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榊山・長沢山
峯川 正行

山行日 2006年11月25日~26日
メンバー (L)峯川、小堀、鈴木(章)、成田、田中(恵)

 昨年の10月に実施されたビバーク訓練と三峰神社参拝の山行の下山の際に、白岩山付近から東側に見える山が気になっていました。それはどうも榊山という山らしく、三角点もあるのですが、破線ルートにもなっておらず、Webで検索してもほぼ記録があがってこない状況。我が家が神道であることも理由なのかもしれないが、非常に気になる山域となっていたのです。
 今年の春からこの山域の下見を始めて、ここは東大演習林の管轄内の為になかなか人が入ることもなく、ルートも開かれなかったようなのです。他のグループの諸先輩方に色々情報を頂いた結果、特に入山するに至って手続きなどは必要ないようで、とにかく山に対して無礼な事をしなければいいという事を念頭において奥多摩側の最近はやっているらしい?喜右衛門尾根下降も含めた計画を立てることとなりました。
 三峰口駅に8時20分ぐらいに集合し、予約してあったタクシーに無理矢理5人乗車です。大血川渓流センター過ぎの東谷林道迄で2400円くらいです。現在は三峰ロープウェイが休止しているので、この先の太陽寺から入ってもいいのかもしれません。身支度を整え、ゲートを潜り紅葉も終わりかけている林道をのんびり進みます。今日はあとで使用する"塊"の為にいつもよりザックは重いです。右岸から左岸へわたれる喧嘩平歩道というおかしな名前の道を進みます。多分この左岸側が旧道のようです。演習林の敷地内なのか木に札が掛かっています。30分ほど歩くとケルンらしきものがあったのですが、橋のあるところまで進んでみます。薄い取り付きらしきものがあったのでそこから取り付きましたが、予想通りにぐずぐずの斜面でしたが数分で尾根に取り付きました。この尾根は榊山1181m三角点から北東方向に伸びている尾根です。
 藪も少ない尾根をしばらく進むと右側から道が薄く付いていました。多分先程のケルンからの道のようで、ケルンから取り付いた方が楽に取り付けるようです。11月の下旬ですが、なんとも暖かく天気も最高です。大汗をかきながら藪も少ない快適な尾根を皆さん快調に登っていきます。自分の計画では幕営地にはある目的で14時前には到着したいなあと...。途中、木の周りに針金が張ってあり、なんとも摩訶不思議な空間が数カ所ありました。何か宗教の儀式のような感じです。取り付いて2時間も経たないで榊山に到着です。
「榊山」と木に書かれていました  ここには山名板などは無くて三角点のみかと思っていたのですが、「ここに榊山って!」という歓声が。なんと木の表皮に薄く三角点のマークと「榊山」と書かれていました。なんとも木に優しくない山名木なのです。展望もない山頂には皆さんあまり興味がないようで、私も先を急いでいたのでさっさと長沢山を目指します。
 1223m付近で四差路を書かれた赤テープが目に入ります。確かにまっすぐ登るルートと、左下に下がっていくようなルートと鉄砲沢へ下るルートがあり、コンパスで一応確認して登るルートをとります。途中、人工植栽林の倒れた看板付近が快適な鞍部なので一本とり、ここからしばらく急登が続きます。藪もそれほどうるさくないままに長沢山の東の肩に飛び出たのは13時半くらいだったでしょうか。私を含めて三名は一応、長沢山のピークを踏んできました。秩父の風景から奥多摩の風景に切り替わりましたが、天候はもったいないくらい最高でした。時間的に予定通りで水松山の西肩の私のお気に入りの幕営地に着いたのは14時20分でした。まずは薪拾いから始まりますが、ここは薪が豊富です。テント設営を簡単に行い、私は今回の山行の最大の目標であったビーフシチュー作りの為におもむろに肉塊などを出します。
ビーフシチューで体が温まりました  自宅で牛肉や野菜などには仕込みで火を簡単に通してきたのでここではビリ缶を使って焚き火でじっくりコトコト2時間以上は煮込みたいものです。それなので、14時ぐらいには到着したかったのです。じっくり煮込んだビーフシチューは予想以上に美味しく、やはり焚き火はいいなあと実感したのでした。
 翌日も天気は良好でした。6時に出発し、喜右衛門尾根を目指して朝日を浴びる長沢背稜を進みます。この尾根の取り付きをちゃんと見つけることが大事なのですが、酉谷山南方の1480m付近から北西方向の尾根がこの喜右衛門尾根となります。見慣れたタワ尾根分岐を20分ほど進むと事前情報から確認していた「27/28」の林班界標があります。ここが喜右衛門尾根取り付きで黄色テープなどもありました。下降ルートもスズタケの勢いが落ちているようで、道筋はしっかりしています。この尾根は最近はやっているようで、人影が多いようです。尾根をしばらく下ると東側がなんとも素敵な台地状になっていて1480m付近です。
自然林に囲まれ気持がいい1480m台地付近  気持を東側にもっていかないと、そのまま尾根に導かれてしまい沢に下降してしまいます。進路を変えて1480m台地付近に向かいますが、自然林に囲まれてなんとも快適な場所で幕営地に最適です!水さえあげれば問題ないと思います。
 しばらくここで昼寝でもしたかったのですが、先を急ぎます。ここからの下降ポイントも大事なのでコンパスで確認して下降しますが、本当に自然林が多くて歩きやすく、紅葉の時期などは気絶してしまうほど素晴らしいのではと。途中、のんびり坐って一本をとったりします。最終的には三又に下りたいのですが、多少ルートがずれてしまったようで、三又より上流の涸れ沢を下降して無理矢理三又に到着です。初めての来訪ですが、確かに三又でした!
 そしてここからが本当の核心だったのですが、あえなく撤退となってしまいました。本来は三又から現在の小川谷林道ではなく、旧小川谷林道上段歩道を巡って東日原に向かう予定だったのですが、なかなか上段歩道を発見することが出来ずに、リングワンデリングのようにまた三又に戻ってきてしまいました~。帰ってから間違えポイントがわかったので次回またリベンジしたいと思います。やはり旧小川谷林道上段歩道はセオリー通りに人形山取り付きから行くべきなのです。インチキして三又から行くのは虫が良すぎました・・・。奥多摩の旅館で静かにお風呂にも入りたいので、早々に撤収を決めて、小川谷林道を1時間半ほど歩いて東日原に到着。途中、おなじみの猫ちゃんに出会って心が和みました。

〈コースタイム〉
11月25日 東谷林道ゲート(8:45) → 尾根取付(9:10) → 榊山(10:50~11:00) → 長沢山東肩(13:35) → 長沢山(13:50) → 水松山西の肩・幕営地(14:20)
11月26日 幕営地出発(6:10) → タワ尾根分岐(6:50) → 喜右衛門尾根分岐(7:15~7:25) → 1480m台地(7:45) → 三又(8:40) → 四間小屋尾根上(10:00) → 下段歩道(10:40) → 三又(10:50) → 小川谷林道 → 東日原バス停(13:05)

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