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正月合宿
その1 五竜岳
道祖土 巌

山行日 2006年12月31日~2007年1月2日
メンバー (L)小幡、紺野、天内、道祖土

 今年こそ何とか正月合宿に参加したいと前々から考えていたところ、山域は五竜岳に決定とのこと、私でも何とか行けると思い、後は休暇の確保をどうクリアするかが問題でした。とにかく来年は、今年の分も含めて出勤するからと根回しをしてようやく5日連続の休日を確保、それでも当初30日からの出発予定を一日遅らせてもらいました。ただ結果的には、これが幸いし、山行中天候に恵まれることが出来ました。山行前に、今年はまだ雪が少ないようだけれども、この山域の一日で降る雪の量は別格で、並の量の雪ではないと何度か言われましたが、現実を知らない私は、ラッセルも結構好きですし不安よりも期待の方がずっと大きかったです。
 12/30は、夜行のムーンライト信州を利用するため11時30分に新宿駅に集合、車利用の山行が多い昨今、年末に夜行に乗って正月登山に向かうというもなかなか貴重な機会になってしまったようです。この日は、出発日がもう遅いからなのか登山者の姿は少なく、小幡さん、紺野さん曰く一昔前は、窓から出入りすることもあったとのこと、それを聞くと少々寂しいような気もしました。電車に乗り込み早速乾杯、年の暮れに夜行列車での出発は、いつもと違いなかなかいい気分でした。
 翌朝5:30過ぎに神城駅着、案の定、降車した登山客は、私たちだけでしたが、見上げた夜空は、満点の星空で出足は上々でした。駅員の方から昨日は、強風のためスキー場のテレキャビンは、運行停止であったとのこと、私の都合で1日遅れの出発となってしまったのですが、それが幸いしたようで少しほっとしました。駅からの無料シャトルバスも貸切りでエスカルゴプラザへ到着、そこは、ますます登山客の入り込む余地のないような雰囲気でスキー客とスノーボーダーたちでかなりの賑わいでした。時間も早いので仕方なく少し落ち着く場所へ移動し仮眠をすることにしました。8:00にテレキャビン乗り場へ移動、ようやく1パーティーの登山客の姿を見つけ安心、おそらくあちらの方も私たちのことを見て同じ気持ちだったかも知れません。アルプス平の駅を降りると、五竜岳から唐松岳が一望、しばらくリフトの下をスキー客の楽しそうな姿を横目に歩き、間もなく地蔵の頭に到着、鹿島槍から五竜、唐松、白馬岳と、10月の連休に思わぬ悪天と強風で引き返した小蓮華岳、白馬乗鞍岳と冬の後立山を一望することが出来ました。
長丁場の遠見尾根と五竜岳  ここからは、長丁場の遠見尾根をひたすら登りますが、トレースもありまるで春山のような日差しの中快適に進み小遠見に到着。ここからは南アから、富士山、八ヶ岳、奥秩父、浅間山、そして振り返ると気がつかなかった戸隠や妙高、雨飾山を一望することが出来ました。先もあるので小休止をして一気に中遠見、大遠見を超え西遠見辺りまで行き、幕営となりました。ここからは、紺野さんが賞賛していた鹿島槍北壁が見事な光景でした。
賞賛の鹿島槍北壁  テントに入り落ち着くと早速、乾杯し頃合をみて夕食の準備に取り掛かりました。メニューは大晦日ということですき焼き、男だけの食当に不安を感じていたところ案の定、ご飯の炊き具合が良くなく、水を足したり少しかき回してみたりと色々試みるもなかなか芯がなくならず焦げるばかり、天内さんが大丈夫と言うものの紺野さんは、一口で食べられないと拒否、それでも天内さんは、十分に食べられると言うものだから紺野さんは、更にかたくなに拒否、少々酔いもさめてしまう一件となってしまいました。でも、翌日の昼ごろまで食べたご飯が胃の中で消化不良であったのは、きっと天内さんも一緒だったのではないかと思います。
 翌日は、6:00過ぎに出発、快晴ほぼ無風の中、初日の出に染まる鹿島槍北壁をバックにまさに真っ白な白岳から五竜山荘までは雪崩の危険を回避するため一気に登りきりました。山荘前からは長いトラバースと頂上直下の急な雪壁がはっきりと分かり、緊張感をもって最後の登りにかかりました。約2時間でピークに無事到着、ここまで一度も目にすることのなかった剱岳の大パノラマが、目の前にありました。天内さんが、ここまで大事に担いできた一眼レフのデジタルカメラで記念撮影をした後、しばらく光景を堪能し下山。小屋に到着し、少し緊張感が和らいだところで、紺野さんからワインの差し入れ、言葉にならないくらい冷え切った赤ワインは、この瞬間でしか味わえないものでした。13:00頃にはテント場に到着、この日はゆっくりし翌日下山することにしました。
 翌日は、少し天気が良くなかったものの所々で五竜岳や鹿島槍を振り返り足早に下山。10:00前にはアルプス平に到着し、無事正月山行を終えました。
 途中、神城駅近くの十郎の湯に立ち寄り白馬駅から帰途につきました。車中では1升瓶の清酒大雪渓で乾杯し、天候に恵まれた今年の正月合宿を締めくくりました。

〈コースタイム〉
12/31 アルプス平駅(8:45) → 地蔵の頭(9:15) → 小遠見(11:15) → 西遠見テント場(14:20)
1/1 西遠見テント場(6:10) → 五竜山荘(8:30) → 五竜岳山頂(10:30) → 五竜山荘(12:00) → 西遠見テント場(13:00)
1/2 西遠見テント場(7:15) → アルプス平駅(9:50)

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