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松木渓谷から大平山
中沢 佳子

山行日 2006年8月5日
メンバー (L)峯川、鈴木(章)、橋岡、川崎、道祖土、中沢(佳)

 梅雨明け一週間目、雲ひとつない青空の下8月の太陽を遮る木立もない笹原を、10時間歩き続けました。
 ああ、凄まじく暑かった・・・。
8月4日
 銅親水公園駐車場にて寝酒したのち、仮眠。仮設トイレもあり、静かで快適な場所だった。
8月5日 快晴
 5時半起床 5時55分出発 気温13度
 ゲートを抜けて、久蔵沢にかかる赤い橋を渡り、松木川左岸の砂利道を歩く。
 「晴れてくれるのは嬉しいけど、ここまで晴れなくてもいいのに」リーダーのぼやきに、一同苦笑するしかない。
 汗ばみながら黙々と歩いていると、右手に、真っ黒な砂の斜面が現れる。鉱山の廃石でできているらしいが、余りに不自然で異様な光景だ。さらに進むと、左手に中倉山北面の「ジャンダルム」が見えてくる。削り取られた岩肌には、わずかの緑しかない。
松木渓谷の象徴であるジャンダルム  ジャンダルム上部は、植林事業が進みつつあるようだが、この岩肌に緑が戻るのに、あとどのくらいの年月がかかるのだろう、と思う。
 威圧的な姿に目を奪われつつさらに歩くと、右手から大ナギ沢が入ってくる。
 いよいよ急登の始まりである。大ナギ沢を渡ってすぐの尾根に取り付き、足元に伸びる草を頼りに、四つん這いの姿勢で登る。右手前方に、鹿の防護網が延びており、ルートの目安になる。
 高度を上げるにつれ、紫外線が肌を刺すような痛みを感じる。汗だくで気持ちが悪い。
 斜面を登りきると、990m圏のコブに出る。腰を伸ばして辺りを見渡すと、駆けていく鹿のお尻が見えた。
 ここから北西に進路変え、さらに急登を続ける。気がつくと、ジャンダルムを眼下に見下ろす位置まできている。
気持ちのいい尾根だが暑かった...  休憩ポイントとなる木陰を探すように、登り続け、1600mをすぎると、笹原が広がるようになる。休憩中に、アッコさんが取り出した「桃缶」に、嬌声をあげる。ウマイ!
 1930m地点で、大平山へと続く稜線に乗り、北東に進路を変えてさらに歩く。少し風も出てきて、木陰も増え、気持ちがいい。
 10時に、太平山の山頂に到着し、記念撮影。このとき、最新版のエアリアマップと10年前のものと比べていると、古いものには1792m地点を過ぎて、南進し、さらに北に向かう辺りの地点に「水」のマークがあることを発見。「冷たい沢の水!」に期待が高まる。
静寂の大平山にて記念撮影  大平山山頂(10時)から5分ほど歩いたところで北に進路を変更する。ガサガサッ、と音がする方向に目をやると、サルがいた。赤テープがあり、そのまま北に進むと、登山道にぶつかる。県境マークや、「黒檜山~社山」と書かれた標識があり、ホッとする。
 1816mをすぎたあたりで、突如左手に中禅寺湖が現れた。濃紺の湖面と、緑の笹原が美しく、吹き上げてくる風が心地よい。
男体山と中禅寺湖を望む  この先、10センチ~70センチほどの笹藪がめまぐるしく背丈を変え、やや歩きにくいものの快調に進む。
 1792m地点を過ぎ、次のピークの北側を巻き気味に越した直後、リーダーが水場を発見し、喜びの雄叫び!年によっては、枯れてしまうかもしれないほどの細い流れだが、ありがたかった。
 暑さも少し和らぎ、そのまま東に進路をたどると、社山に着いた。頂上は狭くて暗く、展望も少ない。桃缶と生グレープフルーツ2個で、体を潤し、14時に南尾根の下山を開始した。
 ここから300メートルほどを一気に下るため、膝にくる。1450m付近では、赤やピンクのテープが、いくつかつけられていて、紛らわしい。「1ヶ月前に下見に来て迷った」というリーダーの確実な読図により、進行方向左下に伸びるピンクのテープは避け、やや右寄りに下る。
 さらに、1260m付近まで下ると、錆び付いた「禁煙」の看板(30cm四方ほど)が地面に転がっており、その裏面にマジックで「2003、6、26、下山 右へ」の文字。このプレートはガイドにも出ており、ポイントとなるはずのものの、やや分かりにくかった。
 1012m付近から、南南東にやや進路を変えて下り、15時30分に無事下山した。
 鄙びた足尾の街を過ぎて、「やしおの湯」で汗を流し、カキ氷で癒されて、解散。
 山行計画書にあった「のんびりハイキング」は、過小評価し過ぎだけれど、夏本番前の耐暑訓練には最適の山行でした。
 涼しい秋口にでも、また是非。
【補足】
 今回、10年前のエアリアにあった「水」マークで潤されたわけだが、逆に「ジャンダルム」の地名は、最新版にはあって10年前のエアリアには無かった。
 この呼び方が定着したのが、いつごろなのかは分からない。けれど、中倉山北面が、あたかも大昔から岩肌も露な斜面であったかのような印象を与えかねないな・・・とふと思った。
【追記 峯川】
 酷暑の中、皆様申し訳ございませんでした。
 そしてお疲れ様でした。本来は涼しく気持ちのいい9月の末を予定していたのですが、自身の仕事の関係で仕方なくこの時期の山行となってしまいました。紅葉の時期は快適な山行となるでしょう!

〈コースタイム〉
8月5日
銅親水公園(5:55) → 旧松木集落(6:30) → 大ナギ沢出合(6:40~6:50) → 990m圏コブ(7:10) → 1805m点(9:35~45) → 大平山(10:15~10:35) → 黒檜岳・大平山分岐(11:05) → 1750m付近水場(12:30~12:40) → 社山(13:10~13:30) → 1568m付近崩壊地(14:00) → 1470m分岐(14:20) → 1300m分岐指導標(14:35) → 1012m雨量測定所(15:10) → 安蘇沢林道(15:30) → 銅親水公園(15:50)


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