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明星山P6南壁・左岩稜
荻原 健一

山行日 2007年11月3日
メンバー (L)荻原、坪松

 北アルプスの北の果ての小滝川にいっきに300m以上の岩壁となって切れ落ちている壁が明星山P6南壁である。対岸の駐車場から見るこの岩壁は圧巻だ。その中で硬い岩と美しいラインを引いた左岩稜ルートは人工とフリーのミックスの名クラシックルートとして名高く前々から狙っていたルートの一つであった。

11月2日
 北アルプスの北の果てということで、とにかく遠いので八王子駅集合を21時にする、実際の集合は21:30頃。中央高速道に乗り豊科ICで降り一般道をひたすら北上する。大町、白馬を越え糸魚川市の小滝へ。更に小滝川沿いに車道を詰め、P6南壁の展望台駐車場に着いたのは午前2時前。ざっと4時間ちょっとだった。この日は翌日に備えビール一杯でさっさと寝る。

11月3日
 アラームを6時にセットしていたが、周囲のざわつきで6時ちょっと前に眼が覚める。ガチャを付けてかなりの人数が降りていくのがテント越しに伝わった。でも今日はアプローチもないし、戻ってきてテントで飲むだけだし時間的に楽勝なのでまぁいいか!って感じでノロノロ準備して7時前に駐車場を出発。踏跡を降り小石伝いに小滝川を渡渉するともう取付だ。ここまで5分ほど。
小滝川の河原より左岩稜ルート下部  ところが取付では大変なことが起こっていたのだ。なんと待ち人数が約20名!(この取付から2P目途中までは左岩稜と並び人気の高い左フェースルートと一緒なのでこの時期の天気の良い時はいつも混んでいるらしい。あと1時間早く出てれば大分違った展開になっていたようだが・・・)先頭Pがやっと1P目終了点に到着したところで2番目Pがこれから登るところだ。3人Pが非常に多く待ち人数以上に時間がかかりそうな感じでもはや呆然状態。といってもここまで来ながら帰るわけにも行かないので、まだ日の当たらない寒い寒い河原でひたすら待つことにする。1時間もすると日が当たって来て暖かくなり河原の大きな石の上で昼寝なぞしながらのんびり待つ。そして待つこと4時間と30分。やっと1P目を登る権利がやってくる。
核心ピッチ  1P目ブッシュからスタートして小ハングを乗っ越し広いテラスへ。2P目は記憶にないほど簡単。3P目が一応核心だが、新しいペツルが短い間隔で打ってあり、非常に簡単な人工登攀だ。といっても大半の先行Pはことごとくこのピッチで動かなくなり渋滞を起こしている。アプローチがほとんどない為ゲレンデ感覚で来てしまうのだろうか?たまたま我々の前の3~4Pはみんな左フェースルートに行ってしまい、左岩稜ルートはがら空き状態になっていたので快適に高度を稼ぎ順調に登れた。4P目はトポ図では、A0:5級とのことだが、そんなに悪くなかった。5P目は3級程度の簡単なクラック登攀。終了点が松ノ木テラスといって実質上の登攀はここでおしまい。あとは潅木交じりの容易なリッジ登攀となり、場所によってはコンテで進む。大岩を越え1P登ったところが終了点だ。取付からここまで約3時間。待ち時間の方が長かった・・・。終了点からは、バンドをトラバースして下降路に入り歩いて降りられる。足場は結構悪く急なガリーなどもあるので要注意だ。40~50分で駐車場に戻り終了となる。駐車場から200mほど奥へ入ったキャンプ場に車で移動し幕を張る。ここはテントだけでも10張弱で既に大勢のクライマーが飲み始めていた。クライマーの基地って感じでなかなかよい雰囲気の所だった。寒くなり始めた頃、我々も焼酎のお湯割りを注入してその場の人となった。

〈コースタイム〉
駐車場(06:55) → 取付(07:00~11:30) → 終了点(14:50) → 駐車場(16:00)


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