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一ノ倉沢・烏帽子沢奥壁・変形チムニー
荻原 健一

山行日 2007年6月3日
メンバー (L)荻原、坪松

 もともとシーズン初めの手ごろな本ちゃんルートとして変チムを考えていたところ、小幡さんが例会で南稜を出してくれたので同じ日程で入山したほうが盛り上がるかな?と思って、この日程に合わせて計画した。前夜一ノ倉沢の駐車場にて小幡パーティーと前夜祭を行い、お互いの健闘を祈り早々に就寝。3:00起床、3:30出発。右岸の巻き道が暗くてよくわからずちょっと早めに入ってしまったので少々藪にハマル。少し行くと雪渓がすぐ出てくるが例年より雪は少ない。雪渓を詰めてテールリッジへ。テールリッジは末端が崩壊したと聞いてから初めての入山だが、どこが崩壊したのか良く分からなかった。気持ち登りづらくなったような気もする。FIXロープは豊富で不安な箇所は特にない。中央稜基部で一休み&ガチャをつける。ここで小幡パーティーに再び会い先に行ってもらう。すぐに変チムの取付に至る。取付はちょっと分かりづらかったが、よく見るとハーケンが2本打ってあり、トポと見合わせて断定する。取付は我々がトップだ。1P目はビレー点までランナウトになるのでちょっと怖くなり真ん中くらいでハーケンを1本打つ。2P目もピン少なく、また濡れまくりなのでいやらしい。3P目は左右にルート分かれトポには左が難しいと書いてあったのに左の残置シュリンゲに吸い込まれかなり苦労してA0しまくりで越える。4P目(トポでは5P目)がいよいよ変チムだ。ここも濡れまくりだが、ピンは打ちまくりでしかもしっかりしていてそれ程不安感はない。トップのツボがチムニーをバック&フットで華麗に突破する。
一ノ倉デビューです!!  ここから少し垂壁を直上して右に20mくらいトラバースで中央カンテと合流。タッチの差で中央カンテのトップPにかわされここからは2番手。ここは浮石だらけで落石大量製造工場のようだ。次もチムニーだが、ここはチムニーの外に体を出すとスムーズに登れる。簡単なピッチを一つ挟んでいよいよ中央カンテの核心。以前来た時はA0で抜けたが結構腕力使うので、今回は持ってきたアブミを使って楽々クリア。先行パーティーはここを抜けるのにだいぶ苦労して30分くらいロスした。核心を抜けた所が有名な4畳半テラス。今は崩壊して半分の広さもないが・・・。ここから3~4ピッチで終了点へ。終了点直前の濡れたルンゼのトラバースは前回にも増して不安定で悪かった。後続のガイドから最終Pの一つ手前で空中懸垂をすると南稜終了点へ降りられるよ、と教わった。だが我々は終了点から5ルンゼの頭を越え、一ノ倉岳、西黒尾根のスペシャルコース?にあくまでこだわるのだ。終了点着は11:30、登攀時間は5時間半でまあまあのペースだ。ロープを畳み少し休んでから5ルンゼの頭を目指す。5ルンゼの頭は浮石多く事故も多発しているので念のためザイルを出す。この先は忘れもしない2年前、吹雪の中ツエルトとシュラフカバー1枚で眠れぬ夜を過ごした一ノ倉尾根のビバーク地点だ。雪がなくてもビバーク地点ははっきり確認できた。漸く一ノ倉岳頂上に到着しオキノ耳、トマノ耳へ。トマノ耳直下から西黒尾根への降り始めはまだ雪がべったりだった。分岐から長い長い巌剛新道を下りマチガ沢経由一ノ倉沢駐車場へ。時計は既に18時を回っていた。

〈コースタイム〉
6/3 駐車場(3:30) → 中央稜基部(5:30) → 変チム取付(6:00) → 終了点(11:30) → 一ノ倉岳(14:00) → 一ノ倉沢駐車場(18:10)


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