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春山合宿
その3 白毛門~巻機山縦走
道祖土 巌

山行日 2007年5月3日~5日
メンバー (L)道祖土、鈴木(章)、成田、峯川

 GWを間近にしてようやく行き先を上越国境の白毛門から巻機山への縦走に決定。メンバーも、ちょうど10年ひと昔毎に各1名の計4名に落ち着きました。
 前夜、10:00上野駅に集合し途中で渋滞したため予定より少し遅れ1:00過ぎに谷川岳ロープウェイ駅に到着しました。GW中であり前夜泊の多くの登山者がいるのかと思いきや、予想外に誰もいなく閑散とした駅の中で、快適な前夜を過ごすことが出来ました。
 翌日は5:00に起床、車は土合駅に駐車し白毛門登山口へ移動、既に数台の車がありましたが、北アルプスのような賑わいはなくかえって静かな山行が期待できました。登り始めてしばらくは、雪もなく心配をしつつも松木沢の頭を過ぎるころからは、快適な春の残雪歩きに変わりジジ岩、ババ岩を通過、ほぼ予定通りに白毛門に到着。山頂からは、これから向かう朝日岳から巻機山への稜線を見渡すことも出来徐々に気分も盛り上がってきます。また、当初登りのコースとして考えていた赤沢山、武能岳へのルートも確認し来春の山行を楽しみに笠ヶ岳へ向け出発。ここからは、このあとずっと一緒になった京都雪稜会の女性3人パーティーと単独の男性のみが縦走に向かい、他の多くの人は、白毛門往復のようでした。笠ヶ岳の到着は、昼近くになり日差しも強くなり、まさに残雪の春山の陽気となりました。ここからは谷川岳東面の岩壁と多くの謂れがある旧国道のルートを見渡すことが出来ました。笠ヶ岳避難小屋は、半分に切ったドラム缶で、灼熱の室内でした。
 順調に、14:00ごろには朝日岳に到着。翌日の行程も考えJPまで行くことも考えていましたがしばらく一服してしまうと、もう億劫になり、ここでテントを張ることにしました。テント内では、いつもと少し様相が異なり入口には、成田さんが座り自ら早々に水作りの準備を開始。どうしたのかなと思っていましたが、いつも通りお酒を飲み始めると案の定、徐々に手元が不安になり、鍋をひっくり返しそうになるや、アッコさんに叱られるのもいつものように「ああ言えばこう言う」という会話は、相変わらずでした。
 翌朝は、長丁場のため3:00に起床。JPまでは、ご来光に照らされながら、目指す巻機山をまだまだはるか前方に見ながら、先ず次のピーク大烏帽子山に。このあたりは、稜線の西側は藪混じり、東側に入ると雪道の繰り返しでアイゼンをつけての藪道は、なかなか手強く、また日差しも強くなり少々疲れ気味で檜倉山に到着しました。
ジャンクションピークからのご来光  山頂には、うっすらと映える池塘があり、来た道を振り返ると彼方になりつつある朝日岳、また前方には目指す巻機山までの稜線をはっきり見渡すことが出来ます。まさに、ここまでの疲れが一気に癒され飽きることのない爽快な気分をいつまでも満喫できる最高の場所でした。ここから鞍部へかなり下り柄沢山への登りが、この日のつらいところでもあり、また緊張感も味わえるところ。東斜面の雪崩跡を恐る恐る覗きながら新田次郎原作の「先導者」の舞台を思いつつ急登を登りきり柄沢山に到着すると、一気に稜線の向こうに巻機山が近づいていました。しばらくゆっくりし米子頭山まで残雪の緩やかな上越国境稜線歩きが続きます。時間次第でテン場にも考えていた1809m付近は通過し米子頭山を確認できるあたりまで来ると、どうもハイ松帯の多い斜面に見えるため、途中の適当な場所をテン場に決めて、ゆっくりすることにし行動終了。
 テントに入ってしまうには、本当にもったいない陽気と平ヶ岳から尾瀬や上州武尊の山並みを一望しながら、楽しみにしていたイチゴゼリーと杏仁豆腐を味わい、更にアッコさん持参の缶詰コンビーフの味を懐かしみながらあっという間の午後のひと時でした。しばらく思い思いに楽しんでいると地図を片手にした成田さんが、丹後山から巻機山への稜線に気づき、その場で来年のGWは、成田さんをリーダーにそのルートと決定。この日は、程よい疲れにも誘われぐっすり眠ることが出来ました。
 翌日も3:00に起床し米子頭山までは、小ピークの藪が続きます。巻機山手前の鞍部には、1時間ほどで到着、ここから巻機山のピークまでは、一見緩やかな登りかと見えましたが、登り始めてみると、雨でも降れば全層雪崩のごとく一気に崩れ落ちてしまいそうな雪庇もあり、なかなか緊張する箇所でもありました
目前の巻機山へ向かって  途中一休みし広い雪原の山頂に到着、牛ヶ岳への分岐まで行き、振り返ればこれまで歩いてきた朝日岳までの稜線が、はるか彼方に見渡せ長い道のりでしたが、ほっとしたひと時でした。時間もあるため牛ヶ岳を往復、越後の山並みを楽しみ引き返すと、思わぬことに丹後山へ続くトレースに単独者の姿を確認、大いに気にしながらも、先を急ぐことにしました。
 巻機山避難小屋は、真新しく建て替えられ木のぬくもりが残る立派な建物、まだ雪に埋もれ2階からの出入りでした。
巻機山避難小屋にて  小屋からは、まだまだ雪が多く夏道であれば、階段状で歩きづらい登山道も、雪道であれば、一気に下り、桜坂の駐車場へ到着。途中、中央温泉で汗を流し、紹介された駅前のほんだや食堂に寄り、六日町駅前のフリーマーケットでぶらぶらし土合経由で帰途に着きました。

〈コースタイム〉
5/3 起床(谷川岳ロープウェイ駅)(5:30) → 白毛門駐車場(6:40) → 白毛門(10:30) → 笠ヶ岳(11:55) → 朝日岳(14:05)
5/4 起床(3:00) → 幕営地(4:45) → JP(5:05) → 大烏帽子山(6:30) → 檜倉山(8:05) → 柄沢山(11:25) → 1809m過ぎ(幕営地)(12:30)
5/5 起床(3:00) → 幕営地(4:45) → 米子頭山(5:15) → 巻機山手前鞍部(5:40) → 巻機山牛ヶ岳分岐往復(7:30~8:30) → 巻機山避難小屋(8:50) → 桜坂駐車場(10:55)

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