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名取川二口沢本流小松原沢
金子 隆雄

山行日 2007年7月28日~29日
メンバー (L)金子、箭内、小堀、小幡、中澤、成田、山崎、前野、石川、大田、森田(温)、河野

 二口山塊の二口沢の本流は登山大系によれば禿沢となっている。いつの頃から、どういう理由で小松原沢と呼ばれるようになったかは知らないが最近の記録ではほとんどが小松原沢と記されている。まあ、そんなことはどうでもいいのだが、この沢はナメが続き初心者向きで下山も登山道を利用できるので例会山行として計画した。
 集まったメンバーは総勢12名、普通はそんな人数で沢へは行かないだろうと思うところだが三峰では行っちゃうのだ。駒込と北上尾に分散集合し東北道の佐野SAで合流。車3台を連ねて北上しその日は国見SAで泊り。
 翌朝、仙台南ICで降りて目的地へ向かう。二口林道のゲートまで車で入れるはずだったがその手前で通行止めになっていた。ゲートは簡易的なものなので入ろうと思えば車で入れたが止めておくことにする。本来のゲートまでどのくらいかかるか見当がつかなかったが10分程度だった。本来のゲートは鉄製の頑丈なものでしっかり鍵がかかっている。ゲートの横を通り抜け、橋を渡り林道が右へ大きく曲がり沢から離れる所から沢へ降りる踏み跡があるのでここから入渓する。釣り人のものだろうかバイクが1台停まっていた。
 沢へ入ると早速ナメが始まる。下流からずっと続いているようだ。直ぐに右岸から細い風の堂沢が出合ってくる。ナメはまだまだ続きとても雰囲気が良い。やがて最初の滝8mが現れる。傾斜はそれほどでもないがナメ状でホールドがないので左岸より捲いて越える。
気持ちの良いナメが続く  ナメはまだまだ続き、右岸より南沢を合わせたあともまだ続く。ナメが尽きゴーロになると滝が多くなるがほとんどが登れる。厳しそうな滝はロープをだした。
 出発前の天気予報はあまり良くなかったが、来てみると今日は結構な沢日和で暑いくらいなので釜で泳いでみたりする。そんなこんなで楽しく溯行を続けると正面より桂沢が流入し本流は左へと直角に曲がる。滝、ナメ、滝、ナメと繰り返していくと右岸より本流とほぼ同じ水量で小松倉沢が出合う。
 ここからが核心部となる。3段15mのナメ滝を容易に越えると15mの直瀑。これはとても登れそうになく右岸より捲く。沢慣れた人にはどうということもない捲きだが初心者にとっては下降が厳しかったかもしれない。降り立った所は銚子大滝の下だ。
 銚子という名を冠した滝は多くあるが、ここの滝は私のイメージしていたものとは大分異なっていた。弓のような形で曲がりトイ状に細く流れ落ちている。太い流木が立てかかっており、これを利用して登った記録もあるが人数も多いことだし無理せずに左岸の草付きから捲くことにする。捲きは難しいものではなかった。
銚子大滝の全貌  銚子大滝を越えるとその先は沢幅が狭まりちょっとしたゴルジュとなる。ゴルジュの中に大きな滝はないが深い瀞や小滝を越えていくのが面白い。きわどいへつりを強いられる所では一人また一人と瀞の中へドボンと落ちる。落ちたところで危険はないので皆笑っている。落ちるくらいなら最初から泳いだ方がよいとばかりに泳ぎだす者もいる。小滝を水を浴びながら越えると短いゴルジュも終わりブナ林が広がる。左岸の一段高くなった所によい幕場があったので今日の行動を終える。
ゴルジュの瀞を泳ぐ 気持ち良さそう  幕場は今回のような大人数でも泊まれる広さで薪も豊富で快適な所だ。早速タープとテントを張り、薪を集めて焚き火が始まり冷やしたビールで乾杯だ。私はタープの下で寝たが寒くもなく快適だった。
 翌日の天気は曇りだが何とか下山までは持ちそうだ。幕場をでて直ぐに二俣となり左俣へ入る。ここもずっとナメだ。水が涸れて沢が尽きて1時間近く藪を漕いでようやく登山道に出た。もしかしたら登山道と平行に藪を漕いでいたのかもしれない。思いの外藪漕ぎに時間を費やしてしまった。
 沢装備を解いて登山道を清水峠方向へ向かうと直ぐに山形神室への分岐に着く。せっかくなので山形神室を往復することにする。空身で5分ほどの距離だった。山形神室には数人の登山者がいた。清水峠まではいくつかのピークを越えていくのでアップダウンを繰り返す。清水峠から下り一方となる。二口峠に着く前に林道に出たので林道を下って二口峠にでた。成田さんだけは山道を行ってしまったようで姿が見えない。二口峠で無事合流した。二口峠からはくねくねと曲がった林道を1時間強で車へ戻り着いた。途中ポツポツと雨が落ちてきた時もあったが何とか降られずに済んだ。
山形神室山頂にて  磐司山荘で風呂に入る。入浴料600円だが割引実施中とのことで500円だった。帰り道に拘りの蕎麦屋で蕎麦を食べる。ここは大盛というものがなく代わりに2.5人前のてんこ盛りというのがある。腹に自信のある方は一度お試しくだされ。味は蕎麦通に言わせれば美味いとのことだ。私は蕎麦通ではないが不味くはなかった。店の名前は「すずめのお宿」だったと思う。
帰る途中、福島辺りで前も見えなくなるような豪雨となる。山の中で降られなくてラッキーだった。

〈コースタイム〉
28日 出発(8:50) → 入渓(9:25) → 桂沢出合(12:30) → 小松倉沢出合(12:45) → 幕場(14:45)
29日 出発(6:15) → 登山道(7:50) → 清水峠(10:10) → 二口峠(10:50) → 駐車場所(12:10)
小松原沢溯行図

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