差する高架下に車を置き、準備に取りかかる。数台、車がデポしてあったが、ほとんどスキー隊のようだ。沢沿いに取り付きを目指し、一時間強で西尾根取り付きに到着。右手から堰を伴って本流に合流してくる。ここから急登が始まる。熊笹とダケカンバの根が入り組んでいるがキックステップで快調に高度を上げる。やはり今年は雪が多いのか、雪庇の規模が格段にちがう。また、西尾根を歩いていても蓬沢に向かって表層雪崩が頻繁に発生しているおり、蓬峠までスキーで沢沿いに詰めるのは、雪の状態次第である。
 どこに雪洞を掘るか? まったく決めてきていなかったが、明日の行程も雪洞からピストンであることからあまり先に行ってもしょうがない。1200m付近によさそうな斜面があったため、ゾンデ棒でまず積雪量チェックを行う。ところが、2M付近から空洞化しており、しょうがないので、反対側の斜面にまわり掘り進める。表面はザラメだか、ある程度奥に進めば締まってくるだろう推測していた。ところが、いくら掘ってもザラメであり、またブッシュがかなりうるさくなるまで掘り進んでしまった。別の場所に移ろうかと悩んだが、それもめんどくさいので、今年は実践版雪洞にしよう!ということで、縦に掘り進め、半雪洞+ツェルト+ブルーシートで屋根を覆いなんとか全員横になれる程度まで完成。この夜はツェルトの隙間から星空を見ながら、闇おでん大会となった。
夜は闇おでん  翌朝も快晴。苗場、巻機など主要な山々がはっきりと見渡せる。昨日の闇おでんにやられちゃったのか?高木さんが調子が悪いといって、テントキーパーを申し出た。だいじょうぶだろうか? とりあえず残りのメンバーで出発。シャツ一枚になり、ラッセルで高度を上げる。小一時間ほど登ったところから急斜面がひろがっており、このあたりで雪洞を掘れば快適だったかも知れない。森林限界を超えると、蓬峠に向かって登るスキーパーティーがいくつか見え、ようやく右手に武能岳ピークが見えてきた。
武能岳  アイゼンの歯を利かし部能岳から延びる主稜線まであと一時間と迫ったところで、西尾根と蓬峠からの主稜線合流付近でナイフリッジになっており、ザイルも持ってきてないし初心者もいるので、リッジ手前の小ピークで終了とした。
 下りはシリセードで一気に下る。あっという間に昨晩泊まった雪洞に到着し、高木さんと合流、復活したようだ。あまりの天気の良さにひどく空腹を感じ、昨日の残りのはんぺんをみんなでかぶりつく。ところが意外や意外!普段、そのままはんぺんを食べることなど滅多にないのだが、これがめちゃくちゃにうまい。昨日の食当のときは、かさが出るからちょっとでいいなどとの発言が飛び交っていたが、今や、はんぺんサマサマである。はんぺんのおいしさに感激しつつ、シリセードで駐車場に向かった。
引返し点


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