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上越国境・七ツ小屋山
三澤 邦夫

山行日 2006年2月25日
メンバー (L)三澤、田中(恵)、飯塚

 記録的な大雪で幕が開いた冬山シーズンでやはり雪崩のリスクは最優先で考えなければならない。本来であればパフパフ新雪狙いで楽しいコースを選びたい所だが、今回は尾根コース確定の七ツ小屋山に行くことにした。
 道路除雪終点に除雪車が居たので土樽駅で仮眠とする。夜行列車が頻繁に通過して煩い。七ツ小屋山は何回か山スキーを計画したが、途中棄権することが多く目的を完遂したことがない。今回は朝から良く晴れており、期待が持てる。線路を潜るあたりが除雪終了点となる。夏道は蓬沢左岸だが、デブリがひどく土樽PAの手前で橋を左岸に渡る。武能岳にはワカン組の何人か取り付いている。蓬沢左岸は広くて安全だが、夏道の方は何箇所も寸断されていて危険きわまりない。以前遭遇した樹林帯雪崩の上部は大規模な雪崩が発生しており、樹林帯だから安全という考え方が誤りだと認識を改めさせられる。
 地図からは地形的な特徴が読みにくいが、目的の支尾根の取付きは比較的判りやすい。シシゴヤノ頭から落ちる沢の合流点から蓬沢右岸の尾根に入る。蓬沢本流は上部の蓬峠のあたりから続く長い巨大雪崩で埋め尽くされている。予定では蓬沢にドロップする筈だがこれでは無理だ。支尾根は最初のうちは狭く急だが、登るにつれて木も疎らな気持ちよい斜面に変わってくる。尾根に取り付く頃から少し風が吹き始めたが、空は真っ青でとても気持ちよく歩ける。上越国境の主な山が殆ど見えるが、山名は適当に言っておく。たぶんたいした間違いはない。並び順が違う程度のことは誤差の範囲である。自分も含め今回が実質上の最初の山スキーとなる各メンバーはノンビリとシールの感触を楽しむように登る。
 尾根の幅が広がりシシゴヤノ頭に続く稜線近くに来ると大雪原と表現しても良い斜面が広がる。風が相当強く、雪面はカチカチだ。・・・・やはり七ツ小屋山は諦めて今回もここで終了とする。遥か西の空に小さい浮き雲を見つけて「これは悪点の前兆である。」と自分を納得させる。とは言え、田中・飯塚の両名もニコニコと「まっいいかぁ」と妙に明るい。
(蓬峠付近にて photo by Misawa)  シールを外して滑降モードに移れば極楽的大斜面である。コースアウトするのが難しいくらい明瞭な尾根を一気に降りる。蓬峠だけでも十分楽しい。蓬沢に降り立った所で別のパーティと会う。彼らはシシゴヤ沢を滑ったようだ。
 恒例の温泉は岩の湯、蕎麦は湯沢の中野屋。
 強風でガーラのゴンドラが長時間止まったことを知ったのは帰宅後だった。


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