トップページ > 岩つばめ一覧 > 岩つばめ325号目次

谷川岳馬蹄縦走
大田 雅子

山行日 2007年9月29日~30日
メンバー (L)平、福間、大田

 「谷川馬蹄に行きませんか?色づいた谷川の稜線はめちゃめちゃカッコイイですよ!」と平さんからお誘いメールが届いた。猛々しい谷川の縦走なんて私にはレベル高いのでは?と思いつつ、「カッコイイ谷川」を見に行きたいと3分悩んで参加することにした。
 9/28---夜、水上まで電車を乗り継ぎ、仮眠場所の土合駅までタクシーで向かう。
 9/29---朝の天気は曇り。まずは白毛門を目指す。「正直、白毛門までの登りはきつい!」と前もって聞いていた急登。平さん、福間さん、大田の順にゆっくり登り始める。休みなく登りが続くが、ちょうど良い具合に木の根や岩が足場となって歩きにくくはない。前を歩く福間さんの足取りは無駄・無理がなく、後ろを歩くのがとても楽だ。
 休憩を挟みながら確実に登り続け、途中目印となるジジ岩、ババ岩で写真を撮ったりしていると、白毛門に着いた。ここからは明るい尾根道を細かく上り下りしながら笠ガ岳、そして朝日岳へと登って行く。朝日岳に着く頃には日差しも出て来て霧が切れ、向かいの武能岳や茂倉岳の姿も見え、気分の良い休憩となった。
 朝日岳から宝川温泉方面への分岐までの下りは湿地帯で黄金色の草原が広がり、福間さんは思わずハイジのように駆け下りて行った。私にとって、この分岐からジャンクションピークまでは、今夏、ナルミズ沢の帰りに通ったところで道が思いがけず繋がった。
 その後も馬蹄の内側は谷が深いため、霧が溜まりやすく、ほとんどは霧に隠れていた。それでも時折晴れる瞬間には荘厳な姿を見せ、その度に皆で立ち止まって見入った。この辺りからカーブして向かいに本日のテント場・清水峠の監視所が見え、池塘群を過ぎると、早々に清水峠に到着した。
 1日目は思ったより早い時間に着くことができ、ホッとひと安心。避難小屋には既に先客があり、途中追い越したパーティもここを目指しているようだったので、やや離れた監視所を風よけにテントを張り、水を汲みに行ったり、酒盛りをしながらのんびり過ごして6時半には就寝した。
 9/30---夜中、テントが飛びそうなすごい風に、寝たり起きたりしていたら4時の起床となった。外はまだ暗くビュービューと風の吹き抜ける中、この日もスタート。夜が明けても曇り空で、七ツ小屋山で一瞬谷川の全景が姿を現したが、天気はすっかり下り坂だ。
 蓬峠のかわいいヒュッテを過ぎ武能岳へ。ここから笹平は低木地帯で、前方にがっしりと見える茂倉岳や一ノ倉岳を目指して、赤く染まった尾根道を下る。
 笹平を過ぎる頃ついに雨が降り出し、馬蹄最高峰の茂倉岳を越え、一ノ倉岳に着く頃には本降りになり、ドラム缶避難小屋で休憩をとる。
 この辺りからは人の数も増えて来た。一ノ倉岳から岩稜を歩き、谷川岳山頂に到着。雨にも拘わらず大勢の人がいて、今朝までの静かな山とはうって変わって、すっかりにぎやかな山になっていた。
 こうなると雨だし長居は無用とさっさと天神尾根を下り始める。
茂倉岳へ  ここから三峰の本領、福間さんのギアチェンジが始まる。下る人も列をなしており、平さんがその後ろで順番待ちをしていると、福間さんの早く下りたい圧力が背中にビシビシきたらしく、先頭を交代。前の集団が道を空けた途端、ガンガン下り始める。これに平さんが続き、私も引き離され過ぎないように必死で後を追った。
 熊穴沢避難小屋で最後の休憩をとり、2時にはロープウェイ乗り場に到着、無事終了となった。
 福間さんとは救助訓練の時初めてご一緒し、しかし次の日二日酔いで先に帰ってしまわれたので、ほとんど話をすることなく、今回が初めての山行となった。1回の山行で全てが分かるはずはないが、話をいろいろ聞いていると、山に対する姿勢は情熱的でありながら大らかで、やはりただの酔っぱらいではなかった。視野広く状況判断をしている様子はとても頼もしく、私にあの余裕で山を楽しむことができるのはいつのことだろう・・・と羨ましく思った。
 また近いうちに一緒に行きたいなぁと思っていた矢先、急に東京を離れることを知り、とても残念だ。
 自らリーダーで思い入れ深い山行を征した平さんが本当はこの原稿を書くつもりでいただろうに、「涙で書けない?」ということで、私が代わりに書くことになった。
 しかし、どうやら機会がゼロになるということではないらしいので、またいつの日か、ご一緒出来る日を楽しみにすることにした。

〈コースタイム〉
9/29 登山口(05:30) → 白毛門(09:00) → 笠ガ岳(10:00) → 朝日岳(11:20) → 清水峠(14:00)
9/30 清水峠(05:00) → 七ツ小屋山山頂(06:00) → 蓬峠(07:00) → 武能岳(08:00) → 茂倉岳(10:10) → 谷川岳(11:40) → ロープウェイ乗場(14:00)

トップページ > 岩つばめ一覧 > 岩つばめ325号目次