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ヒツゴー沢
大田 雅子

山行日 2006年8月26日
メンバー (L)飯塚、小堀、高木(敦)、峯川、道祖土、大田

 入会後初の山行として、ヒツゴー沢に参加した。沢登りは今年デビューの3回目。前2回は奥多摩の沢で、最後の突き上げではヘトヘトになりながらも、水の中ジャブジャブ、沢登りの楽しさを知り、谷川の沢がどんなものなのかよく知らないまま、調子に乗ってついて行ってしまった。
 前日入りしてテントで初の飲み会。いろんな話が飛び出し、山の名前もいろいろ出てきたが、ほぼわからず・・・。
 次の日、天気も良く、最初の蛭ロードに備えて皆で中国の軟膏やら蛭ファイターやらで入念な装備。いざ、歩いてみると蒸し暑い木立の中を、思っていたよりは小さいものの、ウジョウジョと蛭が出てくる出てくる・・・。靴について入り込もうとする蛭たちを何度も止まって退治しつつ、約1時間半で二俣に到着。
二俣までの道にヒル多発  蛭との格闘ですでに消耗。しかし誰も被害に合うことなく、気を取り直して沢登り開始。明るく開かれた景色の中、次から次へと現れる滝。谷川岳に来たことはあったが、こんなところがあるとは思いもよらなかった。水も岩もきれいで奥多摩とはまた違った趣の沢を知る。ナメ、スラブ、ゴルジュなど沢用語を教えてもらいながら、私の中ではかなりの数の滝を体験。
綺麗なナメ滝  一息ついたところで休憩となり、地図にて現在地を教えてもらうと、なんとまだ3分の1も来てなかった!!「えーこんなのがあと2倍もあるの???」ここで初めてヒツゴー沢の大きさを知る・・・。ここから急に心配がフツフツと。「一体私はこの沢を登りきることができるのか??」
ヒツゴー沢名物 20mチムニー滝  その後も滝はこれでもかこれでもかと現れ、途中、岩とシダと滝の、まるで箱庭のように完成された自然空間が現れ、感動!!しかし、カメラを出す元気はなく、ただ見とれるのみ。その後は本当に景色を楽しむ余裕もなくなり、ひたすら岩を越えることに集中。ノロノロと登るのは遅くなる一方。
上部にはまだ雪渓が  時間は刻々と過ぎて、このペースでは今日中に下りるのが難しいということになり、途中から荷物をメンバーの皆さんに持ってもらい、ひとり身軽になりながらもついていくのがやっと。ようやく稜線に出たころにはすっかり日が傾いていた。登ることで全力を使い切った思いで、「これ以上歩けないので、わたしは今晩小屋に泊まりたいです!!」と今までペースを合わせてもらっていたことも考えず、つい口走ってしまう。メンバーの皆さんは、私のへたれぶりに怒ることもなく(まあ、呆れてはいたと思うが・・・)山小屋やゴンドラの様子を聞きに行ってくれた。が、ゴンドラはすでに終了、山小屋も満員で下りるしか道はなかった。
 覚悟を決めて、下りる準備をしていると追い打ちの雨。ともかく見えるうちに岩場を抜けようということになり、必死で下る。もう人目も何も関係ない!捻挫でもしてこれ以上のお荷物になってはたいへんとほぼお尻で下りる。どんどん暗くなってついにライトをつけることに。ここでもうっかり車にライトを忘れてきて、高木さんに借りる始末。迷惑の上塗りだ。下りている間中、「前の日一緒になって飲んでる場合じゃなかった」、「地図も読めないのにこんなところまで来たらダメじゃん!」と頭の中は後悔でグルグル。ほとんどいうことをきかなくなった足を一歩づつ進めるしかなかった。
 とにかく、とにかく下ってようやく指導センターに着いたのは9時半近くなっていた。この日のうちに帰る予定を諦め、ゴンドラ待合い所にてもう一泊し、翌日帰宅となった。
 ほんとうに無事下りて来られて良かった!沢は命がけの遊びだった!!それでも、あんなにたいへんだったのに、下りてきてしばらく経つとまたウズウズとどこか行きたくなる。楽しいことばかりじゃないところが山の魅力なのだろうか?
 メンバーの皆さん、山のような大きな心で、わたしのノロノロぶりにつきあってくれて本当にありがとうございました。途中で採ってお土産に分けてもらった貴重なウドは、野生の濃い匂いと味で格別なものでした。

〈コースタイム〉
谷川温泉発(7:10) → 二俣(8:50) → 稜線(16:40) → 肩の小屋(17:20) → 指導センター着(21:20)


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