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山スキー・五竜遠見
成田 義正

山行日 2006年3月25日~26日
メンバー (L)佐藤、田中(恵)、飯塚、成田

 遠見尾根は五竜岳に登る最短尾根として知られているが、その一番手前の小遠見山から派生する黒沢尾根は鹿島槍スキー場に至るロングコースの上、ナイフリッジの通過あり、ルートファインディングあり、ブナ林に囲まれた平地あり、さらに鹿島槍や五竜の眺望が素晴らしいツアースキーと高低差800mを滑り降りるゲレンデスキーの両方を楽しめるルートだ。

3月25日
 少し早めの20:30に駒込集合のため帰宅して直ぐ集合場所に向かうあわただしさ。天気予報では、快晴を予報していたが途中では雨やみぞれに見舞われ、外れたかと思いきや五竜スキー場に着くと満点の星。少し奥まった駐車場に幕を張って軽く宴会。4時半に目が覚め、あとはうつらうつらの睡眠不足で起きた朝は、快晴。朝は寒かったが気温が上りそうな気配。始めからシールを付けて五竜スキー場に向かう。
 8:55 五竜スキー場テレキャビン終点からシール登行。もう一本リフトを乗り継げば標高100mほど登らなくとも済むがここは自分の足で登ることにする。15分程度で、ケルンが立つ地蔵ノ頭に到着。武田菱もハッキリ見える。地蔵ノ頭を左から巻くと前方に大勢の先行者が隊列をなして登っている。この斜面が意外と厳しく、壷足跡やスノーシュー跡などで凸凹でしかも雪が硬くて歩きにくい。急斜面をやっと見返り坂に上がり、休憩かなと思いきや更に進めとリーダーの指図。その先も一ノ背髪への痩せた急坂が続き、他の登山者に抜かれたり抜いたり喘ぎ喘ぎ登る。一ノ背髪では道標が頭の部分だけ出ていて「小遠見山35分」、「アルプス平駅35分」が読める。ここで明日予定の一ノ背髪尾根を確認する。この尾根は登るに従い、五竜や鹿島の展望が良くなる。
鹿島槍を背に小遠見山にて  10:45 小遠見山到着。雲ひとつ無い空を背景に穂高から白馬が見渡せる。眼前には五竜、鹿島槍北壁、爺ガ岳が群青の空に聳え立ち圧巻。さらに雨飾、妙高、高妻、志賀の上信国境の山、八ヶ岳と360度の大展望。もちろん天狗岳やこれから進むルートも良く見える。小遠見山に登って鹿島槍が望めない事ほど寂しいことはないそうだ。山頂にもかかわらず無風・温暖と素晴らしいの一言に尽きる。多くの人はここから引き返すか五竜を目指す。これから先の黒沢尾根には踏み跡が見えず我々だけの世界のようだ。シールを外し、天狗岳の鞍部へ滑り込む。アイスバーンとモナカのミックスで快適なスキーとはいかない。再度シールを貼り登行。天狗岳直下は雪に亀裂が走っていて廻りこめないのでスキーを外して登る。
 12:10 天狗ノ鼻に到着。天狗ノ鼻は1,927mの丸い山頂。ここまで来ると、鹿島の形が一段と良くなり、安曇野平が見渡せるのでしばし休憩する。ここから先は、このコース一番難コースある。地図と睨めっこして、1,600mの最低コルを目指すがこの天狗ノ鼻からの下りは地図を見てもかなり急傾斜である。急なリッジを板をはいたまま20m~30m程度下降し、そのまま横滑りで斜度が幾分緩んだ辺りまで下る。降りてしまえばあとは1,685mの南面を巻き、1,600mのコルまで楽しく滑降。ブナに囲まれた良い雰囲気の平地だ。雪の調子は最高とはいかないが、樹林を縫いながらの滑降である。天狗ノ鼻までは、樹林も無い白い斜面が多かったが、ここまで来るとブナ林が目立ち始める。
ブナ林と鹿島槍  13:15 1,600mコル。ここから3回目のシールを張る。なだらかな登りだが長い。1,633mピークから後を振り返ると、天狗ノ鼻・天狗岳が立派だ。標高が低くなった分、鹿島槍がグッとと高くなった。1,665.2mピークに到着。ここでシールを外し、唐松林の中を滑降。1,570m平坦地を通過。尾根は右折するのでそれに沿って南下。この辺りから眼下に青木湖が見えてくる。もうまもなく終了かなと思ったが甘かった。まだ先が長かった。
 14:45 1,520mコル。最後のシールを付けて70mほど登る。稜線に出ると大きな踏み跡が沢山あり熊の足跡かと一瞬驚いたが山頂(1,599mピーク)に4張のテント。合宿だろうか宴会だろうか。ここまで来てもまだスキー場が見えない。ほんとに長い行程だ。そこからシールをつけたまま直滑降し1,546mを目指す。
 15:20 1,546m。やっと直下に鹿島槍スキー場のリフトが見えた。あとは佐野坂スキー場の分岐に気をつけて下るだけ。日当たりの良い山頂で一息つく。もちろんビール付き。彼方に槍ヶ岳の尖端が見えている。
1,570m平坦地のなだらかな登り  リフト降り場まで下り上級者コースを滑り込む事になるがなかなかの急斜面。今日の気温で春のザラメ雪なら快適な滑降が楽しめるのだが、生憎アイスバーンの瘤斜面。転倒回避のスキーになってしまいスイスイとはいかない。下り切ってからは傾斜も緩くなり、気持ち良くクルージング。やっと佐野坂スキー場の入口にたどり着くと不審者と思われたのかパトロールに何処まで行くのか尋問される。親切にも案内役を買ってくれる。最終シャトルバスの17時まであと15分。一気に佐野坂スキー場まで滑り降りる。そしてシャトルバスの人も親切でルート外の五竜スキー場まで送ってくれた。神城駅から歩く覚悟だったのに感謝。しかもシャトルバスは無料だった。
 17:30 一浴のため八方の「みみずくの湯」に向かうが超満員で入浴客はげんなりした様子で出てくる。諦めて「十郎の湯」に行くと此処も満員の立て札。洗い場も並んで待つ状態。さっぱりしたあとコンビニで酒を買足し、野菜たっぷりのチゲ鍋を食べながら恒例の宴会。

3月26日
 今朝は気温が高くテン場の駐車場に氷が張っていない。天気も薄雲が掛かっているが持ちそうだ。一ノ背髪までは昨日と同じコースだが、今日は下山地の白馬47スキー場から入る。
 8:40 白馬47スキー場に移動。Dリフトが休止中のため少し高いがテレキャビン1枚とリフト券2枚を買い、スキー場のTOPへ。ここからシールをつけて地蔵ノ頭へ向かう。地蔵ノ頭は昨日同様人が一杯だ。ボードを背負った団体を避けて右側ルートを行く。昨日よりトレースはしっかり踏み固まっていて、スキーではさらに歩きにくい。急斜面を登って見返り坂の尾根に出るとすごい強風だ。向かい風を受けて一ノ背髪までの狭い尾根を登るが1日違いなのに全然違う。今日は楽勝のはずだったのに。スキーを脱いで壷足で登ろうとしている人も見かける。
 9:40 一ノ背髪の手前から尾根に下れそうなので滑降準備。時折かなりの強風が吹き荒れストックが飛ばされそうになる。スキーも流れ落ちないように慎重に準備を終えシールを袋に収めようとしたら無くなっている。青い袋が飛んで行ったのが見えたそうだ。いざ出発となってメンバーの1人のストックが流されてしまった。ストック1本じゃ滑りにくい。だからといって別行動はありえない。全員引き返すことにする。見返り坂の取り付き地点まで下ると嘘の様に風がない。
 ここからは標高差800m、距離6kmのゲレンデを滑り降りる。整備された瘤の無い斜面なので滑りに集中するだけでよい。スピードを上げたり、後ろに誰もいない時は左右にコースを取ったり、長い距離を滑り、久々に気持ちよく滑れた。昨日も今日もロングコースを滑りゲレンデスキーも楽しい。
 11:50 帰り支度のあと昨日と同じ「十郎の湯」で一風呂浴びて、御法田の民宿蕎麦屋で軽く打上げ。渋滞の中、大相撲春場所、白鵬・朝青龍優勝決定戦を車中で見ながら帰京。水道橋19時解散。


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