トップページ > 岩つばめ一覧 > 岩つばめ324号目次

頸城山塊・放山
さとう あきら

山行日 2007年3月10日~11日
メンバー (L)佐藤、山沢、小堀、小山、田中(恵) 空沢山隊:三澤、福間、深谷、竹内、成田

 頚城(くびき)山域とは通常新潟県西部の、上信越自動車道と北陸自動車道、そして大糸線とに囲まれた地域の山々を云う。盟主は火打山であるが、前衛に妙高山を、また西端には雨飾山を鎮座させる、ミニ秘境といった地域でもある。
 当地の並外れた降雪量は春遅くまで山岳スキーヤーを楽しませてくれる一方、稜線直下から始まるスラブは雪に磨かれ、なだれの危険性を押し上げる。1986年、権現岳から発生した大規模表層なだれが能生(のう)町の部落を襲い、国内では記録的なだれ災害になった。これを契機に山腹に設置された万里の長城のようななだれ防止柵の巨大さには、ただただ、驚くばかりである。
権現岳のなだれ防止柵は巨大だ(2006年夏)  3月9日、午後9時に都内に集合し、長野道を経て妙高SAにテントを設営する。今回は笹倉温泉から空沢山を目指すという5名パーティも一緒の幕営で、合計10名もの大人数だ。従い前夜祭もつい盛り上がり、空が白みかける午前4時の就寝となった。
 行動時間の長い空沢山隊を先発させ、我々は8時にSA発。途中能生町の道の駅でベニズワイガニを人数分仕入れ、シャルマン火打スキー場へ。リフトのトップからの滑り出し10時半。少し下った無雪期は沼となる雪原でシールを装着し、放山を目指す。
権現岳をバックに放山に登る  ここは登りの少ない初心者用ルートに加え、好天に恵まれたためか、山頂へのトレースは一級国道なみにしっかりついている。美しいぶな林の中を登高し、権現岳の大岩壁が見えるようになるともう頂上だ。わずか1時間の登りだなんて、中高年登山隊にとってはうれしい限りなのだ。頂上にはガイドに連れられたスキー、スノボの10名ほどのグループが、なにやら安全登山の説明を受けているようだ。一方こちらは放山定番のカニ。ちょっぴり見せびらかしながらガブリ。安物でミソの入りはあまり良くはなかったが、大展望と優越感そしてちょっぴりのアルコールがさらに味を引き立たせたのだった。
放山頂上では、カニは定番だ  12時半頂上を後にし、空沢山方向に稜線を30分ほど進むと笹倉温泉への下降点だ。例年とは全く違い、滑り出しから大きく顔を出したブッシュ帯が行く手を阻む。しかも重い湿雪だ。スキー技術に長けたお嬢連中は軽快に下って行くが、おっさん連中はヨロヨロしながら後を追う。杉林の中を枝に引っかかりながらも14時、やっと林道に出る事ができ、14時半、スキーをガリガリ言わせながら、笹倉温泉到着。悪コンデションの中、お疲れ様でした。
焼山を目指し稜線を進む  一方の空沢山隊は、わずか10分ほど前にここに帰着したとの事。少雪で沢の渡渉が出来ず、やむなく途中敗退となったようだ。我々にも増してお疲れの様子である。皆さんご苦労様でした。
 M氏の送迎でシャルマンスキー場に残置した車を回収し、今宵は新井SA泊。夜間は大荒れの天気だったが、芝生にしっかり設営したテントは嵐に耐え、風にはためくフライの音を除けば快適な一夜だった。
 翌日は妙高山の藤巻尾根を滑る予定していたが、雨が降り止まなかったため中止に。代わりに馬曲(まぐせ)温泉を訪問し、絶景で知られる望郷の湯に入浴した。あいにく悪天のため景色はまったく見えず残念だった。
 その後、TY氏お勧めのそば屋、東御市の蔵の坊にて舌つづみを打ち、早い時間の帰京となった。

晴れれば大展望の馬曲温泉望郷の湯

トップページ > 岩つばめ一覧 > 岩つばめ324号目次