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黒谷川大幽沢東ノ
金子 隆雄

山行日 2007年9月22日~24日
メンバー (L)金子、中澤、箭内、福間、小堀、高木、紺野、天内、橋岡、山崎

 ずっと前から一度は行ってみたいと思っていた大幽沢から丸山岳へのルートだが、難しい所もほとんどないので例会山行として計画した。三峰での記録を探してみると23年前の1984年に行った記録がある。この時は丸山岳から会津朝日岳まで縦走して小幽沢を下降しているが、現在では丸山岳から会津朝日岳間の道は廃道となっておりこれを行こうとすれば大変な藪漕ぎを覚悟しなければならない。したがって現在では丸山岳から往路を戻ることが一般的で、私の計画もそのようなものとした。
 21日夜に東川口駅に集合。まるみ山荘へ除雪機小屋の整備に行くという三澤さんも同乗して車3台を連ねてまるみ山荘へと向かう。2時頃に山荘着、今日はまるみ山荘へ泊めてもらうことになっている。早く寝ればいいものを飲み始めて寝たのは3時半を過ぎていた。

9月22日
 8時過ぎにまるみ山荘を後にする。随分のんびりだが今日はヨシノ沢出合辺りまででいいので行動時間は長くて4時間程度、急ぐ必要はないのだ。大幽沢出合までは思いの外時間がかかってしまった。黒谷川林道は未舗装だがそれ程悪い道ではない。10時近くに出合に着くと駐車スペースは車で溢れかえっていた。ほとんど釣り人の車だろうと思ったがそうではないようだ。丁度釣から戻ってきた釣り人の話ではほとんどが山屋で20人近くは入ったんじゃないかと言う。3連休でもあり天気もそこそこ良いようなので無理もないことだ。車はなんとか分散して駐車して10時過ぎに出発する。
大幽沢出合に架かる橋  黒谷川本流に架かる橋を渡って直ぐに大幽沢に降りてもよいのだが、左岸に大幽沢上流にある取水堤まで続く仕事道があるのでこれを辿ることにする。階段、桟道、丈夫なロープなどで整備された道はしっかりしたものだがアップダウンが激しい。おまけに今日は夏のような暑さで汗が噴出してくる。平水ならば出合から沢の中を行った方が楽だったように思える。50分程で取水堤に到着、もう一仕事終えたような気分だ。
 取水堤の上から入溪する。しばらくは広い平瀬が続くがゴルジュっぽくなってきたなと思うと滝が現れ右岸側を胸まで水に浸かって越える。左岸を捲くこともできるようだ。この滝を越えると二俣となり東ノ沢と西ノ沢の分岐となる。西ノ沢はこの山域随一の悪渓と言われる沢だがそんな気配も感じさせない穏やかな流れで出合っている。
 穏やかにゆったりと流れる東ノ沢を癒しを感じながら進んで行く。辺りがゴルジュの様相になってくるといつの間にか窪ノ沢出合手前のゴルジュ帯に入っていた。左岸に捲き道があるはずだが気が付かなかった。天気も良いしゴルジュの突破も面白いだろう、行き詰ったら泳げばいいかとゴルジュ内を進んで行ったが案外簡単に突破することができた。ゴルジュ出口に架かる2m程の滝が水量が多い場合は厳しいと思われるが今回は水量も少なく問題なかった。
 ゴルジュを抜けると窪ノ沢出合となる。今日はこのくらいでいいだろうということで幕場を探す。出合の一段高い所に良い幕場があったが10人もの人数が泊るには狭すぎる。ヨシノ沢へ入り15分程行った所に広い場所があったので今日の幕場とする。薪も豊富でこの夜は盛大な焚き火を囲むことができた。

2日間お世話になった幕場 9月23日
 今日の予定は西俣を詰めて丸山岳までの往復だ。行動時間が長くなるので早めの出発とする。天気は曇り空で時々小雨がパラつくような空模様だ。南俣と西俣との出合までは特に何もなく1時間程で到着した。出合には数張りのテントが張られている。又聞きなので誰から聞いたのかは判らないが、丸山岳まで2時間の藪漕ぎだという話が伝わってきた。それを聞いたからかどうかは定かではないが小堀が体調不良で戻ると言い出した。出発時はそんな様子はなかったが本人がそう言っているので彼を残して西俣へと分け入る。実はこの藪漕ぎ2時間というのは南俣を詰め上げたパーティの話で、稜線へでてから2時間藪を漕いだが丸山岳には辿り着けずに戻ってきたというもので西俣のことではなかったのだ。
 西俣に入るとそれまでとは違い滝の連続となる。だが滝は小滝ばかりでほとんどが登れるので厳しくはない。一旦水が涸れて再び流れ出すが直ぐに消える。水流が消えても沢形はずっと続いており忠実に詰めて行く。枝分かれが多く間違うと藪漕ぎが酷いので慎重に選んで行く。要所には赤布が付いているので見逃さなければ間違うことはないはずだ。1ヶ所だけ何もない分岐があったがよく見ると人が歩いたような跡がある左へ進んだが間違っていなかったようだ。笹のトンネルのようになった沢形をどこまでも詰めて行くと藪漕ぎなしで草原へ飛び出した。
山頂付近の池溏群  丸山岳へは踏み跡が付いておりこれを辿る。途中には池溏が点在している。踏み跡は途中笹藪の中を通っているが迷うほどのものではない。丸山岳は三角点があるだけでその他の山頂を示すようなものは何もない。それがまたこの山には似合っているように思える。山頂にも池溏があるが形が真四角でどこか人工的な感じがする。丸山岳は天上の楽園などと形容されるがなるほどなと思わせる。山頂はかなりの人で賑わっていた。
丸山岳山頂にて  20分ほどで山頂を後にして往路を戻る。下りはやけに長く感じてしまった。おまけによく滑る。滑る岩なのか靴のフェルトが磨り減っているだけなのか、あるいは疲れて足元がふらついているのか、いずれにしても南俣との出合までは結構大変だった。この先、幕場までは穏やかな流れで問題ない。
 この夜もいつものように盛大な焚き火を囲んで飲めや歌えの大宴会、橋岡の踊りまで飛び出し悪酔いしそうだった。

9月24日
 今日はただ下るだけ。窪ノ沢出合から始まるゴルジュは捲き道を辿ってみる。どうなっているのか見ておきたかったからだ。そのままゴルジュの中を下る組とに二分する。捲き道は入口と降り口にフィックスロープがあり、かなり高い所に付けられていてしっかり踏まれた踏み跡になっていた。
 取水堤からは来た時と同じように仕事道を歩いたがやっぱりアップダウンがきつくて沢を下った方が良かったなと後悔する。中澤さんのみ沢を下ったが随分先に着いていた。
 3日をかけたのんびり沢旅といった今回の山行だったが、次回行くことがあれば窪ノ沢を溯行してヨシノ沢を下降するのもいいなと思っている。

〈コースタイム〉
22日 大幽沢出合発(10:15) → 東ノ沢出合(11:35~12:00) → ヨシノ沢出合(14:05) → 幕場(14:25)
23日 幕場発(05:55) → 西俣出合(06:55) → 丸山岳(10:40~12:00) →西俣出合(13:35) → 幕場(14:55)
24日 幕場発(07:00) → 大幽沢出合(10:15)

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