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両神山に続く尾根(中双里~白井差峠~秩父御岳山)
鈴木 章子

山行日 2005年12月10日~11日
メンバー (L)鈴木(章)、成田、小山、飯塚

 本来は、こちらを先に書くのが順番だが、参加者、要した日数の多さから前号に掲載した「両見山」が先になってしまった。
 この尾根を先に歩いた目的は、小森川を挟み、平行して長く続く「両見山」の尾根の形を確認したかったからなのだが、木々に覆われ岩場は全く確認できなかった。
 今回、私の我がままに付き合ってくれたのは、私の数少ない美味しい山行?には、何故かこの名前がある成田氏。他に、付き合いだけは非常に長い、飯塚嬢。タクシーとテントの人数の関係(御免なさい)で、もう何年も山に行っていない小山氏の計3名。
 熊谷駅で乗り換えが上手くいかず列車に乗り遅れ、私は遅刻。20分ほど遅れ、予約しておいたタクシーで、三峰口から中双里バス停まで。
 タクシーを降りると、北風が強く寒い。空は快晴だが冬将軍の足音が身近に聞えるようだ。白井差峠までは一般登山道、しかし、急峻な尾根上に創られた道は、登る身としては楽ではない。小山氏を先頭に、私、成田氏、飯塚嬢と続く。白井差峠で大休止を取るからと、休みたがる連中に気合をかける。
 峠に着くと、椅子と机が有りヤレヤレと休憩に入るが、周りは薄っすら雪化粧。更に此処からか吹く風の強さ、冷たさ・・・。半分まで食べたオニギリもそのままに、会話も無く、気が着くと全員、目的の尾根に向かって歩いていた。
 地図上に境界線が有り、目印となる赤いペンキの付いた境界杭が尾根上に続き、それを見失わない限り読図はそれほど重要ではない。2~3ヶ所迷った所だけの説明で充分だと思う。芋掘ドッケンまでは、何となく着いてしまう。これといった強烈な魅力は無かった。芋掘ドッケンは、三角点を確認後、少し戻る。この辺りから尾根は段々細くなり、小さな上り下りを繰り返す。
 1333.4Pは、三角点を踏まず(三角点の処まで行ったら戻る)手前の岩の有るピークから左に曲がり尾根に乗るのがポイント。ここから暫く幕場適地は見あたらないが、我々には、光を失った空にカラッ風。心の中は幕場以外何を求めるだろうか。時計が16:00を告げるともう待てない。細くて斜めの尾根上に、風を避ける術も無くテントを張ってしまった。(何時も思う事だけど、もう一山越せば良い場所が有ったのに)
 風は暗くなる頃には止み、月明かりも美しく、里の夜景と星の競演を、トイレに行く都度見上げては感激した。朝が早かった事、疲れていた事、する事が無い事、明朝4:00起床も重なり、全員20:30には床に着いてしまった。
 明朝4:40起床、誰も起きない。寝坊しているのに! 6:35出発、この分では早い時間に秩父御岳山に着いてしまうのでは。地図読みも案ずる事は無いだろうと思っていたが、1156P辺りで左右の里から里へ尾根を横切る道が、私の古い地図には記されていたが、新しい地図では無くなっていたばかりでなく、尾根上には、右へ右へと赤いテープが有り、ついついそれに引かれてしまう。よく見回して見ると左側に立派な尾根が見える。現在位置では、コンパスも合わない。このまま下ると、如何にも谷に降りてしまいそうなので引き返す。再び山頂に立ち再度検討、無印の尾根に取り付く。これが正規の道だった。ここで、1時間のロス。
 1188.2Pは岩場を登るが、直に岩に取り付かず右側をトラバース状に登って行くと踏み跡も有り楽だ。三角点は少し奥に有る。ここで休憩をしている間に、我々の後ろを熊が走っていったようだ。雪の上に新しい足跡があった。後で判ったことだがハンターに追われて逃げて行く途中だったらしい。一休みして歩き出すと急に尾根が広くなり、判断に迷い30分ロス。
 左側へ、広くて何だか判らないままに進むと一気に尾根が細くなる。ここから秩父御岳山までは細かいピークの登り降りの連続となる。1082Pの次のピークだったと思うが、今回、初めて人に会う。ハンターだった。熊の話と御岳山までのルートを確認する。彼は、我々の歩いてきたルートを聞き、呆気に取られていた。更に言う事には、「女性が『芋掘ドッケン』を越えて来るなんてすごい!」{コッチハ、チョイトソコラノ女ジャ無インダイ。今ドキノ男ハ、ダラシ無インダイ}と言いたいのをグッとこらえお礼を言って分かれた。
 ピークを幾つも越えたらいささか飽きてきたので、次のピークこそ絶対「秩父御岳山」と言う辺りで一休みしていたところ、中年の男性<単独>が御岳山方面からやってきた。と、その人と、飯塚嬢が同時に、
「御岳山はもうじきですか?」
と発した。
 如何にも彼はルートを間違えているらしかった。我々に会わなかったら彼は何処まで行っただろうか。彼と我々4名は御岳山目指して最後の登りに向かった。
 山頂は以前(かなり昔)来た時と少しも変わっていなかった。この山頂には大き過ぎる祠。其処に5~6人の登山者がいたがすぐ下山してしまった。
 天気も少し下り坂になってきたので、我々もお参りを済ませ三峰口までの急降下を楽しんだ。
 今回、思いも寄らないスピードで全行程を消化出来たことを喜び、駅前の蕎麦屋で祝杯を上げた。ここの「てんぷらそば(¥650)」はお勧め。隣の店の「草餅」も美味しい。
 皆さんお疲れ様でした。

〈コースタイム〉
12/10(快晴) 三峰口(タクシー ¥6100) ⇒ 中双里(9:45) → 白井差峠(12:00~12:15) → 1440P → 芋掘ドッケン(13:45~14:10) → 1334.4P(15:20~15:30) → 幕(16:10)
12/11(晴のち曇) 幕(6:35) → 1156P(7:15) → 1188.2 → 1082P(11:25) → 秩父御岳(12:10~12:20) → 三峰口(14:05)

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