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三ツ峠
小幡 信義

山行日 2006年8月26日~27日
メンバー (L)小幡、荻原、安齋、天内、坪松、竹内

 この時季は避暑を兼ねて、2年連続して小川山に行っていたが、今年は荻原君より、9月の3連休で、穂高岳の屏風岩を登ろうと誘われていたため、人工の出来る岩場としては三ツ峠が良いだろうと計画した。
 三ツ峠のゲレンデを簡単に紹介すると、標高1,786mの山頂の南面直下に展開する屏風岩は高差80m幅約200mのスケールを有し、ゲレンデとしては関東一の規模を誇っている。岩場は大別して左、中央、右の三つのフェースから成り、易から難まで非常に幅広いルートである。ビギナーからベテランまで技術に応じた練習をすることができる。
 八王子駅南口22時30分集合、車2台で本日の仮眠所、三ツ峠裏登山道の広場へ向う。深夜1時到着、テントを張りすぐ寝たいところだが何故かアルコールが入らないと寝付けず、1時間程おしゃべりしながら飲む。
 翌朝7時30分出発、天気はくもり、今日1日は大丈夫であろう。毛無山山頂まで1時間の急な林道を登攀装備一式を担いでの歩きはキツイ。でもボッカ訓練と思えば大したことでもないか?・・・。
 山頂8時30分着、他のパーティーのテントは無し、我々だけなのか?・・・。一等地にテントを2つ張り屏風岩へ向かう。降りた所に小さな沢があるが、水が流れており水場も心配ない。5月頃は涸れていたはず、岩は濡れているかもと心配したが、右フェースは大丈夫のようだ。荻原・坪松ペア、安齋・天内ペア、竹内・小幡ペアで登攀準備に入る。取り付いているパーティーは誰もおらず自分達のペースでゆっくり登れそうだ。私達のペアは最後に取り付く。一般ルートの左ルートIV+を竹内君リード、第1バンドよりT字クラック15mV-を小幡リード、取り付きの浅いクラックで手こずってしまいチョンボし、シュリンゲにつかまり登りきる。ハング直下で右へトラバースし第2バンドへ。クラックIV+を竹内君リード、その上は階段状の岩場なのでロープがどんどん伸びてゆく。あっという間に姿が見えなくなり、しばらくしてロープの流れが止まる。多分ビレーポイントに着いたのだろう。ビレー解除の声が返って来るのだが聞こえない。ここは暗黙の了解で登る。ロープが引き上げられているので問題なしと判断、第3バンドへ到着。ここからは何度も登っている権兵衛チムニーをルートに取る。来週は谷川・幽ノ沢の本チャンを計画しているため、竹内君のリード状態を下から観戦と決め込み、先に行ってもらう。10m登った当たりからチムニーに入るが、背中と両足を押し合いうまく登っている。ほぼ滞りなくビレーポイントに着いたようだ。しかしそれからが長かった。なかなかビレー解除の声が返って来ない。しびれを切らし私の方から「登っていいかい!」のコールを掛けるが返事なし。本チャンはスピーディーに登るのを私のモットーとしているので果たして大丈夫か不安が残る。
 三ツ峠ではビレーポイントに径20cm位のリングの支点が各所に設置されているが、どうも、径の太さ、また支点1ヶ所でのロープのセットの仕方が分からなかったようだ。マルチピッチ2回目で、相手が思うように動いてくれないと思った自分を、教える側として反省・・・。
 天狗の踊場で登攀終了。天気は朝から曇り空で展望は期待出来なかったが、登攀中は暑くもなくよかったのだろう。
 これから3回の懸垂下降だ。自分に言い聞かせるように、ミスは即「死」であるからと話し、ロープの結び目、支点、エイトカンのセットを確実にチェックするよう言い残し、まず私が先に降りる。降りてから上を見上げながら思ったが、教える側としてはロープに乗り移るまではいつも心配だ。
 3ピッチの登降を終え、まだ夕飯には時間があるため、一般ルート(リーダーピッチ)IV+を竹内君リード練習、下で見ながら、登り自体は安定して不安はないが、あとはロープワークだなと思った。
 荻原ペアは人工ルートへ、安齋ペアは、また上の方へ行ってしまった。我々は時刻も午後4時頃になったため、少々早いが今日の練習は終わりにしテントへ引き上げる。結局テントは我々2張りのみ、岩場も2パーティー位だったか、5月に来たときとは違い静かな岩登りが出来たと思う。
 テントに入り冷え冷えのビールで乾杯、夕飯は闇鍋、各自3品持参ということで、コッヘルに水と調味料を入れ、あとはぶち込むだけ、男衆の夕飯はこれでいいのだ! なかでも坪松君の持参した水ギョーザは旨かったかな?
 翌日も7時より練習を予定していたため、深酒は禁物、21時頃にはシュラフに入り込む。夜半より小雨がパラつき、いやな予感・・・。
 5時起床、外はガスっており霧雨だ。フライもかなり濡れている。今日の練習が心配だ。荻原君と岩場の状態を見に行く。トップロープをセットし、1~2本のルートは練習出来ると思うが、濡れている所を無理して登って怪我でもしたら大変なので、私の気持ちは中止を決めていた。
 テントへ戻り岩の状態を説明、心残りもあったと思うが今回は中止し帰ることに決定。朝食を喰い6時45分撤収、高速もスムーズに走り、八王子駅10時に解散となる。
 最後に車を出してくれた坪松君、竹内君ありがとう。参加者6名も集まってくれ感謝、来週は本チャン、三ツ峠は最後の練習、ここまで私の例会に全て付き合ってくれた竹内君、ありがとう。本チャン幽ノ沢・V字状岩壁右俣・右ルート頑張ろう!


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