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両神山に続く尾根(奈良尾(楢尾沢)峠~両詰山~戸蓋峠~明神山)
鈴木 章子

山行日 2007年2月3日~4日
メンバー (L)鈴木(章)、成田、道祖土、野口(愛)、大田

 最近、「『両神山』に取り憑かれている」と言われても仕方がない。其れほど魅力の有る山域だと通い続けて気が付いたものが有る。
 今回の「両詰山」を探してきたのは、川崎さんだったが、参加出来なくなったのは大変残念だった。
 昨年11月頃から「行こう、行こう」と声高には言ってみたが、話が進まず今日になってしまった。これまでで、この周辺の山では一番力を入れていたのではないだろうか。
 しかし、このルートは、思いの外、平凡だった。どちらかと言えば、後半の「戸蓋峠~最終ピーク明神山(三等三角点)」間でのルートは、地図読みには良い学習ルートになった。
 今回の参加者は、成田、道祖土、野口(愛)、大田、私の5名。大田さんは志向ルートは初めてとか。何時もながら、私の山行に参加して頂ける皆さんには感謝している。
 三峰口8:41着で集合。今回、秩父鉄道の羽生駅で一人、熊谷駅で一人、寄居駅で二人、お花畑駅で一人と乗車駅も様々だった。
 三峰口で予約しておいたタクシーに乗り込み日向大谷口まで、しかし、よく調べればこの時間帯に合わせて日向大谷口行きバスが有った様で、高くついてしまったのは申し訳なかった。
 タクシーを降り身支度を整え、各自水2Lを持ち出発。出発時点で、既に清滝方面に足が向いている。やはり、踏み固められた一般登山道は安心と言える魅力がある。
 日向大谷から奈良尾峠方面は、利用する人が少ないようだ。奈良尾峠手前に天武将尾根方面への分岐が有り心惹かれる思いがした。何時の日にか、この尾根も歩いて見たいものだ。
 今夜の宿は「戸蓋峠」。何時ものように何時に着くのやら。奈良尾峠からの取り付きは細めの尾根から始まった。境界尾根だった(小鹿野町、両神村)ため、境界杭と僅かな踏み跡も有り、ドンドン進むことが出来た。そんな訳で852Pにも気付かず出原舟(857P)に着いてしまったが、気持ちの中では852P辺り。しかし、山中なのに「舟」の名があるのは不思議。出原と言う里名が有るので、其処から見ると船の形に見えるのだろうか。
 出原舟から境界線を頼りすぎ、左に寄りすぎてしまったので修正。その後は、ダラダラとした広めの尾根を登っていくとピークに三角点有。全員、「???」とした気持ちでいると、成田さんが、蒲鉾板の倍くらいの大きさに「両詰山」と書かれた山名板を拾い上げ、此処が今回目的の「両詰山」と確認。時刻は11:30、早着きで何だか・・・。地図では、此処から先変化に乏しい気がする。早くも今夜の酒の量を心配する声が・・・。
両詰山山頂  そんな中、今回、地図読み山行初めての(テント泊も初めて)大田さん、地図を見つめ
「今、どこ?」その姿が、藪山を始めた頃の私みたいで、実に可愛い。新鮮だった。あの気持ちは失ってはいけないなーと思った。
 インターネットで調べると「奈良尾峠~両詰山までは大藪をかき分けて・・・」と、記してあるのもあったのに。
 山頂は植林の中にあり、展望は全くなく寂しい限りだ。気持ちを取り直し、山頂で昼食、休息を済ませ出発。ここで、成田さんが南東方向へ?私たちが向かうのは北東方向の644P、此処で90度方向が変わる(木にスーパーバッグが巻きつけてあった)これが藪山の楽しみかも知れない。
 進むにつれて、樹林帯から自然林に、尾根も少し細くなり始める。が、それも直ぐに過ぎ、広くて平らな戸蓋峠に着く(13:40)。
 今年は異常暖冬。この日も、芽吹きのようなポカポカハイク。早朝出発と平凡なルートに誘われ、睡魔が襲ってくる。背中の荷物が無ければ、歩きながら、きっと眠っていただろう。更に、そんな気分を増したのが、早着きの戸蓋峠。ここは、里の人の生活道だったのだろう。峠の脇には首から上の無い細身のお地蔵様が2体、通り過ぎる人々の足音を今も感じ取られているのかな。
 雑木に覆われ、広くて平ら。幕場には何一つ申し分ないが、成田さんからの指示が出ない。それまで、何も言わなかった道祖土さんも、「どこでも、いいのに」と・・・。
 暫くして、指示の出たところにテントを張り出すが、ここで、私が大失敗をしたことに気付く。なんと!テントが2~3人用エスパースではないか!箭内さんから受け取った後、未確認で持参。幸い4~5人用でも狭いからとツエルトを持参、外は好天気、これほど力強いものはなかった。
テン場の日向で歓談  寒くなるまで外でお茶会?夕食はテントの中で作り食べた。何と米4合を5人でペロリと食べてしまった。山での楽しみは、やはり、食事だね。
 2月3日(本日)は節分。野口さんと私が持参した豆で、夜は、自然の神に感謝を込め全員で「豆まき」。その後は、寝支度。 まず、荷物を全てツエルトとフライの下に、背の低い者から端を埋めた。ピッタリ!(想像は各自)誰も窮屈とは言わなかったし、よく寝られた。狭い分反って暖かかった。最も細身の5人だったからかな?小さなテントでもOKと言うことを発見した夜でした。
 翌朝はのんびり起きた(6:25)けれど、全員、手際が良く8:10には歩き出していた。しかし、ここからの地図読みには力が入った。尾根が広く、樹林帯の為、展望が無く、踏み跡と小さな尾根が至る所にある。何処を下っても里には下りられるが、やはり自分で線引きした尾根を辿りゴールしたい。
 全員で奮闘のお陰で、多少の訂正はあったが、615P、566.7P、559P、577P、道路を横切り373P、最後のピーク、三等三角点472.5P(明神山)へ。
 明神山の山頂は電波塔に占領され休む所もままならないが、展望が良く、特にここから見る両神山はノッペリと見え、何時もの厳つさは感じなかった。
 ここから最後の下山となるが、すっかり気の抜けた5人は踏み跡を辿り、ただただ下山。気が付くと小森川の右岸を歩いていた。渡渉なんて考えたくも無いので、暫く流れに沿って歩き、登れそうな所を見つけ這い上がると、何と目の前は畑、その中を突き抜け道路へ。バス停(黒海土入口)まで20分だった。
 今回の主役は野口さんでした。彼女の地図読みの力は実に素晴らしい。自分の能力不足、再学習の機会を与えてもらいました。
 これからも、この山域に何度も足を運ぶでしょう。天武将尾根、赤岩尾根などなど。暑くなったら沢登りにも行こうとも思う。アプローチが悪いのが難点だが、それを越えるだけの魅力を持っていると思う。

〈コースタイム〉
2/3(快晴) 三峰口=日向大谷(9:40) → 奈良尾峠(10:33) → 出原舟(11:05) → 両詰山(11:30~11:45) → 戸蓋峠(13:40)
2/4(快晴) 戸蓋峠(8:10) → 615mピーク(8:20) → 556.7mピーク(8:45) → 557mピーク(9:15) → 道路(11:10~11:35) → 471.5mピーク(12:05~12:35) → バス停(13:10)

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