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ウトウの頭(上段歩道~四間小屋尾根)
峯川 正行

山行日 2007年3月24日
メンバー (L)峯川、小堀、成田、山崎、福間、舘田、前野、内藤

 昨年11月に喜右衛門尾根から旧小川谷林道上段歩道を巡って日原に戻る予定だったのですが、四間小屋尾根にとりついてもなかなか上段歩道の取付が見つからず、そのまま単調な小川谷林道を歩くこととなりました。後になって調べてみると、どうももっと登った先の鞍部に上段歩道の取付があったらしいのです。見つけられず悶々とした気持ちで小川谷林道を下っている際に、やはりこの上段歩道はセオリー通りに東日原より巡るべきと考え、今回ウトウの頭を交えたタワ尾根周遊コースと相成りました。
 奥多摩駅に成田さんと私の車2台をつけて、そのまま一石山神社先に車を停めます。落石防止のフェンスが切れた人形尾根取付へは数分です。通常、東日原までバスで向かいそこから取付まで歩くとかなり時間を要してしまい、時間短縮の為にこの措置となりました。取付から電光形にどんどん高度を稼ぎ、近い将来巡るであろう下段歩道の通せんぼを見やり、人形尾根に乗ります。しばらく登って行くと立派に石組された上段歩道の入口がありました。高度は約850mで、このまま尾根を詰めるとタワ尾根のだだっ広い人形山となるはずです。かなり水道局の補修がされているのか、出だしはかなりしっかりして遊歩道の様相です。
 実際は水平路ではなく、微妙に高度を上げています。いくつかある沢筋には桟道がかかり、全く危険な場所はありません。以前、材木小屋尾根までの上段歩道は歩いていて、そこまでは問題なく道が延びていたのは覚えています。
途中、金袋山に向かう巡視路がありました。かなり道はしっかりしているようで、多分この道は金袋山直下でタワ尾根と交差して、孫惣谷方向への巡視路として伸びているはずです。
 途中一本を入れた所から材木小屋尾根らしき尾根が見えました。どうも予定より早めに取付から1時間半くらいで材木小屋尾根に取付けそうです。この下方に下段歩道が通っていて、歩きながら下ばかり見ていたのですがどうも目に入りませんでした。
 いくつか尾根を乗越して少しずつ高度を稼いでいき、林班界標「24/25」のある標高1178m付近の台地状の所で材木小屋尾根に到着です。見覚えのある鍋が逆さまになって切り株に置いてありますが、底が抜けてしまっているので今度新しい鍋でも持ってきた方がいいかもしれません。この材木小屋尾根を詰めていくと篶坂ノ丸に出ます。このルートは自然林が豊富で紅葉の時期には最高のルートとなります。
ここからの上段歩道は未踏部分となります。一応気を引き締めて向かいます。
 しばらく進むと水音が聞こえてきて鳥居谷左俣です。ここは水流があり、なんとも苔が綺麗な所で侘びさびの枯山水の世界のようで、野点を行いたくなる場所です。
枯山水の世界の鳥居谷左俣  この先の小さな尾根にはこのルートの開拓にでも使ったのか、ピッケルが地面に埋まっています。この尾根は「ピッケル尾根(仮称)」と名付けました。その先は鳥居谷右俣ですが、こちらは涸沢で左岸斜面の角度はかなり急であり、かなり道は土砂に埋まっています。地形図で見ていても、この部分の間隔が詰まっていたので崩壊しているならこの部分であろうとは思っていました。土が新雪のようなので、足が土に飲み込まれながら通過します。この日はスパッツをつけていなかったので靴の中に土が入ってきます。ここまでの上段歩道の中で、このエリアが一番荒れていましたが、問題なく通行可能です。
鳥居谷右俣左岸の崩壊地点  沢沿いから離れるとしっかりとした道となり、1180m付近から1388m台地からの支尾根([25/26]林班界標)に到着です。本来は四間小屋尾根にぶつかる所まで行き、昨年11月に見つけられなかった上段歩道の取付を見ておきたかったのですが、時間の関係で割愛させて頂き、この支尾根([25/26]林班界標)から四間小屋尾根上の1388m台地を目指して登る事としました。この尾根はスズタケもかなり枯れてしまい、藪がほとんど無い快適な尾根ですが、動物の糞も多くやけに獣臭がします。最後に1388m台地への登りは少し急登をこなします。
 12時15分には1388m台地にたどり着きます。なんとも美しいブナ林であり、新緑の頃は幕営してしまいたくなるかもしれません。しばしまったり休憩です。成田さんは前回見つけられなかった上段歩道取付が気になっているようで、ちょっと下まで偵察に行っていました。まあ、また今度のんびり来た際に確認したいと思います。
心休まる四間小屋尾根上1388m台地  後ろ髪を引かれながらウトウの頭に向かいます。踏み後はしっかりしていますが、倒木が多く散在し、雪が少ない今年でも北面なので雪がまだ残っていました。ということは例年のこの時期では軽アイゼンは必須のようです。かなり急斜面なので気をつけながら登っていきます。このルートを下る際は転がりながら下る感じかもしれません。途中、とんでもない大きさのサルの腰掛けがあって、山崎さんが本当に腰掛けてみましたがびくともしませんでした!
 13時過ぎに見覚えのあるウトウの頭に到着です。このウトウの頭を有名にした、善知鳥(ウトウ)の絵が描かれた山名板も汚れることなく綺麗に掛かっていました。おそらく設置人が毎年ペンキを持参して補修しているのでしょう。なんとも微笑ましい限りです。
ウトウ山名板を前に記念撮影  そして目を回すとなにか真新しい山名板がありました。2年前に来た際にはなかったのですが、「NWV」と書いてあり、N大ワンダーフォーゲル部でしょうか?彫ってあり、かなりしっかりした山名板でこれも名物になりそうです。しばしまったりして、今度は一般ルートで篶坂ノ丸に向かいます。どんよりとした天気ですが、なんとか天気も持ちこたえてくれました。篶坂ノ丸にも例の「NWV」の立派な山名板がありました。
 ここからはタワ尾根からはずれ、進路を南方向にずらして、初見のオロセ尾根となります。タワ尾根のエスケープルートとして歩かれているようです。確かに一気に孫惣谷林道に降りていく感じです。出だしは、かなり尾根が広く下る際はかなり気を使います。黄色テープがあったので迷うことなくそれに従って下りていくと、オロセ尾根に乗ったようです。どうも出だしは支尾根が点在しています。しばらく行くとかなりしっかりと踏まれた水平路にぶつかります。標高は1200m付近となります。おそらくこの道は上段歩道の出だしにあった金袋山直下にでる水源巡視路のようです。この水平路を左に行けば、またタワ尾根に乗ることができます。右側へ行くと孫惣谷方面の巡視路のはずです。踏み後を少し進むと、よくこの界隈で見かける火気注意看板ですが、このデザインはみな同じなのですが、この場所の道筋にぴったりだなあと驚いてしまいました。指導標として設置されたわけでもないのに指導標にさせられてしまったようです。でも助かります~。今度は「御供所」方面にも行ってみたいと思います。まだまだ懐が大きいタワ尾根にはお世話になりそうです。
木に飲み込まれている火気注意指導標  ここからは尾根を一気に下降しますが、最後は植林帯を電光形に下っていきますが、登りでは飽きてしまうなあと。やはり下山ルートとして使うべきです。なんやかんやで予定通りに15時に孫惣谷林道へ降り立ちました。丁寧にも梯子がかけられ取付としてもよくわかります。ここから車の回収はのんびり日原林道を歩いていきます。茶花に使えそうなお花がたくさんあって飽きることなく東日原に戻り、奥多摩駅ではいつものように蕎麦を食して、駅前で朝もいた猫様に挨拶をして帰京となりました。
 今回はタワ尾根を巡る巡視路の「初級編」だったという感じです。今後はいくつもある巡視路を巡ってみたいと思います。最近、タワ尾根はすっかり人気の尾根になり、赤線がひかれるのも時間の問題でしょうか。

〈コースタイム〉
3月24日
人形尾根取付(9:28) → 下段歩道入口(9:34) → 上段歩道入口(9:45~9:55) → 金袋山巡視路入口(10:13) → 材木小屋尾根(11:05~11:10) → 鳥居谷左俣(11:25) → 鳥居谷右俣(11:35) → 1388台地支尾根(11:45) → 1388m台地(12:15~12:30) → ウトウの頭(13:05~13:20) → 篶坂ノ丸(13:50~14:00) → 巡視路(14:25) → 孫惣谷林道(15:00)


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