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つづら岩
小幡 信義

山行日 2007年5月12日~13日
メンバー (L)小幡、大田、13日:佐藤、別所、鈴木(章)、内藤

 一ノ倉沢・南稜に備えての練習で計画しました。つづら岩は、馬頭刈尾根の稜線上にある岩場で、主に東面と南面がフリークライミングのエリアとなっております。南面は高さ40m、幅60mでフリー、人工の様々なルートがあり、南向きの明るさと、眺めのよさから人気のあるエリアであります。
 武蔵五日市9時集合、バス停の前は長蛇の列である。いったい何処へ行くのか? ザックを背負っていないのでハイキングでもないだろう。見所のある観光地でもあるのか?そうこうしているうちに上養沢行きのバスにぞろぞろ乗り込む。満杯になると臨時便も来てサッサと行ってしまった。残った人達はハイカー数名と私達だけとなる。何か気になる一時でした。
 藤倉行き9時27分発に乗り、千足で下車、岩場までの道程は約1時間30分、千足沢沿いに登山道をつめて行く。途中天幕場が2ヶ所あるがテント禁止のプレートが掛けられている。村落で沢の水を飲料水として使用するためとある。天狗岩を過ぎ、不動滝で小休憩、水を2L補給し小尾根上の最後の急登を頑張ると稜線上のつづら岩基部に出る。パーティーが多いと掛け声や、ガチャ類の音が響くが、今日は静かである。
 大田さんとの岩登りは、広沢寺、幕岩と今回のつづらで3回目である。まずは東面の右フェースで練習、出だしは比較的傾斜がきついが、ホールドが豊富なので登下降をくり返しバランス感覚をつかむには丁度良い。1回登り懸垂で降りる。特に問題がなかったため左フェースのマッターホルン状岩峰へと移る。中央部のルートは取付のハング乗越しレッジへのマントリングによる立ち込みが難しい。私がリードするも自信がなく、ここはA0にして登る。その上はスラブとなり傾斜はゆるいが、ホールドが細いためバランスクライミングの練習に良い。終了点で確保し、大田さんの出だしを拝見、右・左へとルートを取り、かなり苦労している。しかし左ルートをフリーで登って来たとのこと。2本目は同じルートを大田さんリードでやっていただく。1本目のランナーを取り、2本目をクリップするまでは気が抜けない。ここで落ちたらグランドフォールとなってしまう。過去に同じ場所で落ち、足首を捻挫させてしまい、負んぶして搬送した苦い経験がある。「ここは、うまく登ってくれ!」と願っていたが、落ちてしまった。落下に備えて両手で受け止めていたが、ワンクッションして足場脇のブッシュで止まる。運良く打撲で済んだ。この後、どのように登っていったか思い出せないが、再トライしリードで登ってしまった。
 その後練習場所を南面へと移る。もう時刻も午後3時頃となり、岩に取り付いているパーティーも2パーティーのみ、一般ルート50m、グレードIV級を本日の締めとして登る。私がまずリードして中央ハング上のテラスでピッチを切る。2ピッチ目は大田さんにやっていただく。左上する急なフレークを終了点の枯木をめざして登る。2本目のランナーを取った後、バランスを崩し落下、ここは垂壁で落下距離も短いためダメージなし。トップを交替し終了点へ。上で大田さんの知人と会う。明日は越沢バットレスで練習するとのことだ。最後に40mの懸垂で本日の練習終了とする。
 2日目、鳥のさえずりで目覚める。ゆっくり朝飯をとっていると早くも下から賑やかな声がする。岩場の入口にテントを張っていたため「これは早く撤収しなければ!」と焦ったが、通り過ぎて行った。ハイカーかな?
 7時より岩に取り付く。1本目は50m、グレードIV級、左上するクラックから、ボロハング上のテラスまで、ホールドの豊富なフェースを登る。終了点から懸垂の準備をしている時間になると、かなりのパーティーが岩に取り付いているし、またこれから登ろうとして順番待ちをしているようだ。「いやー、今日は混むぞー!」と考えながら2本目のルート南面の一番右端に位置する20m、グレードIV級へ取り付く。ジュードル内の外傾ホールドにクラックをジャミングでバンド上へ抜ける。上部フェースはホールドも豊富だが、過去に落下し足首が180°曲がった負傷者を見たときは驚いた。とにかく慎重に登ることだ。終了点でビレーしていると「モトー!!」の声、後発隊の佐藤氏、鈴木さんが来たようだ。下に降りてみると別所さんに内藤さんと人数が増えている。ありがたいことだ。
 まずは東面の岩場でと移るが、左右の岩はスダレ状のロープだ。若い男女合わせ12~13人の大所帯だ。大学生のワンゲルのように見える。足回りも登山靴でトライしている。仕方ないので対面の10m程の岩場にトップロープをセットし、交替で登下降をくり返す。下で観察していて、内藤さんのバランスの良さが目に留まる。こんな所での練習では満足できないだろうと思い2人で南面に向う。殆どのルートが塞がっていたが、三段ハングルート、40m、グレードV級に取り付く。左壁がかぶったジェードルからハングを越えるのであるが、私には右足の一歩が立ち込めず、2~3回トライするも自信なくA0で乗っ越す。その上はフレークをレイバックで登るのであるが、ハング上のテラスが混雑のため、松の木を支点にピッチを切る。内藤さんはフリーで登りきれたらしい。「すごいもんだ!」ここでトップを交替する。直登は避け、トラバースして南面の一番右端のルートを登りきって行く。佐藤氏も右端のルートを果敢にトライしているようだ。終了してから一服。その後3人は内藤さんリードで大田さん佐藤氏でオケラルート。35m、グレードIII級へ行く。
 後発隊はもう少し登りたいようであったが、帰りの千足バス時刻、午後3時05分と決めていたため、そろそろ下山の準備に取り掛かる。鈴木さんと別所さんは、馬頭刈尾根から枝尾根へ降りるとのことで別れる。残りの4名はまた来た道を下る。
 いつもは少人数の岩トレでありましたが、今回は6名も参加していただきありがとうございます。つづら岩は岩登りをやってもやらなくても、馬頭刈尾根を下っていけばハイキングとしても選べるコースなので、私の好きな山でもあります。

〈コースタイム〉
武蔵五日市(9:27) → (バス460円) → 千足(9:55) → つづら岩(11:55)


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