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救助訓練・丹沢
荻原 健一
山行日 2007年6月16日~17日
メンバー (L)荻原、大田、佐藤、森田夫妻、金指、福間、小堀、小幡、山崎、平、安齋、三澤、道祖土、勝部、深谷、原口、別所、竹内、前野、石川、紺野、金子

(6/16)
 ここ数年救助訓練のお宿は丹沢・大倉のスポーツセンターにしている。素泊まり1泊3,000円とリーズナブルでシャワー有、炊事場・食器有、布団有(当たり前か?)と我々山屋にとっては至れり尽せりなので一度利用するとはまってしまうのである。初日はここに12時集合として、食堂外の木のテラスみたいなところで、三角巾(福間講師)・テーピング(小堀講師)等の救急法、負傷人の搬出法(小堀講師)等を行った。
 その後に今回は墜落加重体験用にどでかいタイヤと人工壁の側壁を借りたので、1人2~3回づつタイヤを落としてビレーの訓練というかトップが墜落した際の衝撃がどんなものかという体験をしてもらった。タイヤの上げ下げはどうするのかと思っていたが、ウインチを使うので効率的で楽チンだった。ロープを若干緩ませてタイヤを落とすだけで、私の体でも簡単にふっとばされる衝撃がありなかなか良く出来ている。実際にランナウトしてトップが10mも落ちれば今回以上の衝撃がかかるはずで、ビレーの際のセルフビレイ(信用できない場合は時間がかかっても補強が必要)、グローブ(火傷防止)の大切さを改めて認識する良いきっかけとなったと思う。
 訓練終了後は原口シェフをお迎えし、サイコーのおつまみとサイコーのアルコールでみなさん昇天。食堂外の木のテラスは虫もいないし、星も見えるし、寝っころがれるしとても気持ちの良いところだった。

(6/17)  7時頃三々五々に起床。あくびしながら食堂に降りていくと、原口シェフが既に朝食&昼食までも作っているところだった。いつも本当に有難うございます。予定の8時を30分くらい遅れてスポーツセンターを出発しモミソ沢へ向かう。歩行1時間くらいで到着。懸垂岩で岩場のセルフレスキュー(主にロープワーク)を行う。人数も多く初心者も結構いたので、事故が起きた場合に、まず怪我をしていない方が無事にその場を脱出して救助を呼びにいけるロープ技術を中心に行った。
モミソ沢懸垂岩にて  また昨今主流を占めるセカンドビレイ時の確保機(ATCガイド、ジジ、ルベルソ等)でロックがかかった場合の解除の仕方及び降ろし方を体験してもらった。特に解除後の墜落事故は私も含めてあちこちで結構聞くので、マルチでリードを行う者は最低限の技術として取得及び実際の体験をして頂きたい。講習は3時頃で終了として、大倉まで歩いて戻りバスに乗って渋沢へ。ここで、いろは組と帰宅組に分かれて解散となった。

(講習を終えて)
 救助講習は当会では年に一度のみ、参加者のレベルもさまざまで決して参加者全員が納得できる内容ではないと思います。今回で言えば搬出法は1時間にも満たない時間しか割いていませんが、例えば当会で最も山行本数の多い沢で負傷者が出た場合の実際の搬出経験はやはり大事であると思っています。三角巾なども繰り返しやらないと実際事故が起きた場合に迅速で正確な手当ては出来ないでしょう。この講習会の最低限の目的は、各自が救助や山での事故について考えるきっかけであれば良いと考えています。事故が起きた場合の大変さを認識して、まずは事故の予防に最善を尽くすこと、それでも事故が起こってしまった場合の対処の仕方をリーダーのみならず全会員が常に念頭において山で行動する。
 救助技術においても本人の意識さえあれば、会以外でもいくらでも習得・向上できる場はありますので積極的に自分で考え行動して頂きたいと思います。それを会に還元できれば尚良いと思います。まずは事故を起こさないこと、万一起きてしまっても各人の技術及びチームワークで迅速に対応できる、そういう意味での一流の会を目指して日々努力して行きましょう。


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