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火戸尻山~鳴虫山
内山 弥生

山行日 2007年3月31日
メンバー (L)鈴木(章)、山沢、田中(恵)、平、大田、内山、(森田夫妻)

 2006年度最後の例会は、日光の火戸尻(ほどしり)山の南東尾根の末端から取り付き、鳴虫(なきむし)山からは北東へのびる尾根のこれまた末端の急降下まで、尾根をたどり登って降りては登って下る、充実の地図読み山行。3月末なのにさすがに日光、鳴虫山への最後の登りはあられと雪が迎えてくれた。降りてからはまた日光温泉の銭湯まで歩く、全行程7時間、「静かな、静かな尾根」の、ちょっとにぎやかな山旅だった。

 朝は新鹿沼駅8時17分の小来川(おころがわ)森崎行きのバスで終点まで。途中まで我々の貸しきり状態。運転手さんが山好きな方で、車窓からみえる山の解説つき。(今市からのバスもあるのだが、時間が早くて浅草を朝早く発っても間に合わない。)終点で運転手さんと地元の方に、とりつきの八坂神社の場所をたずねたが、教えてくださったのは2キロほど先の大きな神社。実際の取り付きは小来川の学校前から東西に伸びる細い舗装道路に面した石段をあがって、小さなお堂の裏手から。『静かなる尾根歩き』(松浦 隆康 著)の記述にあるように、石段の下に小川があったのでこれはすぐに見つけられた。
 尾根の立ち上がりから取り付くというのは、距離は長くなってもなかなか魅力的、ではあるのだが、最初からけっこうな急登。途中で石仏にごあいさつして、北へ向かうとアンテナを見てから北西へ。564メートルのピークでまた北へ方向を変えるのだが、このあたり、2万5千分の一の地形図の継ぎ目にあたり、出だしから現在地がちょっと不安。
 なにしろ他の方が速いので、こちらはなかなか地図を見る余裕がない。この2、3日、通勤途中で繰り返し2万5千図をながめていた記憶をたよりに、ときどき方角をあわせたコンパスをとりだして確認しながら歩く。(でも、後半は皆を追うだけで精一杯で、地図を見る余裕がなくなった。Sigh.)
 675メートルのピークでまた西に進路を変える。ここで先頭の方がかなり左よりにトラバースしながら降りていったが、これは右手の急降下をさけるため。さすが。登り返してから北西へ。
 東側の林道から上がってくる道と出合うあたりからは踏み跡がだいぶはっきりしてくる。こちらから登る人が多いのだろう。だんだん露岩まじりの道になると山頂も近い。
 火戸尻山(851.6メートル)まで、ちょうど3時間。山頂は風が強くて寒い。山頂をちょっとはずして昼食。手作りの山名板がいくつもかかっており、その前で記念撮影。
火戸尻山の山名板の前で  山頂からは北へ緩やかに下る。広い尾根って大好き。でもこの先、919メートル峰への登り始めがとっても急登。立ち木につかまりながらなんとか登っていく。はじめから遅れ気味だったのが、このあたりからはぐん!と遅れた。いつものことながら、途中で待っていてくださった皆様、ありがとうございます。
 傾斜がゆるむあたりから雨が落ちてきた。リーダーは余裕で傘をさして歩く。こちらはしっかり雨具を着るが、かなり寒い。
 鳴虫山へはほぼ北へ尾根をたどる。踏み跡はかなりはっきりしていた。(でも、ときどき傾斜のラクな方へむかって踏み跡をはずしてしまう。)
 最後はまた急な登り。1,000メートルを超えるあたりから、あられ。まもなくボタン雪。見覚えのある細長い山頂には横にはられたロープを乗り越えてたどりつく。ロープの内側の看板には「この先危険。立ち入り禁止」、とあった。でも、私たち、そっちから来たんですけど。。。
 小来川で尾根に取り付いてからちょうど5時間、2時20分着。
 昨年5月にひとりで一般登山道を登ってきたときは人、人、人だった山頂も、雪の中、だれもいない。そういえばこの山行中、ひとりも他の人に出会わなかった。カタクリやアカヤシオもまだずっと先、の少しさびしい山頂(1103.5メートル)。
鳴虫山はボタン雪  展望台の下の空間にもぐりこんで、雪をさけながら休憩。リーダーのグレープフルーツ、おいしかったです。ごちそうさま。自分の知っている領域に入って、ちょっとほっとする。ここまで長い尾根をたどってきたことがうれしくて、なんとなくにこにこしてしまう。
 さて、いよいよ最後の下りになると若者もベテランも、解き放たれたかのように速やかに駆け降りていく。膝の故障から「復活!」(よかったですね)の山沢さんもすぐに見えなくなった。その速いこと。どうしてこんなに木の根がたくさんの道を軽がると行けるのでしょ?こちらもがんばって、神主(こうのす)山でやっと合流。そのまま少し先行させてもらったが、またすぐに追い抜かれた。
 分岐までくると、左へ「日光市街まで0.6キロ」の道標。以前来たときはこちらを登ってきた記憶がある。ここを降りれば登山口から街中を少し歩いて駅にでるはず。でも、あっこさんの指示は「まっすぐ。」
 「え、まっすぐ?」「いいの、まっすぐ。」
 そうですよね・・・。あっこさんの山で、一般道から降りるなんて、ありえないですよね・・・。と思いつつ、まっすぐ行く。はじめのうちよく踏まれていた道がだんだん消えてきて、鉄塔の右横をかすめるころから急降下がはじまる。厚く積もった落ち葉でまぁ、よくすべること。どんどん降りていくと、そのうちもう、駅が見えてきた。尾根の末端はすべったら下まで行くかなあ、と思うような急坂。怖かったがうしろのあっこさんに「叱咤激励」されつつ、冷や汗いっぱいで駅のすぐそばの道路に降り立った。はぁ・・・。
 尾根はそこで終わりでも、道は続く。東武日光駅を越え、JR日光駅を越え、線路を橋で越え、住宅街をワンちゃんに吠え立てられながら20分以上歩いて、ようやくお風呂に到着。ちょっと遠かったけど、とってもいいお湯でした。400円でぽかぽか。お疲れさま。
 帰り道、お風呂の近くでおいしいお蕎麦をいただき、ビールで乾杯。最後は春雷がどーん!と見送ってくれる中、駅へ向かう。


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