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袖沢御神楽沢
大田 雅子

山行日 2007年9月22日~24日
メンバー (L)小幡、藤井、大田

 今回の御神楽沢は前週例会だったものが中止となり、翌週決行で参加可能になった私にとってタナボタラッキー山行だった。
 前夜22時30分新宿集合。
 藤井さんとはこの日初対面だった。
 1日目----6時に道の駅を出発。三ツ岩山登山口より8時前にスタート。昨夜から同じ行動を取っていた別の山岳会の4人パーティもやはり御神楽沢を目指すとのこと。先に出発する。緩やかながらダラダラと続く登り。避難小屋に3時間ちょっとで到着。天気が良く暑かったので既にややヘロヘロに。ここでもう一つのパーティと会い、今回御神楽沢を目指すのは3パーティのようだ。
 沢装備を着けて、ミチギノ沢の下り口(枯れた池)までは30分程で着き、簡単に2時間くらいで下れると信じ込んでいたミチギノ沢は遡行図も持たずに甘く見ていたら、高巻きあり、懸垂下降ありの結構な沢だった。4時間かかってもたどり着かず、17時を前にしてまだ出合いに到達出来ず、2パーティが先行していることもあり、程良い平地にテントを張ることにする。すでに薄暗く、出合いまでの距離もはっきり判らず、睡眠不足も加わって疲労困憊気味。小幡リーダーすら珍しく酒量少な目で20時頃就寝となった。
 2日目----3時起床のはずが起きると4時前に。急いで朝食、撤収をして6時前にスタート。
 昨日に引き続きミチギノ沢を下る。朝っぱらから大滝に高巻きを強いられ懸垂で下り、ようやく1時間程で他のパーティのテントが見え、出合いとなる。
 本日は三峰パーティが一番の早出で御神楽沢を登り始める。水量も程々で下流はむずかしいところもなく、遡行図で滝を確認しながら順調に登る。登り始めて程なく、有名な畳岩に遭遇。順調な登りに余裕も出てきて、両氏は釣りを楽しみながら、のんびりの休憩タイム。深い釜はどうやら産卵を控え、お腹を空かせた岩魚がいたらしく、糸を垂れた途端に2匹釣れ、釣り師たちもご機嫌。2回目の釣りタイムに3匹目も釣れて、人数分確保!本日の夕食が楽しみになる。
畳岩 すごかったのに臨場感のない写真  そうこうしているうちに昨日から抜きつ抜かれつの別パーティの2人が追いつき話をしてみると、三峰以外の2パーティとも捻挫者が出て予定変更。2人だけ頂上を目指すらしい。もう一組のパーティは全員下山したとの情報が入り、気が引き締まる。 中流部に入り、だんだん高い滝が現れ始める。遡行図と照らし合わせ、地形をよく見てどちらからどう登るかを判断する。別パーティが高巻いても登れると判断すれば滝ルートを行く。各パーティがそれぞれの判断でルートを決める。
釣り師1  遡行図も登った人それぞれのルートで書かれているため、鵜呑みにするものでなく、現場のその時の状況で判断する。沢登りは決められてないところが楽しい。10メートル直瀑の滝を越え、2時過ぎにはムジナクボ沢との二俣手前、本日のテント場に到着。時間は早いし、岩魚もあるし、皆軽やかにテントを張り焚き火の準備を始める。テントを張る頃小雨がパラつくが、遠く北の空は青空が見え、天気の心配はなさそうだ。まだ明るいうちから、昨日採ったブナハリをつまみにお酒をちびちびやりながら、ごはんやら岩魚が焼けるのをのんびり待つのは幸せなひと時で、夕暮れ時にはすでに歌も始まる。みんな気分良く沢のフルコースを楽しんで、9時前には就寝となった。
釣り師2  3日目----4時起床。空は満天の星!しかし、昨夜はさすがに冷え、シュラフカバーのみの小幡さんもサマーシュラフの藤井さんも足が冷えて寝られなかったとか。3シーズンシュラフの私はぐっすり寝られて、荷物の軽量化と体力維持の睡眠のどちらを取るか判断がむずかしいが、どうやら今回は私が正解のようだった。
 6時前に最終日も出発。この日の滝はすでに幅が狭く勢いがある。まるで龍のしっぽがどこまでも続いているかのように蛇行しながら連続している。その脇の岩を次々登っていく。1日目はこの後どうなることかと焦ったし、2日目は捻挫してはたいへんと足下ばかり見てしまいがちだったが、3日目になり余裕も少し出来て、「日本でも有数のきれいな沢を楽しみなさい」と藤井さんに助言をもらい、美しい原生の滝を楽しみつつ、どんどん源頭を目指す。沢が細くなり枝分かれするにつれ、皆で地図とコンパスを出してどちらに進むべきか協議するのも楽しかった。
 途中、巨大木イチゴをつまみつつ、さらに上を目指す。いよいよ沢が枯れ、藪こぎに突入。藤井さんの後を必死について行く。20分くらい藪をこいだところで、人の声が聞こえ、ドンぴしゃ!駒ヶ岳山頂に到着。他の登山客に熊かと驚かれつつ、つい「やった?」と声が出てしまった。
ドンぴしゃ!会津駒ヶ岳山頂  あとは淡々と下って13時頃下山となり、先に下りて車の回収をしてくれる小幡さんを待つ。程なく車が戻ってきて、小豆温泉、きのこそばを食べて、帰途についた。
 実は私にとって初の山中2泊だったのだが、お2人のお陰で無事完登することができ、いろんな沢にまた行ってみたいと来シーズンに期待が繋がる楽しい山行だった。

〈コースタイム〉
9/21 新宿(22:30) → 東北道 → 西那須野塩原IC → 道の駅(02:30)
9/22 三ツ岩登山口(小豆温泉)(07:55) → 三ツ岩避難小屋(11:20~12:05) → ミチギノ沢下降地点(12:40) → 御神楽沢手前(泊)(17:00)
9/23 テント場(05:45) → 御神楽沢(07:00) → 畳岩(09:00) → ムジナクボ沢手前(泊)(14:30)
9/24 テント場(05:55) → 二俣(1750m地点) → 会津駒ヶ岳山頂(10:00~10:50) → 駒ヶ岳登山口(13:00~13:25) → 小豆温泉(窓明の湯)(13:45) → 蕎麦屋(おり田)(14:30) → 東北道 → 新宿(20:30)

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