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葛根田川~大深沢
福間 孝子

山行日 2006年8月3日~6日
メンバー (L)福間、飯塚、土肥、小堀

 思えば何年ぶりであろうか。あの怒涛の葛根田を金子リーダーのもと総勢10数名でつっこんだのは。今年も梅雨があけずにはらはらしてたけど、この山行にあわせたようにいきなり梅雨が行ってしまった。
 滝ノ上温泉の駐車場はきれいに整備され、ログハウス風の休憩舎ができていた。車をおいて出発。熱い、クラクラしてくる。早く沢に入りたいよう。
 入渓してからあっというまに明通沢についてしまった。この前はここでテントを張り、ゴンロゴンロと転がる岩を寝ることもできずに見ていたのだ。沢の恐ろしさを知らされた山行だった。だが今日はなんと穏やかなんだろう。歩きながらうとうとしてしまいそう。お函は足元が水の中なんで少しでも濁ってしまうと足場が判らなくなってしまう。右岸左岸とへつりながら無事通過。大石沢出合で昼寝をする。
ええなぁ~  ここで泊まりたいけどもうちょっと先まで行こう。今日は中ノ又沢出合で幕を張る。テントを張ったら後は自由行動。コボリとフクマは沢へ魚釣りに、ドイとヨーコは山に芝刈りに行ったのでした。なんとなんと釣れちゃったんですよね、私の10年間冷蔵庫に眠っていたイクラで。葛根田はいいとこだ~。コボシェフの岩魚のムニエルは最高だったし、沢で食べるからすみも最高。
ムニエル旨かったぁ!(^^)!  翌日も最高の天気。今日は稜線につきあげて反対側に降りるのだ。大滝は左岸に踏み跡があり大きく高捲く。大滝から1時間程で滝ノ又沢出合にでる。ここで大きなさっき出ましたみたいな熊のウンチと足跡発見。さっそく爆竹王が爆竹を鳴らす。爆竹鳴らさなくってもうちら充分うるさいけどなあ。
 滝ノ沢出合から10分弱で北ノ又沢へはいる。出合は6mの滝になっている。しばらく高度を上げるとルンルンの河原歩きだ。930mの二俣で右俣にはいる。1時間程で20mの滝がでてくる。ヨーコを先頭に左側をがしがしと大高捲きする。たのもしい。枝沢をひとつ越して沢へザイルごぼうで降り立つ。あとはナメがずっとつづいている。水流も細くなりなくなるのかなと思うと釜をもった小滝がでてきたりして驚く。
GIRIGIRI GIRLS  あとは北へ北へと薮漕ぐと登山道につきあたりまばゆい緑の大場谷地の湿原にとびだす。八瀬森山荘でお昼寝したりして大休止の後いよいよ関東沢を下降開始。小屋前の湿原を水流に沿って沢の中へと入っていく。薮がなくなり沢らしくなったところから岩魚がいるわいるわ。こんな上流にいるもんなんですねえ。ザックをおいて釣りたいところだけどグッとこらえて下ります。又来るときまで釣られずに生きてて頂戴。今日はあとは下りだけなんで気が緩んできたせいかずいぶんゆっくりペースで歩きます。大きな滝もなく下りにとてもいい沢です。あともう少しだなと思っているところで右岸をいけば簡単だったのに左岸をくだり、後戻りするのが面倒だったんで懸垂で滝を降りたら、途中から空中懸垂になってしまった。目星をつけてた着地地点からずれて水のなかを滝つぼに押し流されそうになりながら必死で泳いでしまった。当然ずぶ濡れ。思わぬ展開に時間をくってしまったのでした。濡れた体が肌寒くなったころ898mの大深沢の出合着。気持ちのいい広い砂地にテントを張る。なんだこの開放感は、ここは天国かな? 当然焚き火の炎はこの夜も幸せな時を連れてきたのだった。
 三日目はおまけの日。今日はゆっくり沢を楽しみます。関東沢を右にわけて大深沢を登り返します。すぐにナイアガラの滝がでてきた。 ナイアガラの滝  縦横ともすばらしくデカイ。しばしその大きさと飛沫の美しさに感動。さて誰がいくのかな。やっぱりリーダーが行かないとかっこつかないよなあ。ぐずぐずしてたらザイル着けられてしまった。ちょっとビビリながらなんとか登る。
 滝の上からの景色もすばらしい。すぐに左に仮戸沢がきて正面に北ノ又沢の美しいナメ滝が現れる。なんとも立ち去りがたく大休憩。そう今日はゆっくり休憩ができる。なんたって今日はこの沢でもう一泊するのだから。右の東ノ又沢に入る。しばらくきれいなナメが続く。でも気をつけてないと苔でつるっといてしまう。沢が東に向きを変えるとゴルジュ帯にはいる。何度か高捲きを繰り返し沢が穏やかになった1220mあたりの河原に今日の寝床を決める。ブルーシートとフライで天井をつくり後は自由。まだお日様は真上にいるけどもう今日は休みやけんね。でもお酒は飲めない。夜まで時間がありすぎる。釣りにいったりお洗濯したり山菜採ったりゆったりと時間が流れる。そして夕方には薪火の煙が穏やかに沢下に流れてゆく。
 四日目の朝は寒さで目が覚める。夏とはいえ上流の東北の沢のビバークは結構冷える。でも今日も朝から快晴。幕場から5分程行ったところで熊の足跡発見。こんな近くで熊も顔を洗ってたんだと思うとちょっといとおしくなってくる。だんだん沢は細くなってゆき1300m付近から真南に向かう沢に入る。覆いかぶさる笹薮をかきわけながら沢をいく。忠実に沢をつめてどん詰まりまで行く。そこから真南に薮をこいで行くと5分ほどで1384mと1420mの鞍部にでた。そこの湿原も明るくとても気持ちがいい。秋田駒、乳頭山がはるかに見える。ここから強い日差しの中大深岳への縦走路にでて三ツ石山経由で滝ノ上温泉に下ります。小畚山では地元のおじさんからスゴイネすごいねと褒められ、こっちのほうが恥ずかしくなってしまった。
 360度展望の縦走路は緑が美しくドイちゃんはここに別荘を建てると誓っていた。夢が叶いますように・・・。よれよれに干からびながら三ツ石山から三ツ石山荘到着。すごくりっぱな山小屋に変身している。テラスもあり湿原の庭付きの別荘のようだ。水も細いけれど近くにあるし、あと酒屋さえあれば住み続けられる。足が棒のようになるころ駐車場着。今夜は道の駅あねっこでお風呂に入り、テントを張って、スーパーで食べたいもの(すし、やきとり、コロッケ)いっぱい買って食べ、ぐっすり寝たのでした。
やっとここまで来ました  葛根田、大深の沢、そして一緒に行ってくれたみんなありがとう。とっても愉快で楽しい夏休みでした。


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