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越沢バットレス
坪松 聖幸

山行日 2007年4月8日
メンバー (L)坪松、安齋、大田

 久しぶりの越沢バットレスである。今回は、自分がリーダーと言う事で少し不安もあるが、絶対に落ちないように登ろうと心に決め、集合場所の鳩ノ巣駅に向かう。いつもは、ほとんどセカンドで登っていたので、トップで登るのはやはりプレッシャーになるが、このままではいつまでたっても自分自身が成長しないので、今日は成果を残したいと思う。
 いつものように朝8時半に鳩ノ巣駅に集合して山道を歩きバットレスに向かう。岩場には何組か取り付いており、自分たちも早速登はん準備をする。ルート図を見て左ルートの下部に取り付く。最初の登り始めは、身体が岩に慣れていないせいか何だかぎこちなくてとても緊張する。初めてここを登ったときセカンドであったが落ちた事を覚えている。あの時は、ただがむしゃらに何も考えずに登っていたが、今回は、ホールド、スタンスを良く探しながら登り木の所まで言ってビレイ点を作り、セルフビレイを取ってセカンドを確保する。ここまでは、自分のイメージ通りにうまく、素早くできている。引き続いて安齋さん、大田さんも苦も無く登ってくる。
 2ピッチ目、左ルートを忠実に辿り、登っていくが、クラックより広い岩の割れ目があり、そこに右腕をくの字に曲げて、腕を決めるが、どうも信用出来ない。無理に行って失敗するよりはと思い、A0で身体を引き上げてクラックに膝を突っ込んで強引に上がる。その上の松の所にガバがあると安齋さんにアドバイスをもらい、ガバを掴んでそこを突破する。もっと軽やかに登れないかなと考えたが、まだまだ練習不足である。これでザックを背負って登っていたらもっと苦労していただろう。二人が登り終え、下のテラスまで下降し、第2スラブルートを登る事にする。上を見上げるとスラブの所が見えて緊張する。スラブは、掴めるホールドがなくて靴のフリクションを利用するけど自分は、どうもこれが苦手。いまいちスメアリングが信用できないので、ホールドが掴めるところがいい。そうは言っても苦手意識を克服しなければ練習の意味が無いので、スラブを目指して行ったのだが、右にトラバースしてスラブを登らずに少しかぶっている所をいく。ここも怖かったが、A0を使いながら、上へ上へと向かっていく。高度感があり、そのプレッシャーで変な汗が出てくる。トップで行くのは、やっぱり怖い。でも、行くしかないと思い、上部へ向かう。無事登り終えた時は、とてもほっとした。でも、ここで油断しては行けない。次は、懸垂下降だ。支点を確認しロープをセットして下降する。なるべく支点に負担を掛けないように降りたいが、ブレーキ掛けまくりで、下に降りる。その後は、クライムダウンして、少し休憩。充実感もあるが、緊張して少し疲れた。
 次は、一般ルートに取り付き、ハングしている所を登る。かぶってはいるがしっかりとしたホールドとスタンスがあり、冷静に越える事が出来た。天狗の肩でビレーするがここでハプニングが発生。大田さんが、ハングしている所を越えられずに止まってしまった。ATCガイドにシュリンゲを掛けてロープを出そうとするが、なかなかうまく行かない。安齋さんに登ってきてもらいエイト環で確保して、大田さんを降ろして事無きを得たが、もしこれが本チャンで、二人で登っていたならばえらい事になっていただろう。大田さんも登り返そうとしたそうだが、うまく行かなかったそうだ。こういう事ももっと練習しなければ駄目だと思った。この日は、ここで練習を終了して駅に向かう。
 いつもの蕎麦屋で蕎麦を食べ、一杯飲むが、今日は投票日なので、自分の方は早めに切り上げて電車に乗る。電車に乗りながら考えた事は、A0で無くてなるべくフリーで登れるようなりたいと思った事と、不測事態に陥った時にどんな行動が取れるかと言う事だ。落ちないように登る為には、クライミング能力を上げる事がとても大切な事だと思うし、今回のような事にもしっかりと冷静な対応を取らなければいけない。自分の勉強不足と実力不足を反省しつつ、投票所へと向かった。


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