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旧東海自然歩道(大滝峠~信玄平)
成田 義正

山行日 2007年4月15日
メンバー (L)成田、鈴木(章)、峯川

 旧東海自然歩道入口は平成15年に信玄平を通った時と、大滝峠を通った時に、この道を歩いてみたいと思った。ネットで調べてみると、崩壊が酷そうで、とても一人では行けそうにないので諦めていたら、いつも山行ヒントを与えてくれるXoXaXoさんのHPをみていたら今年行ったようだ。「まだ行けるのか」と思い直し、藪好きのメンバー数人に声をかけたらあっこさんと峯川さんが同行してくれるという。心強い。旧道の通過に5時間かかるのを見込むと9時には大滝峠に着きたいので前夜発とした。
 八王子を出てから二人は5月合宿の話をしている。場所が当初の白峰南稜から笊が岳に変わり、今日は白毛門~巻機にしようかと話をしている。どうも平日出発が敬遠されて参加者が少ないので4連休でいける所を探っているようだ。白毛門~巻機は行ってみたいコースだ。そうこうしている内に横浜市野外活動センターに着き、屋根付きの場所にテントを張る。
 翌朝6時前にキャンプ場から最短距離で忘路峠に向かう。先週、峯川さんと道祖土さんが下見をしてくれたおかげで迷うことなく尾根に取り付く。沢が入り組んでいるのと、遊歩道があちこちとあるため分かり難いので大いに時間短縮ができた。忘路峠に上がってから間違えて城ヶ尾峠に向かうところだった。逆だと言われて白石峠方面に向かう。方向音痴に陥っていたようだ。直ぐモロクボ沢ノ頭。ここまで1時間足らずで着いてしまい、後600mで畦ヶ丸なので一休みする。畦ヶ丸では避難小屋を覗いて例によってノートを見てみる。去年11月に「初めての小屋泊まりなので厚着をして寝たら暑くて大変だった。」との記録は初々しくて昔が懐かしい。
 小屋を出て大滝峠に向かう。旧自然歩道の入口は先月、屏風岩山の折に確認済み。ヘルメットを着けて藪準備。入口にある東海自然歩道の案内板は、完全に朽ち果てている。入口看板に『大滝峠上より信玄平間は沢多く登山経験者向きのルートです。通行には十分注意して下さい。神奈川県』とある。緊張の思いで×印の木を跨いで入る。まだ7:40、予定より大幅に早いので余裕を持って行けるのは何より良い。
いよいよ旧東海自然歩道へ  出だしはきちんとした道で何ら不安はなさそうだがこのまま続く訳はなく気を引き締めて進む。最初は桟橋が流されてしまったガレ場だが難なく通過。その後は普通の道。
 最初の沢はセギノ沢。枯れているが壊れた道標が何本も散乱して、沢が崩壊している様子がわかる。そのうち全部流されて姿がわからなくなるかも知れない。
 道は尾根を巻き始め、その突端に朽ちた道標。[←城ヶ尾峠・大滝峠→]。まずは第一チェックポイントをクリア。ここは地蔵平からも登って来られる中間尾根交差点で、いつもの癖で上の方に向かいそうになってしまう。ここからのコースは古い段々を降りないといけない。その先も快適な道が続き今のところ何ら問題なし。
セギノ沢中間尾根の朽ちた道標  水晶沢の下りは斜面が崩れて倒木や岩に掴って下る。水晶沢を越えると道は細くなり笹が覆い被るようになる。いよいよ本コースに突入。右手で笹を払いながら進む。古い林班プレートが現れたり、赤テープもありコースミスの心配はない。炭焼き小屋跡だろうか、茶碗やら炭の欠片やら生活の跡が伺われる。
 戸沢で休憩。ちょうど中間地点。ここはちょっと開けていて、水の補給やら洗顔して汗を流す。戸沢からもスズタケはなおも濃くなるばかりで、倒木も絡んで歩みにくい。笹を右手で払い除けているのでだんだん腕が疲れてしまって面倒くさくなり、頭から突っ込む。
 赤沢に降りるコースが不鮮明で適当に沢に降りると、沢を登ってきた釣師だろうか、一人で石に座っているのが見えたので近づくと何時の間にか消えていた。その人につられて下ったせいもあり、対岸に渡る道が見つからずウロウロする。上流に向かってみると目標の標識が現れ正常に帰したことで安心する。「城ヶ尾峠」と示す方向は沢の上流を指しているが、以前は沢沿いに城ヶ尾峠に上がったのだろうか。我々の行く方向は赤テープの見えている西に向かう。ここの標識には「昭和64年建立」とプレートが打ってあるが、昭和64年は数日しかないはずだ。正月の間にでも建てたのだろうか。貴重品ものだ。
 これから先はもう藪が切れて快適だろうと楽観したとたんにまた笹との格闘。もういい加減飽きてうんざりするが次の枝沢まで藪は続く。GPSだともう直ぐ信玄平のようだ。笹が切れた途端に「通行止め」の白くて小さな標識が現れ、4,5m先で城ヶ尾峠からの道と交わって、腐ったベンチが置いてある。
笹の中で道標が不意に現れるとホッとする  旧東海自然歩道は私の1988年エアリアでは赤の実線で、2時間と記されているが、今は実働で4時間かかる。でも道は登山道として作られていたので道型は明瞭だ。廃道になっても物好きは居るようで結構歩かれているようだ。テープ類も豊富にあるし、高低差も無いので藪こぎだけだ(藪もそんなに濃くない)。ただ所々道は崩れて倒木が道を塞ぎ、沢に下りる部分は不明瞭だし、桟橋はほとんど崩壊しており、自然に還りつつある道だけに歩くには覚悟が必要だが。
 城ヶ尾峠へはこんどは一般道を急登する。途中から城ヶ尾山へ直接向かう事に変更し、尾根に入るとここも背丈以上の笹薮で後続が見えなくなる。たびたび後ろから「待って」の声がかかる。縦走路に出ると一転して立派な道になる。城ヶ尾山で一休み。周りが刈られて広くて日当たりが良く、昼寝をしたくなるような雰囲気。ビールを忘れたことを今気づいた。
 大界木山登山口に降りても未だ13時と早い。淡々と林道を活動センターまで戻る。懸案であった崩れていくあの自然歩道を歩けて肩の荷が一つ下りた。もう、訪れることは無いだろう。
 道志の湯で汗と埃を洗い落とし、16:30に八王子で解散した。

崩れた桟橋(至る所がこんな状況)

〈コースタイム〉
活動センター(5:50) → モロクボ沢ノ頭(6:30~6:45) → 畦ヶ丸(7:00~7:15) → 大滝峠(7:30~7:40) → セギノ沢(8:10) → 水晶沢(8:30) → 戸沢(10:15~10:30) → 赤沢(迷う)(11:00) → 信玄平(11:30) → 城ヶ尾山(12:00~12:20) → 活動センター(13:20)


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