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両神山に続く尾根(2) (両見山~四阿屋山)
峯川 正行

山行日 2006年6月4日
メンバー (L)鈴木(章)、土肥、川崎、成田、道祖土、峯川

 両見山という名前は4月頃にルームで聞いた記憶がある。両神山を見るから両見山なのであろうか。なんとも響きがよく、耳に残っていた。個人山行として鈴木さんが企画した山行でした。両神山からのびるナイフリッジを形成する辺見尾根を通り、両見山から四阿屋山への縦走。なんとも怪しい香りとスリリングさが期待できそうな山行でした。その際は自身の体調不良と自宅の引っ越しの為に数ヶ月山に入れない時期であったために、私は参加せずに指をくわえているような状況でした。
 次回のルームで伺ってみると、両見山で時間切れということで下山したそうですが、相当のもろいナイフリッジで懸垂下降あったりなど、なんとも充実した山行のようでした。そのリベンジ?として四阿屋山へのルートを完結すべくリーダーがまた企画している情報を聞き入れ、体調が良くなっていた私はすかさず参加希望をしました。
 いったいあの尾根の先にはなにが待っているのか・・・。不安と期待で一杯でした。
 6月4日当日、なんとも雨が降りそうな空模様で三峰口からタクシーで浦島口まで向かう。到着するといよいよ小雨が降り出してくる。尾根の状況がわからないので、この小雨はなんとも嫌らしいなあと感じる。スパッツなど身支度してバス停前を8時40分頃出発する。
 今回は前回の沢沿いの下山ルートから登るのではなく、尾根の末端に取り付きそのまま両見山にたどり着く次第だそうです。なので、林道を数分歩き、右手にある民家の敷地裏のお墓の後ろから取り付くことに。罰があたらないように神妙にお墓の後ろを歩く。朝からなんとも急な雑木林を登っていくと、ふくらはぎがいきなりぱんぱんである。しばらく歩いていくと3本の尾根が収束する541m標高点付近に到着。串脇からだろうか、そちら方面からはっきりとした仕事道が付いていた。自分の頭の中ではうっそうとした尾根道かと思っていたが思いの外しっかりとした仕事道がついていたので非常にびっくりする。ここからは南方面に両見山を目指します。しばらく快適な仕事道が続いていたのですが、突然林道が出てきてこれまたびっくり。どうも金剛寺から伸びた林道のようで、地形図には記載されていませんでした。林道の手前で自生のワラビを発見して大喜び!リーダーはしっかりと採取していました。10時過ぎに748m標高点であろうか、小さな鄙びた神社に出くわし、ここで一本をとる。両神神社にまつわるものかと思ったが、中をよーくみると、御岳神社と書いてあり、向いている方角からして、秩父御岳神社に向いていることは確かであった。その先は一旦鞍部に降りて892m標高点まで登り返す。道は多少の踏み跡はついており難儀なく進むことができた。ただ、天候は一向に晴れることなく、なんとも幻想的な霧の中を進んでいくこととなる。892m標高点を多少下ると、赤テープが出てくる。多分ここが前回4月の時に浦島沢へ下降したルートに違いない。そこからが両見山への最後の踏ん張り所となった。雨でぐずぐずであり、手がかりもあまりない斜面をなんとか登っていく。灌木があればそこで数秒体を預けて休む状況が暫く続く。掴む所がないので地面に指を差してホールドをとっていたので軍手は真っ黒。沢の高巻きをしているような状況で、よく前回、皆さんはここを下っていったなあと感心しながら登っていく。ヤセ尾根を暫く進んでいくとリーダーから「もう少しで両見山!」というかけ声。私以外の皆さんには見覚えのある三角点に11時過ぎに到着。そして今回は素晴らしいアイテムをリーダーが持参してくれました。山名板です! 私は個人的に様々なマイナーな山に見かける山名板が大好きで、その登った人のその山に対する思いが伝わってきて嬉しくなるのです。リーダーのこの両見山に対する思いは並々ならぬもので、前回ここから時間切りで下降した際も、多分リベンジをいつしようかと思っていたに違いないです。そして、この素晴らしい山名板に繋がったのでしょう。「人」と「人」が寄り添っているように見えてしまう「両」の旧字である「りょう(機種依存文字で表示できない)」の字でリーダー直筆の手作り山名板です。なんて粋な山名板でしょうか。
「両見山」初めての山名板設置山名板を前に記念撮影
 初めての山名板設置式典に私は感動してしまいました。前回4月に悪路のナイフリッジを通りこのピークにたどり着いた時はどんな気持ちだったのでしょうか。どうも辺見尾根のナイフリッジを体験しなくてはいけないかもしれません。
 皆さんで山名板を前に記念撮影をして12時過ぎに、核心と思われる四阿屋山への尾根に取り付きにかかります。
修験道の歴史を伝える祠  いくつかの支尾根が出てくるので慎重に地形図を広げていきます。樹林帯のしっかりとした尾根を下降していると、リーダーからは「山容が変わった」という声が。明らかに両神山から続く尾根は両見山を境に山容が変わっているようでした。暫く西方向に進み、今回の注目ポイントの相撲場付近に近づきます。エアリアに「相撲場」と記載されていて、皆さんは一体ここはどんな所なのか楽しみにしていたのです。南側に崖がある所が相撲場かと思っていたのですが、それらしい崖もなく、また相撲場を連想する所もありません。強いていえば、相撲ができる感じの台地状の所なのかと。しかし、気になったのがこんな場所にネットが張られていてピンクテープがたくさん貼られ、「ネットを張っていますので、足下注意」と看板が付いていたのです。明らかにこの山の地主の仕業なのでしょうが、後から考えてこの中に相撲場の秘密があったのではないのかと?皆さんなんとも釈然としないような感じで四阿屋山を目指します。
 870mのちょっとしたピークを越え、南東方向に進路を向けた所が今回最大の核心部と思われる所であり、ここで尾根を外すことになります。何にも気にしないで尾根を下降してしまうと、835m標高点、高指付近を通り、小森川へ下降してしまいます。ここでは皆さんで地形図をじっくり確認です。事前の地形図の確認では、四阿屋山へは等高線の狭い断崖を駆け下りないと尾根に取り付けそうもないので、トラバースも必要かしれないと。実際、その下降点に付いてみると確かに断崖です。その手前に珍しく赤テープが木にまいてあったので、そこまで戻り付近を探索すると、どうもここから下降してトラバースするのが妥当ということになりました。尾根を1本越して下がり気味にトラバースしていると、本当に本当に薄い踏み跡を発見。四阿屋山への尾根を確認して、皆さんで一本をとる。現在地と方角を再確認して大丈夫とリーダーから最終判断をしていただき、ほっと一息でした。
 ここからは私の頭には温泉の2文字しかありませんでしたが、道が踏み跡も多少あり歩き易い道です。鎖場が出てくると、あと少しで四阿屋山です。私自身初めて訪れるのですが、なんて狭い山頂なのでしょうか。天気がよければここから両神山まですべて一望できたそうですが、今日歩いた両見山からのルートが一望できたので満足です。この景色を見ていると、やはり私は辺見岳からのルートも行って、自分自身この興味深い、両神のナイフリッジを形成している尾根を踏破しなくてはいけないなあと最終的に確信しました。そんな事を考えていると、リーダーからご褒美があるとのこと。大きなザックから何が出てくるのか楽しみにしていると、スライムのような形のココナッツが2個も出てきました。よくぞこのような大きいものを持ってきて!!リーダーご苦労様です。頭部分を切ってみんなで美味しく頂きました。疲れた体には最高のご褒美となりました。山でココナッツ!なかなかいい取り合わせかも知れません。
四阿屋山でココナッツを!
 今日の行程の余韻に浸りながらほどよいぬるさの薬師の湯で汗を流し、帰りのバス停でコシアブラとふきのとうを購入。翌日我が家の食卓には途中、リーダーに採って頂いたワラビとコシアブラが並び、両見山の山行は久々に充実した山行だったなあとしみじみ思いながら美味しく頂きました。

〈コースタイム〉
6/4
浦島口(8:39) → 541m標高点(9:20) → 748m御岳神社(10:00~10:10) → 両見山(11:30~12:00) → 相撲場?(13:20) → 870m付近編曲点(14:10) → トラバース → 尾根再取付(14:30) → 四阿屋山(15:10~15:20) → 薬師の湯(16:40)


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