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山スキー・焼岳
竹内 豊

山行日 2006年4月8日~9日
メンバー (L)三澤、高橋(俊)、高木、齋藤(吉)、竹内

 それまでにもお試し山行には何度か同行させていただいていましたが、今回は三峰正式入会後、最初の記念すべき例会山行です。山岳スキーを始めて間も無い僕は『白馬乗鞍~蓮華温泉』と聞いて参加表明をすぐにさせてもらいました。このルートはいわゆるクラッシックルートと呼ばれ、昔から数多くの山スキーヤーに愛されてきた好ルートだからです。
 しかし、出発前夜、三澤隊長から一本のメールが到着。『明日の日本海側は悪天で翌日もあまり天候が思わしくない状況のため、天候の回復が早い北ア南部(焼岳)に転進することにします』とのこと。う~ん。これまた「焼岳滑走」も狙っていた所なので即OK!
 前夜、高木さんの車で駒込集合。途中、武蔵野在住の高橋氏、齋藤氏を拾って車は一路上高地へ。雨の中、へろへろになりながらも林道ゲート脇で幕営し就寝。
 翌朝、林道管理のおじさんにやさしく警笛で起こされ撤収。小雨の降る中、釜トンネル内で身支度を整え、ヘッデンを点けてさあ出発だ!
 山歴の浅い僕は思いがけず、冬の上高地に入山できるなんて、なんて幸運なんだと感じながら釜トンネルを抜けると先程の雨がなんと雪に変わっているではないですか!景色はまるで厳冬期。明日は期待が持てるッ。
 梓川を越えて、下堀沢右岸尾根下部にベースキャンプを設置し、高橋現場監督の下、新人の齋藤・竹内はイグルー状の風よけを制作。良い出来映えだなぁと一人悦に入っていると取りあえず一杯やりましょうとの声。あの、まだ午前中なんですけど(笑)。僕の人生の中でこれだけの時間飲み続けたのは初めてで、もう訳がわからないまま豪華鍋を食し、翌日の滑走イメージを高めつつ深夜就寝。(なんかお試し山行からずっと飲んでる気がするのは気のせいでしょうか?)
頑張って作りました「イグルーふう風よけ」  翌朝6:00起床。天気は昨日の雪も止んで曇り空だが遠くには霞沢岳の姿も見え、ちょっと重めの新雪の中を登高開始。下堀沢を越え左岸に取り付き、始めの急登にてこずりながらもトップを交代しながら進む。途中、キックターンのコツなど教わりながら(初歩技術って誰も教えてくれないので本当にありがたいことです)順調に高度を稼ぐ。
 1950mあたりで樹木林を徐々に抜け、上高地への展望が開けてきた。本当にこのような景色をみるとハイクアップのキツさも忘れる事が出来ます。高橋君じゃないけど『山はいいなぁ』と。
焼岳をバックに記念撮影するも低解像度でスミマセン  前方をみると煙をもくもくと吐き出している焼岳の勇姿が見えます。カール内の雪は昨日の降雪で若干、不安定そうな感じで、三澤隊長の判断により稜線上を滑った方がいいのではないかとの指示。滑走予定地点の2300mまでもうすこし。
 小一時間ほどで目的地のコルに到着。「頂上に行って来たければいいですよ」と言ってもらいましたが、他メンバーを待たせることになるので今回はパスして小休止+滑走準備をする。カール内ドロップインに比べるとまだましだけれども、滑走前はとても緊張するのだ。皆の準備が整い、高橋・高木さん先頭、三澤隊長しんがりに11:30滑走開始! 皆うまいな~。重めの新雪に感謝しながら各自スキーを楽しむ。この時期にこんな雪を楽しめるなんて本当に幸運だと思いました。
 樹林帯のツリーランは慎重に降り、1時間ちょっとでCS到着。この機動力が山岳スキーの魅力なのかもしれないです。隊長の隠しビール!で乾杯して幕営撤収。心地良い疲労感と充実感に包まれながら14:30釜トンネル到着。
 帰りの車の中、ラジオをつけるとなんと蓮華温泉を始めそこら中で遭難事故が!(事故に遭われた方のご冥福をお祈りいたします。小幡さんも高橋君にパーティの無事確認の電話をしてくれたみたい。もし予定どおり計画を進めていたら、僕らにもその可能性はなくはなかったわけであり、三峰の判断力(!)には驚かされた山行でありました。

〈コースタイム〉
4/8 中の湯(9:30) → 下堀沢右岸尾根下部CS(10:30) → 宴会
4/9 幕営地出発(7:45) → 1700mm地点(8:45) → 1950mm地点(9:45) → 2300mm地点(11:00) → 滑走(11:30) → 幕営地(12:40) → 幕営撤収(13:30) → 中の湯(14:30)

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