トップページ > 岩つばめ一覧 > 岩つばめ322号目次

集中山行・船形山
その1 層雲峡沢ルート
さとう あきら
山行日2006年7月15日~17日
メンバー(層雲峡沢ルート)別所、天城、佐藤

(大滝野営場尾根ルート)前野、石川、西尾、江村(し)、冨岡

 当初計画では、初夏の集中登山を秋田県の虎毛山塊としていたのだが、昨冬の大雪の影響で今もって残雪多く危険とのこと。開催間際になり場所を宮城県と山形県の県境に鎮座する奥深いブナの山、船形山(山形名では御所山)に変更する。さらには雨天予報も重なり、出発寸前に沢登り隊は中止に。結局山形県側から入山する我々車2台の8名のみとなってしまった。
 7月15日朝、新幹線で追いかけてきた西尾さんを途中の仙台でピックアップし、山形県尾花沢の御所山荘まで車で入る。ここは近年改築された市営の避難小屋である。広く清潔で、隣接施設からの受電で夜も明るく快適そのもの。しかも利用料は無料である。市に感謝しながらもありがたく利用させてもらう。ちなみに小屋前のホタルの乱舞は驚くほどだった。
東北の山小屋は快適そのもの  翌16日、宮城県側の大滝野営場からのコースと小屋前の沢を詰める層雲峡コースの2パーティに別れ、朝6時それぞれ出発となる。層雲峡コースは1時間ほど歩いた林道終点で靴を履きかえ、いよいよ沢歩きだ。昨夜の雨でわずかに増水しているようだが、幸い要所にはクサリが設置されており危険箇所はない。1時間半ほどの遡行で大沢小屋に到着となる。ここは以前営林署が管理していた施設で、当時は岳人のあこがれの山小屋だった。いろりや五右衛門風呂があり、しゃれた2階のバルコニーからの眺めも良好だ。しかし放置された今となっては痛みが激しく、あと数年で倒壊してしまうのかも知れないと思うと、ちょっと寂しい。
船形山塊の珠玉 大沢小屋  小休止のあと1時間ほどの沢歩きで御宝前大滝となる。壮大だ。落差50mとのことだが、水量豊富で瀑風がすさまじい。滝の近くに寄ろうとも、巻き上がる暴風雨に圧倒され、しっぽを巻いて対岸の登山道に逃げ出す次第だった。ここからガラ場のかすかな登山道をあえぎながら登るが、手入れされていない道は少し不明瞭だ。以前と比べ、百名山から外れた辺境の山のサブルートは、手入れされなくなりつつあると見える。地元自治体の財政難なのか、地方の山岳会の衰退なのか分からないが、憂慮すべきことだと感じる。
 10時半、大滝野営場ルートを登った西尾さんから、今しがた頂上に到着したとの連絡がトランシーバーにガツンと入る。このような集中登山では、お互いの状況が分かるととても安心だ。谷の中は携帯電話の圏外となるため、改めてアマチュア無線の威力に感激する。途中の小ピークでの大休止後、ガスの舞う船形山頂上着12時10分。皆様お待ちくたびれの様子だが、やはり山の頂上で仲間に会うのはうれしさもひとしおだ。早速写真撮影の後、こちらはやっと昼食のラーメンにありつく。天城さん、装備の持参ありがとう。
待っていてくれてありがとう@船形山頂  大滝野営場への下山道はすばらしいブナ林の中をたどる。厚く積もった腐葉土の柔らかな道の感触。雪の重みでしなった幹の先に輝くまだ色淡い若葉。遠くに続くたおやかな山なみ。やはり東北の山はいいなぁ、と感じさせてくれる。
 午後2時前に車に戻り、その後大崎市のカッパの湯で一風呂。今宵の宿をどこにしようかとだいぶ検討したのだが、相変わらずの雨模様なことから、昨夜お世話になった御所山荘にもう1泊お願いする事とし、財布にも優しい選択となる。
 最終日17日は、銀山温泉の共同風呂で朝風呂を楽しみ、午後早い時間の帰京となった。


トップページ > 岩つばめ一覧 > 岩つばめ322号目次